レイ・カオは、StockXで140万ドル以上の商品を販売した。
Brian Tran
- レイ・カオは17歳の時、家族の借金を返済するため、スニーカーやアパレルの再販を始めた。
- カオは現在、主にStockXで商品を販売しており、その売上は140万ドルを超えている。
- 彼はイージーやシュプリームの販売から始めたが、現在は入手しやすい商品にシフトしている。
レイ・カオ(Ray Cao)は10代の頃、再販に目覚め、家族を20万ドル(約2680万円)の借金から救うことに成功した。それから8年後、この彼の趣味は収益性の高い副業に発展している。
カオが10代の頃、彼の両親はギャンブルで借金を重ね、低位株(ボロ株)に投資したが裏目に出たと彼はInsiderに語っている。
「私が再販を始めたのは、家族の経済状況を改善しようと必死だったからだ。私たちは何にお金を使うかを毎日議論していた」とカオは話している。
2015年、カオは17歳の時、ニューヨークのタピオカミルクティー専門店で稼いだ給料でスニーカーなどのアイテムに投資した。
彼はシュプリーム(Supreme)の服やイージー(Yeezy)のスニーカーの再販から始めたという。
「在庫を増やして規模を拡大することができたので、当時『これはすごい収入源になるだろう』と実感した」
彼の両親は、再販ビジネスを始めた当初から積極的に手伝ってくれたという。カオは最近、再販以外のビジネスにも挑戦するため、金融関係のフルタイムの仕事を辞めた。しかし、彼の副業は家族経営のままだ。彼の両親は定期的に受注した商品に不具合がないかを調べたり、出荷する際にはすべての商品が梱包されているかを確認する作業を手伝ってくれているという。
現在、彼の家族は借金から解放されている。Insiderが、カオのセラーダッシュボードのスクリーンショットを確認したところ、2017年以来、彼はStockXで140万ドル(約1億8780万円)以上稼いでいるのが分かった。
カオの両親は、転売を始めた当初から彼の活動を応援していたという。
Ray Cao
StockXでの再販はコストはかかるが時間を節約できる
カオのビジネスに転機が訪れたのは、数年前、StockXが彼に面談の依頼をしたことに始まる。
「最終的に私は当時のStockXアカウントマネージャーの注意を引いた。私たちは一緒にコーヒーを飲み、そこからビジネスが本格的に動き出したんだ」
カオは、StockXの売り手ランキングの上位に入っていた。StockXはカオに地元の倉庫で在庫を保管する機会を提供し、彼のチームが商品を確認して顧客に出荷するまでの時間を短縮した。
一括発送などのプラットフォームの自動化ツールによって、カオが実際働く時間は、月にわずか10時間程度にまで減少した。再販を始めた当初、週に1000点もの商品を手作業で出荷していたことをカオは思い出すという。
StockXが2021年に買収したScoutも、出品者にオンライン在庫管理と価格設定ツールを提供している。Scoutのモバイルアプリでは、出品者は携帯電話のカメラを使用してシューズボックスをスキャンし、StockXに商品を出品できる。
カオはStockXと独占契約を結んでいるわけではないが、彼の売り上げの約97%はStockXで発生しているものだという。StockXが一般公開を開始した1年後の2017年にカオはこのマーケットプレイスで商品の販売を始めている。ただし、カオは他の再販業者にも在庫を出品している。
「StockXで最高の利益が得られないのは事実だ」とカオはこのマーケットプレイスが課す販売手数料について言及する。
「最高に儲かるのは、今でも地元の販売会とかそういう場所だ。でもStockXが私の時間を節約してくれるのであれば、儲けは少なくてもいい」
ニューヨークの地下鉄で、イージー ブースト 350 V2(YEEZY BOOST 350 V2)の箱を手にするカオ。
Ray Cao
行列に並んだり徹夜をしたりしなくても最高の商品は手に入る
カオは2015年、派手に宣伝される商品の発売を片っ端から追いかけて再販を始めた。彼はイージー・サプライ(Yeezy Supply)でイージーのアイテムを複数購入するために徹夜をしたことを思い出す。だがこれは多くの人にとって再販ゲームの一部に過ぎない。在庫を確保するためには、商品が入荷した時点で購入することが重要なのだ。
当時はシュプリームの商品も高い収益を上げていたため、カオは店舗やストリートウェアブランドに行って並び、多くの商品を手に入れたという。
今は限定品を狙う再販業者が増えてしまったため、彼は簡単に入手可能できる、小売価格以下の在庫を積極的に狙っている。現在のお気入りアイテムは、以前カニエ・ウエスト(Kanye West)として知られていたイェ(Ye)や、ラッパーのトラヴィス・スコット(Travis Scott)のアーティストグッズ(Tシャツ、パーカー、帽子、その他のアクセサリーが販売されている)だ。なかでも最も売り上げているのは、ファッションデザイナーのジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)が手がけるアパレルブランド「フィアー オブ ゴッド エッセンシャルズ(Fear Of God Essentials)」の商品だ。
「自分の都合に合わせてただたくさん買うだけ。並んだり徹夜したりする暇はない」
カオによると、彼はスニーカーやアパレルを再販する際、ボットに頼ったことはないという。理由はこの技術によって利幅が削られてしまうからだ。ボットとは、再販業者が一度に大量の商品をオンラインでチェックする作業を自動的に簡単に行えるコンピュータープログラムのことだ。
その代わり、彼はGoogle Chromeの拡張機能「Page Monitor」などに頼っているという。Page Monitorは指定したサイトが新しいアイテムを掲載するとユーザーに通知するツールだ。
家には商品が山のようにあるが、彼はブランドに興味はない
コンバース(Converse)やグッチ(Gucci)のスニーカーを再販したこともあるが、衣類のほうが保管スペースが少なくて済むとカオは話している。
それでも、彼の家には買われるのを待っている商品がぎっしりと並んでいる。
「私の家は、ただ散らかっているようにしか見えないだろう。いたるところに在庫がある。フィアー オブ ゴッドのパーカーが、両親の部屋と妹の部屋の天井まで積み重なっている」
カオの家には在庫が山のようにあるが、彼のクローゼットにはその商品はない。
他の転売業者とは異なり、カオはオフホワイト(Off-White)やシュプリームの最新作に夢中になることは決してなかった。
「私はスニーカーやストリートウェアなど、そのどれにも情熱を抱くことはなかった。私にとってはすべてがビジネスで、それはただお金を稼ぐためのものだった」