Reuters / Brendan McDermid
- バンク・オブ・アメリカによると、投資家が引き続き株式を保有すべき10の理由があるという。
- ストラテジストらは、弱気なセンチメントとポジショニングが株式の上昇を示唆している可能性があると指摘している。
- バンク・オブ・アメリカは2023年の全般的な株式について「中立」とし、S&P500は4000ドルまでわずかに上昇すると予測していた。
現在、市場は2023年の差し迫った景気後退に対処している。しかしバンク・オブ・アメリカ(Bank of America)のストラテジストによると、投資家が今すぐ株式を持つべき10の理由があるという。
バンク・オブ・アメリカのサビタ・スブラマニアン(Savita Subramanian)が率いるストラテジストのチームは「確信のない市場のように感じられるが、我々は第1四半期のS&P500の中で、リスクのあるシクリカル銘柄に確信がある」と2023年4月24日のメモで述べている。
この言葉は、インフレ率が米連邦準備理事会(FRB)の目標値である2%を大きく上回り、金利が2007年以来の高水準にあることから、景気後退の懸念が高まっている中で出てきたものだ。
今のところ、S&P500の銘柄は2023年の力強い出だしを維持しており、株価は2023年1月の水準から8%上昇している。同行によると、第2四半期も上昇が続く可能性がある理由は10あるという。
1.市場センチメントは極めて弱気だ
逆張り指標によれば、ウォール街のストラテジストは2009年以降、株式市場において最も弱気になっている。バンク・オブ・アメリカのセルサイド指標によると、機関投資家は金融危機以降、株式よりも多くの債券を保有しているが、これは市場センチメントが変化すれば、株式が新たな利益を生み出す可能性があることを意味している。
2.景気の後退は「大いに予想されている」
同様に、ほとんどの投資家が景気後退を予想している。アメリカの景気後退確率予測によると、そのリスクは65%とされており、この数字は「実際の景気後退時にのみ見られる」とストラテジストは指摘している。
3. FRBは金融緩和できる
しかしながら、景気後退が訪れている場合、2022年に積極的に金利を引き上げた連邦準備制度理事会(FRB)は金融緩和を行う余地が十分にある。
4.何兆ドルもの「待機資金」
FRB、政府、銀行は流動する状況を引き締めてはいるが、ベンチャーキャピタルや未公開株式投資会社には過去最高の2兆2000億ドル(約294兆3785億円)のドライパウダー(投資家から調達したものの投資に回されていない投資待機資金)が眠っており、これは市場の緩衝材として機能する可能性がある。
5.シクリカル銘柄(景気敏感株)は一掃される
「ロングオンリーファンドとヘッジファンドは、アメリカの国内総生産(GDP)に左右されやすいセクターへのエクスポージャーを減らしてきた。今は、医薬品、公益事業、生活必需品といった対シクリカル銘柄(景気敏感株)へのエクスポージャーがピークに近づいている」とストラテジストは述べている。
6.日本のファクトリーオートメーション(FA)株は底を打つ
日本のFA株は、通常アメリカの資本財・素材関連株と高い相関性があるため、1年半は上昇することになるとストラジストは話している。
7.株式リスクプレミアムは低下する
一部のストラテジストは潜在的な収益悪化の可能性を警告しているが、2023年第4四半期に企業の業績が底を打てば、投資家らは今後のプラス成長を期待し、リスクプレミアムは低下し始めると考えられる。
8.経済は生産性が向上
賃金のインフレは続いており、これは歴史的に労働生産性を向上させてきた。
9.収益は健全なものであるべき
「収益の質は、典型的な収益低迷期より健全だ。S&P500に優良銘柄が占める割合は60%以上となっており、この20年間で改善してきている」とストラテジストは述べている。
10.市場は歴史的にリターンの大きい四半期に突入
第2四半期と第4四半期は、歴史的に見ても株のリターンが好調な時期であり、S&P500を上昇させるはずだ。
バンク・オブ・アメリカのストラテジストらは、2023年の全般的な株式について「中立」としており、S&P500は4000の水準で年を越すと予測している。これは、現在の水準から3%下落し、年初からは5%上昇することを意味しており、2023年の株価は比較的横ばいの範囲で取引されると予想していた他行と一致している。