マイクロソフト(Microsoft)のサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO、左)とアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)から同社に電撃移籍したチャーリー・ベル。
Chesnot/Getty Images; Microsoft; Arif Qazi/Insider
この4月、マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、レドモンド本社の南西、ワシントン湖の向こうにシアトルを望む富裕層の街ベルビューのハイアット・リージェンシーに経営幹部を集めた。
経営幹部が一同に顔を揃えるのはパンデミック発生後初めてで、同時に、およそ1年半前にマイクロソフトに電撃移籍して業界を震撼させた「ある人物」のお披露目の場でもあった。
人物とは、クラウド最大手アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の共同創設者、チャーリー・ベルだ。
ベルを新設するサイバーセキュリティ部門のトップに据えたのはナデラ自身の判断だ。彼はこの日、集まった幹部たちに「セキュアな世界を実現する」新たな仕事にベル以上の適任者は思いつかないと語った。
AWSで「エンジニアのハートもしくは魂」と呼ばれたベルは、新天地でその傑出した能力を発揮できる仕事を見つけられるのか、マイクロソフトとアマゾンの現役・元経営幹部をはじめ、多くの業界関係者が注視する。
最近、退職時にアマゾンと結んだ競業避止義務契約の期間が終了し、ナデラ率いるマイクロソフトはいまや、クラウドコンピューティングの創始者とも言えるベルの力を対アマゾンの最終兵器として存分に活用できる状況にある。
AWSで長く経営幹部を務めたスコット・チャンセラーは次のように断言する。
「チャーリーの稀有な経験と能力をクラウドビジネスで最大限活用しないとすれば、それは間違った判断ということになるでしょうね」
また、資産管理大手ウェドブッシュ・セキュリティーズのテック担当アナリスト、ダン・アイブスは、マイクロソフトに今度のようなチャンスがやって来たこと自体が、ある転換点に差し掛かっていることを意味していると指摘する。
アマゾンはクラウド市場で長くトップシェアを誇ってきたものの、近年マイクロソフトのシェア拡大が進み、築いてきた強固な基盤に亀裂が生じ始めているという。
「クラウド市場の競争環境が激化する中、マイクロソフトは自分たちの庭とも言えるエンタプライズ(大企業)の顧客基盤を活用して、優位に立とうとしています」
この千載一遇のチャンスをつかもうとすれば、マイクロソフトはよそ者に対する反感や嫌悪を捨て、リーダー陣を中心に、長年厳しく対立してきた競合企業の元経営幹部を受け入れるほかない。
ベルはメディアのインタビューにはほとんど応じない人物だが、今回、数少ないその機会をInsiderは得た。
マイクロソフトでクラウドビジネスに自ら直接関わる可能性があるかどうか聞くと、彼はその質問に直接答えず、同社エグゼクティブバイスプレジデント(クラウド+AIグループ担当)のスコット・ガスリーに惜しみない称賛の言葉を送った。
「スコットは本当に素晴らしい。彼はオペレーションの真髄を知り尽くしていて、本当に最高の仕事ぶりです。(スコットの手がける)セキュリティビジネスはとても重要で、彼がそこに全力を注いでいると感じます」
ベルはなぜアマゾンを去ったのか
ベルがキャリアをスタートさせたのは米航空機大手ボーイング。フライトインターフェイスエンジニアとして米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル計画に携わった。
その後、ソフトウェア大手オラクルを経て、製造・小売業向けのEコマーススタートアップを創業。1998年にアマゾンが同社を買収したため、ベルもそのまま移籍した。翌99年にはバイスプレジデントに昇格。インフラ部門の担当を経て、2006年以降は同年サービスを開始したAWSで陣頭指揮を取った。
