ミッション中に月着陸船が撮影した月面と地球。
画像:ispace
民間企業による世界初の月面着陸を目指していた宇宙ベンチャーのispaceが、4月26日8時段階で月着陸船(ランダー)との通信が回復せず、月面着陸を確認することが難しいと判断したことを発表した。
ispaceのランダーは、26日0時40分頃から月面への降下を開始し、約1時間後となる午前1時40分には月へと着陸を果たす予定だった。しかし、着陸直前に通信が途絶。着陸の成否が判断できない状況が続き、通信の復旧が試みられていた。
isapceは、同日8時ごろに情報を更新。着陸が困難だと判断したことを発表した。
ispaceによると、現状で得られているデータから着陸シーケンスの終盤でランダーの姿勢が月面に対して垂直状態(着陸の最終フェーズ)になったことは確認している一方で、「着陸予定時刻を過ぎても着陸を示すデータの確認にはいたりませんでした」としている。
また、その後にランダーの推進燃料の推定残量がなくなり、「急速な降下速度の上昇」が確認され、最終的にテレメトリ(データ)の取得ができない状態となったことから、「ランダーは最終的に月面へハードランディング(急降下して衝突)した可能性が高いと考えております」としている。
ispaceは今回のミッションの中で、10段階のマイルストーンを設定しており、そのうち8つ目までは成功を収めてきた。また、着陸途中のデータ・ノウハウも得られたことから、「世界の民間企業による宇宙開発を進展させる布石になると強く信じております」としている。
以下、プレスリリースに記載されていたispace代表取締役CEO&Founderの袴田武史氏のコメントの全文を記載する。
「現時点では月面着陸完了の見込みがありませんが、着陸フェーズまで実行できたことで多くのデータと経験を獲得でき、このミッションの意義を十分に達成したと考えております。重要なのは、この知見と学びをミッション2以降にしっかりとフィードバックし、この経験を活かすことです。そのために私たちはすでにミッション2とミッション3を同時並行で開発を進め、継続性を維持できる経営基盤を用意しています。創業期から現在に至るまでこのミッションに貢献してくれた全ての従業員、それを支え続けてくれたご家族の皆様、そしてispaceのビジョンを信じ続けてくれた株主、HAKUTO-Rパートナー、お客様、サプライヤーなど多くの皆様のご支援に、改めて心より感謝申し上げます。私たちは歩み続けます。」