ユーザーの8割が中高生。Zenlyに代わる位置共有アプリ「whoo」を家族で使ったらほっこりした話…MIXIが出資

whoo

撮影:Business Insider Japan

2023年2月にサービスが終了した位置情報共有アプリ「Zenly(ゼンリー)」と同様の機能を持つアプリの一つ、「whoo(フー)」に注目が集まっている。4月17日、MIXIが開発元のLinQに対し、条件付きで最大約20億円の出資をすると発表した。

類似アプリはゼンリーの親会社Snapが正式に「後継」とする「Snapchat(スナップチャット)」や、「NauNau(なうなう)」などもある。それぞれが「ポスト Zenly」の立ち位置を狙う中、whooは2022年12月のリリースから3カ月で国内外で1000万ダウンロードを突破し、勢いに乗る。

3カ月で1000万ダウンロードを記録した「whoo」(左)と、競合する類似アプリ。

3カ月で1000万ダウンロードを記録した「whoo」(左)と、競合する類似アプリ。

撮影:小林優多郎

開発元のLinQによると、ユーザーの8割が中高生世代。友人との待ち合わせや、日々のコミュニケーションを楽しむのに使われているという。

中高生世代とは10歳以上年齢差がある29歳の記者(私)の感覚では、位置情報の共有というと、どうしても「相手の行動を監視するもの」というイメージがぬぐえない。けれど、whooがアプリを通じて目指す世界は「より友達と仲良くなれる」ことだという。

位置情報を共有するだけで、本当に友達と仲良くなれるの? ストーカーアプリではないの? リアルタイム位置情報アプリの面白みを体験するために、離れて暮らす家族(父、母、妹)と一緒に使ってみた。

妹に飲みに行ったのがバレた

アプリはフランクな言葉遣い。位置情報は「あいまい」「フリーズ」機能で隠すこともできる。

アプリはフランクな言葉遣い。位置情報は「あいまい」「フリーズ」機能で隠すこともできる。

スクリーンショット

まずは会社員の妹(25)と友達になった。whooでは相手の位置情報だけでなく、その場所での滞在時間、バッテリーの残量、充電中かどうか、移動中の場合は速度までもが分かるようになっている。

夕方、職場からアプリを開いてみた。時間的に帰宅しているかと思いきや、妹のアイコンが表示されたのはコメダ珈琲店。仕事終わりに立ち寄っているようだ。

アプリ上で「何してるの?」とメッセージを送ってみると、「本を読んでいる」と返事があった。会社帰りにカフェで読書などという優雅なことをしているとは知らなかった。その日の夜は、私が飲みに出かけたことが妹にばれた。

もうちょっとサンプルがほしいので、翌日、父(60代)と母(50代)にもアプリをダウンロードしてもらい、家族4人で使い始めた。

朝、家を出るタイミングでアプリをのぞくと、妹が時速58キロで移動している。車で出勤中のようだ。移動速度までわかると、交通手段も推測しやすい。しばらくすると母も家を出て、職場に移動していた。今日は早番らしい。「みんな今日も頑張って働いているなあ」と思いながら地図上のアイコンを眺めていると、ちょっとやる気が出てきた。

我が家は、私以外の3人は一緒に暮らしている。自宅から職場が一番近いのが父だ。昼休みに家で食事をとったり、忘れ物を取りに来たりしているのは知っていたが、whooを通じて意外とよく家に帰っていることが分かった。「あれ、また帰ってきてる」と思い聞くと「作業着を置きに来ただけ」という。本当だろうか。

whooでは友達同士が同じ場所にいると、炎のマークでそれを知らせてくれる。ある日の夜は、駅の近くに母と妹がいた。2人が続けている習い事の日だ。練習が終わると行きつけの店に飲みに行くのが定番コースで、この日も、その店で2人のアイコンが燃えていた。23時くらいにのぞくと、まだいる。早く帰りなよと思いつつ、少しうらやましい気もしてアプリを閉じた。

「何してるの?」が気軽に聞ける

家族がどこにいるのかが分かる。

家族がどこにいるのかが分かる。

スクリーンショット

土曜日。父が自宅からどんどん南下している。ツーリングだろうか。「朝からどこへ」と家族のLINEグループに送ると「ゴルフ」と返ってきた。その日のうちに、スコアと思わしき数字と「上出来」というメッセージが送られてきた。

同じ日、私は江ノ島に出かけていた。それを見た妹から「なぜ江ノ島」と連絡が来たので、現地の写真を送ってみた。船に乗ったので位置情報が海上になったらしく、母からは「海の上だ」ともメッセージがあった。

日曜日は妹が車で1時間ほどの遠方へお出かけ。母は仕事。位置情報は一家離散状態だった。

平日にどこで働いているのかは知っていても、家族が週末をどう過ごしているかまでは知らなかった。特に妹は行き先を告げずに出かけていくことが多いので、所在を把握できるという点でも家族にとっては有用かもしれない。

家族と使って感じた「気持ちが近くなる」感覚

友達同士が一緒にいると、炎のマークで知らせてくれる。

友達同士が一緒にいると、炎のマークで知らせてくれる。

スクリーンショット

冒頭のとおり、アプリの開発者であるLinQの原田豪介CEOは、MIXIのポッドキャストで「whooが目指す世界は、友達ともっと仲良くなれること」だと説明している。

離れて暮らす家族と約1週間、アプリを使ってみて「確かにそうかもしれない」と思った。

私のように親元を離れて暮らす社会人の多くがそうだと思うが、わざわざ「何してるの?」と連絡するほど家族の日常に興味はないし、用があることもそれほどない。でも、位置情報の共有によって一緒に住んでいなくても暮らしが見え、相手をより身近に感じられるようになった。

病院にいるのを見つけた時は、ちょっと心配になったり(予防接種だった)、家でも職場でもない場所にいると「何してるの?」と聞いたり。特に用はなくても、アプリを開くと気軽に話しかけるきっかけが落ちている。コミュニケーションの頻度が上がった

同居している家族間でも「仲良くなる」効果はあったようだ。母が職場から帰ると、アプリで帰宅中であることに気づいた父が玄関で出迎えてくれたらしい。そんな光景、今まで見たことがない。母曰く「帰ったら玄関で『本当に帰ってきた』とニコニコしていてびっくりした」そうだ。

whooは、「世界中で利用されるコミュニケーションアプリ」を目指し、LinQによると既に175カ国で利用されている。今は中高生がコアユーザーだが、20代後半〜60代の家族でも思いのほか楽しく使えた。

「監視アプリ」という先入観はいつの間にか消えていた。


編集部より:初出時、アプリ名を「Whoo」としていましたが、正しくは「whoo」です。お詫びして訂正致します。 2023年5月2日10:18

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