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「なぜメタ(Meta)の幹部は、何千人ものレイオフを引き起こした意思決定に対して、正面から向き合おうとしないのか」
マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は先ごろ、怒りに満ちた従業員からそう詰め寄られた。
なぜ追加レイオフを実施しなければならないのか
3月から第三子出産のため育児休業を取っているザッカーバーグは、4月19日に実施された追加レイオフで失職を免れたメタの技術部門の従業員向けにオンライン集会を開催した。
オンライン集会の詳細を知る2人の関係者によると、ザッカーバーグはこのとき、2022年11月に実施した1万1000人の大量解雇に続き、今月4000人の追加レイオフを行ったこと、また以前から従業員たちの間で予想されていたとおり、経営陣にも大きな影響が及んだことを認めた。メタでは管理職の約20%が解雇されたり、管理職の任を解かれたりしている。
オンライン集会は、ザッカーバーグが従業員の質問に答える形で進行した。従業員があらかじめ質問を提出しておき、その中から特に質問者の多かったものをピックアップしてザッカーバーグが答えた(具体的な質問内容についてはVoxやウォール・ストリート・ジャーナルが報じている)。
質問の大半は追加レイオフを実施する「理由」についてで、ザッカーバーグは何度も彼の責任について言及していたと関係者は証言する。追加レイオフの理由は「完全に自分にある」、だが金利上昇やロシアによるウクライナ侵攻など予想外の「マクロ経済」と「未曾有のボラティリティ」に見舞われたことが要因だと、メタを取り巻く現況を説明しようとしていたという。
メタは事業部門の削減を5月に予定していることをすでに発表しているが、オンライン集会でのザッカーバーグは今後さらなるレイオフを実施する可能性も否定しなかったと、関係者は明かす。
関係者によれば、ザッカーバーグは集会で「私たちは今いる世界は、以前とは違う」と語ったという。
レイオフのさなか、幹部には巨額のボーナス支給
ほかに従業員の質問が集中したのは、経営幹部の昨年のボーナスについてだ。メタは2022年にかつてない株価の暴落に見舞われ、レイオフを実施しただけでなく、一般社員に付与される賞与株式数が減らされ、業績は過去最も厳しい評価となった。にもかかわらず、経営幹部は「期待を超える」レベルのボーナスを受け取ったのだという。メタはコスト削減を図るために、過去1年間で多くの社員特典や福利厚生を削減しているにもかかわらずだ。
ザッカーバーグは、CFOに就任したスーザン・リー(Susan Li)をはじめとする経営幹部が「これまでにない新しい役割に踏み込み、拡大した責任範囲を引き受け」たことで、「良い評価を受けた」ためだと説明したと、会議に出席した関係者は語った。また、メタの全社業績が経営陣にマイナスの影響を与えたとし、ボーナスの減額は既になされていたともザッカーバーグは説明したという。
この回答を聞いて、複数の従業員が「浅はか」「恩着せがましいことこの上ない」という感想を持ったと、会議に出席した人物は述べ、こう続ける。
「従業員たちはいつだって責任範囲を広げて違う役割に取り組んでいて、自動的に期待を超えることなどありません。われわれは結果にフォーカスすべきなんです」
メタは昨年、広告事業の環境変化から立ち直ろうと模索するなかで数カ月にわたり収益成長が縮小する一方、メタバースに140億ドル(約1兆9000億円、1ドル=135円換算)近くを費やして投資家の警戒感を誘った。その結果、同社の株価は2015年以来の最低水準まで下落した。
メタの2022年の株主招集通知によると、同社の経営陣には個人の業績に基づいてボーナスが支払われている。85%の達成率であれば期待に応えたことになるが、幹部全員が達成率125%または165%との評価を受けており、期待をはるかに超えたとされている。
経営陣が受け取ったボーナスを列挙すると、次のとおり。
- スーザン・リーCFO:57万5613ドル(約7770万円)
- クリストファー・コックスCPO:94万214ドル(約1億2700万円、全幹部で最高額)
- ハビエル・オリバンCOO:78万6552ドル(約1億円)
- アンドリュー・ボスワースCTO:71万4588ドル(約9650万円)
- デビッド・ウェイナー(CSO:最高戦略責任者):71万2284ドル(約9600万円)
なお、2022年9月にCOOを退任したシェリル・サンドバーグは29万8385ドル(約4000万円)のボーナスを受け取っている。
ある社員はInsiderの取材に対し、次のように語る。
「自分が全責任を負っていると言うのは簡単です。そう発言しても自分やチームに経済的な影響が及ばないなら、なおのこと簡単でしょう」