23年超在籍したアマゾンでは、技術面の深い知見、役所仕事を省いて端的な意思決定を実現する能力、パターンや問題、準備不足をあぶり出す的確な質問、その基礎となる洞察力を高く評価された。
ベルが部署横断で毎週開催していた「ウィークリー・オプス・ミーティング(Weekly Ops Meeting)」は社内でも有名だった。
ミーティングでは、長寿クイズ番組「ホイール・オブ・フォーチュン」で昔使われていたようなルーレットが登場。番組で賞金が書かれていたマスには、代わりにAWSの全ての部署名が振り分けられた。
ルーレットを回して「当たった」部署のスタッフは、担当する事業の最新状況をプレゼンした上で質疑応答に対応しなくてはならなかった。
単なる余興ではなく、実際にミーティングに参加した従業員の証言によれば、プレゼンや質疑応答で準備不足を露呈したスタッフに対し、ベルは本気で腹を立てていたそうだ。
設立間もなくのAWSでセールスを担当し、その後マイクロソフトを経てデータベース企業レディス(Redis)の最高事業責任者(CBO)として活躍するタイムール・ラシッドによれば、当時のAWSはベル、アダム・セリプスキー、アンディ・ジャシーの3人によって運営されていたという。
ベルの強みはテクノロジーとその運用に関する深い理解で、一方、ジャシーはビジネスの大局観、セリプスキーはセールスとマーケティングに強みを持っていた。
「3人はいずれも相互に補完し合う優れた能力の持ち主でした」(ラシッド)
悪名高い「Chop」ミーティングの場ではジャシーが主導権を握ったが、各プロジェクトの技術面についてはベルが議論を方向付け、結論を出すことも多かった。
同ミーティングに幾度も出席した元経営幹部は「チャーリー(・ベル)はあの会議室で最も適切な判断のできる人物でした」と本音を語った。
※Chopミーティング…AWSのCEO時代のアンディ・ジャシーが各種の経営判断を下した会議室は「Chop」の通称で呼ばれ、アイデアや従業員数の「縮小削減」を一刀両断で決める場として恐れられた。スタンダールの代表作『パルムの僧院(Charterhouse of Parma)』の略称に由来し、ジャシーは大学寮の自室も同じく「Chop」と呼んでいた。
ミーティングにおける3人の関係はその輪郭がはっきり際立つようになっていく。ベルはジャシーと肩を並べる対等な立場で議論するようになる一方、セリプスキーとは激しく対立する場面が目に見えて増えた。
技術面で圧倒的な知識を持つベルの前に、セリプスキーは劣勢に立たされることが多かったようだ。前出の元経営幹部は「アダム(・セリプスキー)がチャーリーを言い負かして会議が終了したケースは記憶にありません」と語る。
アマゾン社内のある人物は、幹部同士の激しい議論はよくあることで、徹底的な議論こそがアマゾンをより良い意思決定に導いてきた経緯があると強調する。
また、AWSのランレート(四半期売上高を年換算した推計額)は850億ドルで、グーグルやマイクロソフトをはるかに上回るハイペースで成長を続けており、いまだ発展の初期段階にある同社ではさらに活発な議論が必要になるとの見方を語った。
しかし数年後、ジャシーの本体CEO就任に伴い、彼の後継に指名されたのはセリプスキーのほうだった。大企業経営の経験がないベルに対し、セリプスキーは当時データ分析プラットフォームのタブロー(2019年にセールスフォースが買収)でCEOを務めており、その経営者としての経験の差が理由の一つだった。
2021年、ベルの役職は変わらずシニアバイスプレジデントのまま、かつてはリーダーとして肩を並べたセリプスキーの指揮下に入ることになった。
ベルはAWS経営トップとしての仕事に興味を抱いていた。そして同時に、セリプスキーに仕えることを望んでいなかった。
ベルに近いある人物によれば、彼は創業者ジェフ・ベゾスのような積極的に大きなリスクを取る覚悟を持った大物との仕事を期待していたので、「サティア・ナデラ率いるマイクロソフトとの出会いは偶然とは言え、理想の方程式にぴたりとハマる」形になったようだ。
そして、ベルはアマゾンを去った
