デイブ・ハーデン氏。
Summit Global Investments
投資家は、大きな価格上昇の可能性を求めて小型株に注目している。しかし企業が規模を拡大する前に参入することで大きなチャンスが得られる一方で、大きなリスクも伴う。
時価総額が比較的小さい企業(大まかな目安では20億ドル〔約2700億円、1ドル=135円換算〕未満が小型株だと考えられている)は、大型株と比べるとリスクが高く不安定な傾向にある。
しかし、SGIスモール キャップ コア ファンド(SGI Small Cap Core Fund:BOGIX)でのデイブ・ハーデン(Dave Harden)氏の使命は、価格下落リスクが最も小さい小型株の銘柄を特定し、より安定して上昇の機会を捉えられるようにすることだ。
ここ最近、BOGIXは堅調だ。2022年4月以降、S&P500の-6%に比べて、ファンドの値下がりはわずか2.2%だ。これは、同業他社の90%を過去12カ月の間打ち負かしてきたと十分に言える数値だ。また、同ファンドは小型株指数ファンドも上回っている。例えばこの1年間で、ヴァンガード スモール キャップ インデックス(Vanguard Small Cap Index:VSMAX)は8.6%下落した。
ハーデン氏は、この成功は定量分析と定性分析を組み合わせてリスクを特定した結果もたらされたものだと語る。考慮すべき事柄の70%は定量的な側面、つまり株価の変動率(ベータ値)、利益の質、評価値などが占める。全体として、彼らの投資モデルが注目する定量的な要素は20あるとハーデン氏は言う。
次にハーデン氏は、リーダーシップなど数値で測れない要素を考慮しながら、定性的またはファンダメンタルズの面から株式を調べるという。
「小型株の銘柄を探していると、さまざまな種類のリスクを抱えている会社が実にたくさん見つかります。強引な会計処理、CEOの問題、民事訴訟、訴訟提起、監査役の解任、その他諸々の問題が小型株の企業にはあります。我々はポートフォリオからこのような問題のある企業を除外するのです」
ハーデン氏が現在投資している5つの銘柄
ハーデン氏は、このようなプロセスを経た保有銘柄から、現在最も強気な見方をしている5つの銘柄を紹介してくれた。
まず2つは、ボート製造を行うマスタークラフト(Mastercraft:MCFT)とマリブボート(Malibu Boats:MBUU)だ。ハーデン氏によるとこの2社は評価が低く「見過ごされている」という。マスタークラフトの2023年の株価収益率の見通しは6.7、マリブボートは7だ。
ハーデン氏はボート遊びの人気がこれからも続くとファンダメンタルズを見て確信している。
「パンデミックの間、たくさんの人々がボートを購入しました。私はこの勢いが続いていると思います」
次にハーデン氏は、メトロポリタン銀行(Metropolitan Bank:MCB)とマーチャンツ・バンコープ(Merchants Bancorp:MBIN)の2つの地方銀行を挙げた。
銀行株は最近打撃を受けている。iシェアーズ U.S. リージョナルズ・バンクス ETF(IAT)は、年初来26%下落している。一方で一部の調査によると、大手の銀行はここ最近の預金の流入もあり、金融部門では現在ベストな投資先であることも示唆されている。
iシェアーズ U.S. リージョナルズ・バンクス ETFの値動き。
Markets Insider
ハーデン氏は、メトロポリタン銀行とマーチャンツ・バンコープの評価は魅力的であり、この2行が破綻することはないと考えていると述べた。
メトロポリタン銀行の株価収益率は4で、負債はほぼゼロ。またベータ値は0.85で、これは広範な市場よりも不安定度が低いことを表している。一方、マーチャンツ・バンコープは、株価収益率が5.5で、ベータ値が0.89だ。
地域コミュニティは地方銀行の提供するサービスが自分たちの事業を維持するのに役立つと感じているだけでなく、顧客のほとんどは自分たちの資金をより大手の機関へ移す必要性を感じていないという事実もある。
「通常、彼らは資金を移しません。平均的な顧客は、25万ドル(約3380万円)も預金していませんから」
※アメリカで銀行が破綻した場合、25万ドルまでは連邦預金保険で補填される。
最後に、ハーデン氏はカレンダー・プランナーの会社としてスタートし、現在デジタル分野に進出しているフランクリン・コヴィー(Franklin Covey:FC)の見通しに強気だという。FCは株価収益率が20台前半の成長銘柄だが、すでにかなり下がってきているとハーデン氏は言う。
ハーデン氏によると、FCには安定した収益があり、優良顧客による基盤を築いているという。彼にマイクロソフト(Microsoft )やグーグル(Google)などの大手テクノロジー企業が提供する商品と彼らはどのように差別化を図っているのかと尋ねたところ、FCは顧客が優先順位をつけてタスクに集中する手助けをしているとのことだった。
「カレンダーだけでは十分なお金にならないと思います。しかし、こと物事に集中し、計画的を立て、系統立て、優先順位を付けるはFCが得意とするところです。現実的に見て、あなたも私もタスクに優先順位をつけるのにGoogleカレンダーを使っていませんよね」