デイトレードとは? 大きく儲かるが大きなリスクもある、「投機家」のための手段

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デイトレードとは、市場の素早い動きを利用し、有価証券の売買で利益を得ることだ。

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  • デイトレードでは、1日の間にある銘柄を何度も取引する。
  • デイトレードは、市場ボラティリティを活用して、株式取引でわずかな利益を上げようとする。
  • デイトレードで大儲けできることもあるが、大きなリスクも伴う。

証券投資で儲ける方法はいくつかあり、デイトレードはその1つだ。

投資ツールやアプリが利用できるようになり、取引手数料の引き下げや証券関連情報も増えたことから、市場のわずかな値動きから利益を上げることに多くの人が関心を寄せている。

だが、デイトレードはアマチュア投資家向きではない。デイトレードで成功するには、洗練された戦略を実践する規律は言うまでもなく、知識、経験、資本がほどよく必要だ。

時に危険が待ち受けている沼に飛び込む前に、デイトレードとは何か? また、何を知っておくべきか? を以下に説明しよう。 


デイトレードとは何か?
  • デイトレードとは、1日の間に同じ証券を複数回売買することを言う。取引時間中に証券が値上がりする可能性を捉えたいからだ。この手の取引は金融機関だけでなく個人も行っているが、技術的には誰でもデイトレードに参入できる

  • だが、デイトレードには多くのリスクが付きまとい、誰にでも適しているわけではない。利ざやは「超」がつくほど薄く、短期間に多額の資産を失う恐れがある。それに、リサーチや計画、取引の実行に膨大な時間を取られることが予想される。

  • 「デイトレードはフルタイムの仕事だ」と、ジャブリン・インベストメント(JAVLIN Invest)のヴィニー・ユー氏は言う。「だから、デイトレードで手っ取り早く簡単にお金を儲けられると思っているなら、考え直した方が良い。デイトレードには規律、忍耐力、精神的な安定が必要だ」

  • なお、アメリカではリスクを避けるため、大半の投資と同様、デイトレードは金融取引業規制機構(Financial Industry Regulatory Authority、FINRA)と証券取引委員会(Securities Exchange Commission) の規制監督を受ける。デイトレードには証券売買を伴うからだ。また、5営業日の間に信用買いで最低4回取引を行うデイトレーダーには、さらに細かな規則が適用される。こうした取引を行う人は、パターンデイトレーダーと呼ばれる。
デイトレードの仕組み
  • デイトレーダーは1日の大半を、リサーチや相場を追うことに費やす。その目的は、安い価格で証券を買い、利が乗っている時に売る機会を探すことだ。そして、1日のうちに利益を上げることを期待してそうした取引を繰り返す。ここでは、ファイナンスや投資分野でのたしかな知識や、市場での業務経験が物を言う。

  • 「いまや投資家はかつてないほど安く、簡単に株式市場に投資できる」と、ストックチャート・ドットコム(StockCharts.com)の最高マーケットストラテジストのデビッド・ケラー氏は語る。「だが、このように簡単に投資ができるということは、同時にリスクも高いということだ。投資家はリスクとリターンの関係、特に個別銘柄だけでなく、アセットアロケーションを通じたポートフォリオレベルでのリスク管理方法も学ぶべきである。デイトレーダーは、チャートやテクニカル分析を活用して過去の市場動向を知ることにより、株価の再現性のあるパターンをどのようにして認識・数値化できるかをよりよく理解できるだろう」

  • デイトレードはリスクが高く、検討すべきことは山ほどある。「チャート分析やニュースのチェック以外に、優れたデイトレーダーは板情報を解読して投資機会を認識することもある」と、ユー氏は言う。「デイトレーダーの目的はもちろんお金を稼ぐことだが、その資産を手放さず失わないことは同じくらい重要なのだ


ヒント:信用買いでは投資のために証券会社から資金を借りる。デイトレードに信用買いを活用するのは、購買力を高める選択肢の1つだが、取引が思った通りに行かない場合には借金を負うリスクもある。

デイトレードの戦略

デイトレーダーはその目標達成にさまざまな戦略を活用する。

  • ブレイクアウト・トレーディング:株式は一定の株価の範囲内で取引されると考えるトレーダーは多い。ブレイクアウト・トレーディングでは、株価がそのレンジを上下に抜けたときに売買の判断を下す。
  • プルバック・トレーディング:この戦略では、長期トレンドの中で株価下落局面を捉える機会を探す。株式が上昇局面にあるときに一時的に調整を迎えたときが買い場であり、再び上昇基調に戻ったら売却する。  
  • スカルピング:スカルピングは、1日に何度も取引を繰り返してわずかな利益を稼ぐ。この戦略では素早く取引を行うため、数秒~数分間しか銘柄を保有しない。この戦略では大量の取引を行うことが成功の鍵を握る。
  • レンジ・トレーディング:この戦略はブレイクアウト・トレーディングにかなり似ている。違うのは、株式が予想したレンジを抜けるのを待つのではなく、株価がそのレンジ近辺に近づいたときに売買をする点だ。
  • ニュースに基づくトレーディング:ニュース報道に注目して株価に影響を与えうる状況を探す。常にニュース記事をモニタリングし、取引に利用できる情報を探し、株価がどう動くのか予想してその情報に基づいて売買する。
  • 高頻度トレーディング:この戦略では自動アルゴリズムを活用して可能な限り早く大量の証券を取引する。この手のデイトレードには専用のコンピューターシステムが必要なので、機関投資家が手掛けるのが一般的だ。

