UMITO Partners(ウミトパートナーズ)は、全国各地でサステナブル漁業への取り組みを支援している。
提供:UMITO Partners
全国でサステナブルな漁業・養殖プロジェクトを展開するスタートアップ、UMITO Partners(ウミトパートナーズ)が4月24日、B Corp(Bコープ)認証を取得したと発表した。これにより、日本のBコープ企業(認証Bコープ)は23社となった。
Bコープ認証は、アメリカのNPO法人B Lab(Bラボ)が立ち上げた制度。BコープのBは「Benefit」を指し、株主だけでなくすべてのステークホルダーに恩恵をもたらす、いわゆる「良い会社」認証とも言われる。パタゴニアやダノン、オールバーズをはじめ6000社以上の企業が取得している。
2021年に創業したUMITO Partnersは、海洋・水産科学博士で構成される科学調査分析部とプロジェクト開発&マネジメントチームで展開。科学的なアプローチと現場目線を強みに、「現場の漁業関係者の伴走者として」(広報部)、サステナブル漁業プロジェクトや漁業に関連する各種認証取得支援、漁業を通じた地域ブランディングなどを手掛けている。
Bコープ認証について、UMITO Partners代表の村上春二氏は、パタゴニア日本支社で勤務していたこともあって以前から知っており、創業当初から取得を意識していたという。
サステナビリティ向上を支援する以上、自らのサステナビリティを体現したかった
会社としてBコープ認証の取得を目指した背景には、同社の中核事業・コンサルティングの価値をより明確に示したいという具体的な動機があった。
「漁業者さんのサステナビリティを向上するお手伝いをしている我々自身が、環境・社会に対して良い会社であることを体現しないことには、言葉と行動が一致していないよねという思いが当初からありました。そういった(会社の)あり方を体現したかったんです」(村上氏)
パタゴニアで勤務した経験を持つ、ウミトパートナーズ代表の村上春二氏。創業当初からBコープ認証の取得を意識していたという。
提供:UMITO Partners
Bコープ認証は、社会的・環境的パフォーマンスとして、審査で200点満点中80点を超えると取得できる。
今回、ウミトパートナーズは、「漁業・養殖業現場と伴走するサステナブル漁業プロジェクトやトレーサビリティプロジェクトを通し、各地域において重要な産業である漁業・養殖業のサステナビリティ向上に貢献している点が高く評価され」(広報部)、95.8点を獲得した。
「認証取得にあたって会社の体制を変えたり、何か新しいことを継ぎ足したりしたことはなかった」(村上氏)が、社会的・環境的パフォーマンスを証明する書類を揃えることには苦労したという。
「評価得点が特に高かったのが、事業が与える環境への影響だった。我々の事業がどれだけ環境へのインパクトを与えているのかを定量的に示すために、漁業者さんや企業さんから詳細な情報を集めて資料にするところが一番大変でした」(村上氏)
漁業者のモチベーションアップ、海外展開も視野
ウミトパートナーズのコンセプトは「おいしい漁業が、続く社会を。」。
UMITO Partners公式サイトをキャプチャ
そうした苦労を経て、「認証Bコープ」となったウミトパートナーズ。漁業者をはじめとするクライアントからの評価も上々だという。
「Bコープの存在を知らなくても、そういう(世界的に評価されている)認証を受けた会社と組んで仕事をしているんだと外の方々に伝えられるし、(我々と直接やり取りしている)担当者の方も、『そんな企業とやり取りしていたんだ、すごいね』と社内の評価も上がる。そういった面で、認証の取得がいい影響を及ぼしていることがとても嬉しいです」(村上氏)
認証取得を受けて、まずはほかの認証Bコープ企業との連携を強化していきたいと語る。
新たな事業・商品の開発、新規プロジェクトなどにも意欲的で、事業フィールドは国内だけでなく、海外展開も視野に入れている。
「Bコープは欧米では比較的認知度が高いので、例えば商品を作って海外に輸出したいとなったときに、我々とタッグを組むことで訴求力を高めていく、そういった展開の一助にもなれたらと思います」(村上氏)
そうした活動を通して、科学的アプローチと現場目線という強みをさらに伸ばしていくことを重視している。
例えば、地方で科学的な根拠をもとに動こうとすると、水産試験場や行政機関との関わりが大きくなってくる。ただ、小回りが利く民間企業が、科学的知見を提供したり、オーダーメイドで資源を守るプロジェクトを構築したりすることに対するニーズもある。
「そういったケースにおいて、科学チームがインハウスにあるということは我々の大きな強みです。また、一般的なコンサルティングのイメージよりもう少し泥臭く、マネジメントチームが現場目線で漁業者の方々と信頼関係を築きながらプロジェクトを進めているところも強み。その他、デザインをはじめとするクリエイティブなど、各種の強みを今後も伸ばしていきたいと思います」(村上氏)