アマゾンを離れる決断の前後について問うと、ベルは二つのことを語った。
一つは、アンディ・ジャシーとの間に素晴らしい仕事の積み重ねを通じた信頼関係があること。
もう一つは、2021年2月にベゾスがCEOを退いて会長になると電撃発表したことで、否応なしに自身のキャリアを省みる転換点がやって来たこと。その時から、65歳になったベルは次の、そしておそらく最後の転職を考え始めたのだった。
マイクロソフトが設定したインタビューで、ベルはInsiderにこう語った。
「何と言うか、自分がまだこれから何かやるつもりなら、いまこの節目で決断したほうがいいと思ったんです。どんどん歳はとっていますが、自分は引退してゴルフを楽しむような人間ではないと、いつも思って生きてきました。いつまでも人の役に立ちたいのです」
彼の頭の中にあったのは、サイバーセキュリティだった。テック業界がいまだ解決できていない巨大かつ深刻な問題であり、その脅威は日増しに大きくなっている。
ベルはサイバーセキュリティをテーマにしたスタートアップの創業や、既存企業のサイバーセキュリティ部門への転職も考えたが、問題はあまりに大きく、より包括的な取り組みが求められているように感じられた。
「この分野について知れば知るほど、悪質なプレーヤーの存在感が看過できないほど大きくなっていて、規模感を持った取り組みが必要になってきていることを思い知らされるようになりました。
そして、マイクロソフトこそがそれを実行に移す場なのかもしれない、とも」
ベルはまずサティア・ナデラと会った。接点はベルの妻、ナディア・シュラブーラ。テック分野の起業家でアマゾンの元経営幹部、ベゾスを中心とする最高意思決定機関「Sチーム」のメンバーでもあった彼女から、ベルはナデラを紹介された。
マイクロソフトとアマゾンがクラウドビジネス市場で激しい競争を繰り広げるライバル関係にあったことから、ベルは当初マイクロソフトの経営トップと面会することに慎重だった。ただ、サイバーセキュリティ分野については、両社の間にさほどの摩擦はなかった。
「『あなたはサティアと話すべきだと思う。全く良い話が出てこなくていい、話すだけでもいいじゃない』、妻はそう言っていました。
それから数週間が過ぎたある週末、私はここ(マイクロソフト本社のある)レドモンドの34番ビルディングでサティアと会い、初めて話をしたのです」
ナデラとベルはすぐに意気投合し、それから間もない2021年8月上旬、ベルはアマゾンを去った。退社はあまりに突然で、退職を公式に社内報告したのも最終出社日のことだった。
当時、Insiderの取材に応じた従業員の一人は、「完全にショックでした」と率直な感想を口にしている。
同月末、Insiderはベルがマイクロソフトに移籍することをスクープした。
ベルは数週間完全に仕事を離れ、その間にマイクロソフトとアマゾンはベルが競業避止義務に違反せずに新たな職務に就けるよう、法的取り決めに関する調整を行った。なお、アマゾンは競合他社に移籍する経営幹部に競業避止義務契約の締結を求めることで知られ、その適用期間は18カ月に及ぶ。
9月14日、ナデラは従業員向けの社内メールでベルをマイクロソフトに迎え入れることを明らかにし、ベルをエグゼクティブバイスプレジデントに就任させることに加え、サイバーセキュリティ分野などを担当する1万人規模の新設部門「セキュリティ・コンプライアンス・アイデンティティ・マネジメント」の責任者にすることを発表した。
前出のスコット・ガスリーが担当していたクラウド&AI部門、ラジェシュ・ジャーが担当していたエクスペリエンス&デバイス部門を統合したのがベルの担当部門だ。
ナデラは先述の従業員向けメールで、ベルを迎え入れる意義を次のように強調している。
「当社ひいてはテクノロジー業界が向き合うべき次なる課題は、デジタルプラットフォーム、デバイス、クラウド、それぞれのセキュリティです。私たちはいまこの課題に大きな意欲を持って取り組んでおり、チャーリー(・ベル)もそのことを認識しているからこそ、マイクロソフトへの移籍を望んだのだと思っています」