ヒント:政治指導者の変更や企業売却、経営陣の変更、供給不足、自然災害はどれも、株価に影響を及ぼす可能性のある事象だ。これらが起こった時は、市場の変化に警戒しよう。


デイトレダーが守るべきものとは?
  • デイトレーダーが守るべきは、トレーディングに関する規律や義務だけでなく、絶えず動く市場に対処する感情面での資質に関連したものが多い。何がデイトレードに役立ち何が役立たないかを見極め、目標利益を上げる手法を構築するには時間がかかる。

  • 「私の経験上、成功しているトレーダーは証拠の検証を重視し、規律正しく意思決定を下している」とケラー氏は言う。「違う見方を考慮するのは良いが、結局のところ意思決定を下すのは自分なのだ。ポジション構築や解消に明確なチェックリストを作成し、常にそのチェックリストを適用して、成功にたどり着こう」
アメリカにおけるFINRAの追加規則
  • アメリカにおいて、信用口座を利用するパターンデイトレーダーならば、FINRAの追加規則にも従わなければならない。

  • • デイトレードに使う各口座に、常時最低2万5000ドル(約330万円)の証拠金を入れておかなければならない。
  • • 取引したい日にこの残高を下回っていれば、取引は認められない。 
  • • 前取引日から口座にある、2万5000ドルを上回る金額の4倍までしか取引できない。 
  • • 相互保証(クロスギャランティー)は最低2万5000ドルに算入できない。
  • • 2万5000ドルの最低証拠金要件を満たすための資金は、取引に必要な日から2営業日の間は口座に維持しておかなければならない。 

デイトレードの長所と短所

デイトレードには多くのリスクがあり、デイトレードに足を踏み入れる人の多くは失敗に終わる。デイトレードでは市場の変動を当てにして、買った株式の値上がりを期待するので、常に損失を被るリスクがある。せいぜいできるのは、市場でこの先何が起こるかを賢明に推測することだが、それは常に利益ではなく損失につながる可能性がある。

クレイトン大学ハイダー・カレッジ・オブ・ビジネス(Creighton University's Heider College of Business)でファイナンスを教えるロバート・ジョンソン教授は、デイトレードを短期的な証券の値動きに数多く賭ける行為と表現し、「デイトレーダーは投資家ではなくて投機家に分類する方が適切だ」と述べている。

「(市場は)デイトレーダーに不利に、長期投資家に有利にできている」とジョンソン教授は言う。「長期的には株式投資はウィンウィン・ゲームだ。つまり、長い目で見れば株式価値は個別でも全体でも、総じて上昇する。反対に、短期的にはどの資産クラスに投資してもゼロサム・ゲームになる」

ユー氏によると、デイトレードで成功するには損失の管理が重要である。少額の損失を大きな損失へと傷を広げないという点で、資産保全が何よりも大事なのだ。 「成功すればデイトレードは比較的短期間で大きな資金を稼げる。また好きなだけ働くことも、できるだけ働かないことも可能だ。トレーダーの中には、寄り付きだけ取引をして、あとは1日何もしないでお金を稼ぐ人もいる」


自分はデイトレードに向いているか?
  • デイトレードに向いているか判断できるのは自分だけだ。以下の成功に役立つ情報やツールをできるだけ多く集めることが絶対に必要だろう。

  • ファイナンス、投資、世界市場に関する詳細な知識
  • • 市場情報、データ、いつでも最も良い気配値を提供する電子証券取引ネットワーク(ECN)へのリアルタイムでのアクセス
  • • 情報に基づく確かな判断に役立つ株価チャート、分析およびその他テクニカルデータ
  • • 目標達成に必要な取引高を処理できる証券口座
  • • デイトレードで利益を上げるのに必要な十分な資金

  • 数百ドルからでもデイトレードを始められるが、この金額ではわずかなリターンしか見込めない。より大きな金額で取引をすれば、大きな利益を上げることができる。
その他デイトレードで考慮すべき点
  • 何時間デイトレードに費やすことができるか? ユー氏が言うように、リサーチ、モニタリング、取引はフルタイムの仕事だ。だが、数時間で目標に達成できる状況になることもあるだろう。すべては自分の状況と市場環境次第だ。 

  • どのようなリスクが許容できるか? 保守的な投資家ならば、デイトレードは絶対やめた方が良いし、その場合は目標達成には長期戦略が最善の手法だろう。損失の可能を厭わず、利益を上げるためにリスクを取る価値があると思うなら、デイトレードを検討しても良いかもしれない。繰り返しになるが、すべてはあなた次第だ。

まとめ

デイトレードは、市場の素早い値動きを捉え、証券売買から利益を上げることにほかならない。デイトレードで成功するには、多額の時間と労力が必要で、デイトレードを検討している人は慎重に取引すべきだろう。デイトレードは、極端に勝つか負けるかの投資手法だ。

デイトレードで腕試しをしたい人は、取るリスクと、投資先の市場を徹底的に理解し、市場環境が良いときも悪いときも資産を管理する計画を立てよう。デイトレードについて常にできるだけ多くの情報を集めることも大事なことだ。

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