世界で2番目に深いブルーホールが発見された。
Alcérreca-Huerta, Álvarez-Legorreta, Carrillo, Flórez-Franco, Reyes-Mendoza and Sánchez-Sánchez/Frontiers in Marine Science
- メキシコ東部のチェトゥマル湾で深さ約274メートルの穴が発見され、「ターム・ヤ・ブルーホール(Taam ja' Blue Hole)」と名付けられた。
- これまで発見された中で2番目に深いブルーホールとされる。最も深いのは西沙諸島にある「三沙永楽竜洞」だ。
- ターム・ヤ・ブルーホールを研究することで、気候史や人類の未来までも理解できるかもしれない。
メキシコ東部のチェトゥマル湾で深さ約270メートルのブルーホール(海中の陥没穴)が発見された。その上部はほぼ真円で、面積は約1.4ヘクタールだ。その面積だけで、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)が10年前から売ろうとして(そして失敗して)いる邸宅の3倍の広さがある。
この穴は新たな発見とされているが、正確にはそうではない。2年前、ヘイスース・アルテミオ・プート・ヴィラ(Jesus Artemio Poot Villa)という地元の漁師が、メキシコの研究センターの科学者にこの穴のことを教えたのだ。
そしてこの穴に関する研究結果が『Frontiers in Marine Science』に2023年2月23日付で発表された。
ターム・ヤ・ブルーホールでは、海洋生物が繁栄している。
Alcérreca-Huerta, Álvarez-Legorreta, Carrillo, Flórez-Franco, Reyes-Mendoza and Sánchez-Sánchez/Frontiers in Marine Science
このブルーホールはマヤ語で「深海」を意味する「ターム・ヤ(Taam ja')」と名付けられた。
ターム・ヤは、これまで発見された中で2番目に深いブルーホールとされる。最も深いのは西沙諸島にある「三沙永楽竜洞(Sansha Yongle Blue Hole)」だ。カリブ海には多くのブルーホールがあるが、これほど深いものはない。
水深274メートルというのは本当に深い。
ターム・ヤ・ブルーホールの深さを示す図。
Alcérreca-Huerta, Álvarez-Legorreta, Carrillo, Flórez-Franco, Reyes-Mendoza and Sánchez-Sánchez/Frontiers in Marine Science
アメリカ南部で最も高いビルは、ノースカロライナ州にある60階建てのバンク・オブ・アメリカ・コーポレート・センターだが、その高さは265メートルしかないので、この穴にすっぽりと収まるサイズだ。だからといってこの穴にビルを沈めてしまおうなんて考えてはいけない。
科学者は、この穴を探検できることに興奮している。1000年前の地球の気候をよりよく理解するのに役立つというのだ。そして、気候史を研究することで、気候危機が人類や地球に与える影響をより正確に予測できるようになる。
ベリーズ沖の「グレート・ブルーホール」。
USGS, public domain.
また、ブルーホールには豊かな生命が繁栄している。アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、フロリダ州近郊で別のブルーホールを探索する計画を発表し「ブルーホールにはサンゴ、海綿、軟体動物、ウミガメ、サメなど、海洋生物にあふれた多様な生物群集が存在する」と述べている。
だから、ターム・ヤ・ブルーホールでスキューバダイビングをするのはいいが、高層ビルをそこに沈めるのは反対だ。