マイクロソフトの企業カルチャーに直面して
ナデラ本人との強い絆(きずな)は、外様(とざま)に厳しいことで知られるマイクロソフトでベルが働く上でプラスになっている。
「チャーリーとサティアは最初の出会いですぐに、しかも深く意気投合しました。外から来た人間がことごとく挫折して去って行った昔のマイクロソフトで働くのとは訳が違うのです」
これまで、マイクロソフトは有望な人材がキャリアを積み上げる前の浅い段階で採用し、社内で育成を図ってきた。数十年単位の長いキャリアを同じ職場で歩んできた同僚同士の関係がそこにはあり、外部から中途で入ってきた人材が馴染むのは簡単ではない。
ヴイエムウェアの最高技術責任者(CTO)やグーグルのバイスプレジデントを歴任、マイクロソフトでもゼネラルマネージャーやコーポレートバイスプレジデントを務めたハビエル・ソルテロも、自ら創業したスタートアップをマイクロソフトに売却し、そのまま同社にジョインした「外様」の一人。
ソルテロは「競争やアジャイル(俊敏)な実行に全く資することのない作業や工程の全てが、そこにありました」と批判を隠さないが、それでも彼がマイクロソフトで一定の成功を収めたのは、やはりナデラの支持があったからだ。
ベルの移籍に当たっては、彼の直属の部下として指名されたコーポレートバイスプレジデント、バス・ジャッカルが「オンボーディングバディ」(職場に定着するまでマンツーマンでサポートする相談役)の役割を果たした。
マイクロソフトが設定したインタビューでジャッカルがInsiderに語ったところによれば、ベルは最初はとにかく説明を受ける側に徹し、いくつか質問されたことと言えば、「マイクロソフトにとってイノベーションとは何なのか」「マイクロソフト村の住民とはどんな人たちを指すのか」といった内容だったという。
ベル自身もインタビューでこう語っている。
「ある程度、変更や修正を指示した部分もありますが、それにしても相当に慎重な姿勢で臨み、やって来て初日にいきなりこれまでのやり方を変えるようなことは一切しませんでした」
複数の関係者の証言によれば、AWS時代にベルの競合相手だったクラウド部門(Azure)所属のメンバーたちからは、いまだに反発があるのだという。関係者の一人はこう語る。
「『私たち対彼ら』という意識がまだ残っているように感じます。要するに、自分たちだけで十分やっていけるのに、何でこいつが必要だと言うんだ?我々のビジネスじゃないか、というわけです」
ただ、ベル本人はこう話し、少なくとも表面的には意に介していないようだ。
「協業を厭(いと)わない姿勢、心から歓迎する態度、グループ横断的な協力関係のあり方を目の当たりにし、感激しました」
マイクロソフトを「アマゾンのように速く」
電撃移籍から半年が過ぎたベルが、ナデラとともにこれまで実行に移した変革のうち最も大きなものは、生産性向上ツール「Office 365」事業とAzureクラウドオペレーション、両者のセキュリティ担当チームを統合する決定だ。
この統合チームが、ベル率いる「セキュリティ・コンプライアンス・アイデンティティ・マネジメント」部門の土台となっている。
ベルはInsiderとのインタビューで、両チームの統合を決めた理由について、オンラインのアクティビティやデータをより広く見渡せるようにすることで、サイバーハッカーへの対抗能力を改善できる点を挙げた。
「マイクロソフト製品のセキュリティ確保を目的とする製品と組織が、社内にそれぞれ二つ重複して存在していました。全てが断片化していて、ハッカーにとっては、断片を一つずつ狙い、断片同士の継ぎ目を見つけては移動していくという攻撃が可能な状態。これではハッカーにチャンスを与えるようなものです。
したがって、一つのソリューションとして(セキュリティ関連製品や担当組織を)まとめることでどうしてもその問題を解決する必要があります。社内ではこの取り組みを『エンドツーエンド(端から端まで)』と呼んでいます」
この統合は困難を極めた。それぞれの組織があまりに違いすぎるからだ。ある関係者は次のように表現する。
