ChatGPTやAIは法律を扱えるか。弁護士ドットコムの「法律相談チャット」開発の狙い

弁護士ドットコム 代表者

写真左から弁護士ドットコムで執行役員を務める市橋立氏、弁護士資格を持つプロダクトマネージャーの仮屋崎崇氏。

撮影:小林優多郎

もはや「バブル」と言ってもおかしくはないAI化の波。「ChatGPT」はその代名詞的な存在となった。

一方で、倫理やセキュリティーなどさまざまな観点でAIの危険性が議論されている。AIにどのような役割を与え、業務や生活をより良くしていくのか。各社の方針が気になるところだ。

法律相談ポータルサイトなどを運営する「弁護士ドットコム」は今、AIによる「法律相談チャット」の開発に取り組んでいる。

「法律」というセンシティブな領域とAIをどう組み合わせていくのか。弁護士ドットコムで執行役員を務める市橋立氏と、弁護士資格を持つプロダクトマネージャーの仮屋崎崇氏に話を聞いた。

「AI弁護士」ではなく、あくまで「介助役」

ProfessionalTechLab

法律相談チャットのイメージ

出典:弁護士ドットコム

そもそも弁護士ドットコムが開発を進めている「法律相談チャット」とはどのようなものなのか。

2月14日付の弁護士ドットコムのリリースでは、「(法律相談に関して)どのように質問すればよいかわからない相談者に対して、対話形式で事案を整理したり、弁護士のサポートが必要かどうかの判断を導いてくれる」サービスだと書かれている。

AIにはポータルサイト「弁護士ドットコム」の月間1000万人以上の利用者からの120万件以上の質問や相談、同サービスに登録している2万人以上の弁護士からの回答を学習させる。

市橋立氏

「法律相談チャット」について語る市橋立氏。

撮影:小林優多郎

市橋氏によると、リリースタイミングは「5月中旬を目指す」と語っている。

法律の知見が乏しいユーザーにとって(筆者もその一人だ)、このようなサービスは「AIが法律の相談に乗ってくれるサービス」に見える。つまり、AIが弁護士の代わりを務めてくれるようにも感じる。

このイメージについて、市橋氏は明確に否定する。

「(機能名を)『AI弁護士』とすると、実態と乖離が起きてしまう。『AI弁護士』ではなく、法律の介助役、ナビゲーションの役割と考えています。

AIが質問者の相談に乗り、弁護士が必要かどうかの判断をサポートしますよ、という形を検討しています」(市橋氏)

実際に、開発中の法律相談チャットでは、ユーザーの質問に対して、AIが詳細を聞いていき、弁護士ドットコム内の相談事例を踏まえて回答する仕組み。

対応できない場合は、市橋氏が述べたように弁護士への相談を促す形になっている。

このような「介助役」の仕組みとした経緯を市橋氏は、弁護士ドットコムが抱える「知識の非対称性」という課題の解消だと語る。

「利用者は『何が法律に関連して、何が関連しないのか』『そもそも法律相談と言えるのか』というところから迷われているケースが見られます。

人によっては法律相談に関係ないことを書き込んだり、逆に(判断する上で)重要な情報が書かれていなかったり、知識の非対称性が生じています。

まずは、依頼や相談のハードルを下げる。現在は『二割司法』とも言われるが、弁護士につながれる機会をもっと増やしていきたい」(市橋氏)

※二割司法とは……法律的な問題を抱えている国民の2割しか満足な司法サービスを受けられていない状態のこと。

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