フェアバンクス近くのアラスカの空で、オーロラの中に明るい青の光が数分間スパイラルを描いた。2023年4月15日撮影。
Christopher Hayden via AP
- アラスカの夜の空に4月15日、謎のスパイラルが出現した。
- これは、この日に打ち上げられたスペースXのロケットからのエンジンによる雲のようだ。
- 「スペースXスパイラル」は珍しいが、今後は当たりまえになるかもしれない。
青い謎の渦巻がここ数カ月間で複数回、夜の空に出現した。これはスペースXのロケット打ち上げによるものだ。
最も新しい幽霊のような幻影は2023年4月15日、アラスカ州アンカレッジのオーロラの中に現れた。「本当に当惑した」と、このスパイラルを目撃した現地のオーロラハンターはEメールでInsiderに語った。
彼は、謎に包まれたスパイラルが上空に現れて消えるまでの様子のタイムラプス動画をシェアした。
それは、近くに存在する巨大な銀河が飛び出てきたようにも見える。だが、実際はそれほどファンタジックなものではない。
これらのスパイラルは「間違いなく、確実に、スペースXのロケット打ち上げに関連したものだ」と、ハーバード大学の天体物理学者であるジョナサン・マクドウェル(Jonathan McDowell)はInsiderにEメールで語った。
実際、宇宙観測関係者の中には「スペースXスパイラル」と呼び始めた者もいる。
このスパイラルは、おそらく燃料が氷になるほどの高い高度で飛行中のロケットから放出された過剰な燃料だと宇宙物理学者のドン・ハンプトンがAP通信に語った。
「そしてこれは、地上が暗い時に太陽の光を受けると、巨大な雲のように見えて、時には渦を巻くこともある」とハンプトンは語った。
スペースXスパイラルやクラゲ、煙のリングは、頻繁に起きるかもしれない
ファルコン9ロケットがスペースXスパイラルを作ったのは、過去1年で3度目だ。
オーロラの観測者によると、この幻影はオーロラの中で数分間漂って消えた。スペースXがカリフォルニアのヴァンデンバーグ宇宙軍基地から北極の方向に向けてファルコン9を打ち上げた約3時間後のことだ。
アラスカのデルタジャンクション近くのドネリードームの上空で。2023年4月15日午前1時54分(現地時間)撮影。
Todd Salat/AuroraHunter.com
1月にはハワイでも同じようなスパイラルが観測され、その際にも国立天文台はおそらくスペースXと関連があるだろうと述べていた。
2022年6月にフロリダでの打ち上げの後、ニュージーランドのクイーンズタウン上空でも似たスパイラルが観測されたことをワシントンポストが報じている。
「それらはロシアのミサイル防衛実験など、別の原因で見られることもある」とマクドウェルは話した。
マクドウェルによると、ファルコン9がこれらのスパイラルを作る理由は、燃料を故意に消費するために、コーニング(円錐状に回転すること)しながら、エンジンを噴射するためだ。これは、ロケットが地球に着陸するときに必要な燃料よりも多くの燃料がある場合に行われる。
「燃焼が終わった後に残りの推進剤をただ排出するだけのロケットもあるが、ファルコン9ではこれを確実に行うには時間が足りないのかもしれない」とマクドウェルは話した。
クルードラゴン宇宙船を搭載したスペースXのファルコン9ロケットが、フロリダ州ケープカナベラルで打ち上げられる様子。
NASA/Bill Ingalls
ファルコン9ロケットは、他にも上空でさまざまなものを作りだしている。
SpaceWeather.comによると、ニュージーランドのスパイラルは、アメリカ中央部の上空で煙のリングを作った。また、上空へと進む際によく描く「宇宙クラゲ(space jellyfish)」でも知られている。
スペースXスパイラルやその他の目撃情報が多いのは、ファルコン9がかつてないほど頻繁に打ち上げられているからだ。同社は2022年に61回もロケットを打ち上げ、これは前年の2倍だった。平均で、6日に1回打ち上げていることになる。
イーロン・マスクは、同社が2023年は最大100回、ほぼ週に2回の打ち上げを目指していると述べている。そのため、スペースXのスパイラルや煙のリング、クラゲはもっと頻繁に現れるかもしれない。