「二つの世界を一つにするにはどうしたらいいでしょうか。当然、メールを何通か送るだけで実現できるような話ではなく、毎日毎日そのための対応が必要なのです」
このセキュリティチームの統合以外にも、ベルはアマゾンでの経験を活かして、マイクロソフト社内の効率化を進めている。
本記事の冒頭で紹介したハイアット・リージェンシーでの経営会議では、ベル率いる部門に所属するスタッフが、新たに開発した人工知能(AI)搭載のサイバーセキュリティ製品「セキュリティ・コパイロット(Security Copilot)」のデモを20分ほど行った。
製品の発案からローンチまで数カ月を要したものの、マイクロソフトの典型的な製品開発スケジュールに比べれば光速とも言えるスピードだ。
ある関係者は、ベルを起点とするこの動きをこう称賛する。
「あらゆる役所仕事的なプロセスを排除したことで、セキュリティ・コパイロットは『アマゾン並みの迅速さ』でローンチまでたどり着きました。
チャーリーがいなかったら、こんなことは起きなかったでしょう。他の経営幹部が従業員に同じ(スピード開発の)指示をしたとしても、『いや、それは無理ですね』という返事しか返って来なかったでしょう」
なお、マイクロソフトの担当者によれば、セキュリティ・コパイロットは、セキュリティ分野を長年リードしてきた同社の実績の積み重ねと、AI開発企業OpenAIの「GPT-4」はじめ大規模言語モデルの急激な進化、さらに同社の他のAIアプリケーションを通じて得られたデータや知見を組み合わせて生まれた製品で、そのような(総合的な)取り組みによってイノベーションのスピードが加速した結果、迅速なローンチが実現できたという。
ベルを起点とする変革は、製品や組織にとどまらずオペレーションにも及び始めている。
彼はマイクロソフトの従業員たちにも、アマゾンが採用していることで知られる業務計画書「OP(Operation Plan)1」に倣ったスタイルのドキュメント作成を推奨している。
アマゾンでは次期業務計画を策定する際に、各チームが主な取り組みの概要や必要な予算規模、必要な新規採用数などをドキュメントにまとめて記載し、経営陣がそのレビューを行う。OP-1は年末商戦を控えた第4四半期(10〜12月)の期初に提出されるものを指す。
また、同じくアマゾンで開発初期段階の製品もしくはアイデアの社内提案フォーマットとして使われている「PR/FAQ(Press Release and Frequently Asked Questions)」をテスト導入したチームもある。
その名の通り、市場投入時を想定して未来のプレスリリースやユーザーからのよくある質問に対応するドキュメントを作成する取り組みだ。
ベルはさらに、前出の「ウィークリー・オプス・ミーティング」もマイクロソフトに持ち込んだ。彼はInsiderに戯(おど)けてこう語った。
「実は、まだ例の『ホイール』は用意できていないんです。あれは(最新状況を)発表するチームをランダムに選ぶための道具ですが、こちらではホイールなしでも問題なくやれているので。でも、いつかホイールを使いたくなるかもしれませんね」
マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデントで、1997年の入社から数十年という長期にわたってサイバーセキュリティ畑を歩んできたロブ・レファーツは、ベルが持ち込んださまざまの改革のおかげで、組織全体が各種の指標やデータ優先の作業や工程、顧客視点の考え方を重視するようになったと語る。
「マイクロソフトに勤務して20数年になりますが、これまでとは異なる新たな物事の考え方を取り入れたり、より良い結果とスピードにこだわったりする経験は、実は初めてで、私にとっては良い機会になっています。
私たちはいま(ベルが推奨するアマゾン式の)ドキュメントをミーティングで使っていますが、思考と議論が明確になり、私はすごく気に入っています。実際、自分が参加するあらゆるミーティングは、ドキュメントをベースにして議論するやり方に切り替えました。取り組みの概要をまとめたメモから全てを始めるのです。
ちょっとした工夫ですが、ものすごく役立っています」