「TOYLO PARK」はイトーヨーカドーが2021年から展開する、玩具や文房具、通園・ 通学用品などのショップエリアにアミューズメント設備を兼ね備えた、キッズ/ファミリー 向けのコンセプトフロア。
撮影:杉本健太郎
首都圏の大規模商業施設「ららぽーと横浜」。入居するテナントの1つのイトーヨーカドーの店内に、約60坪の巨大な「砂場」がオープンして話題を集めています。
砂場を設置したのはイトーヨーカドーららぽーと横浜店。4月21日に子ども関連売場を大幅に改装、「TOYLO PARK」としてリニューアルし、この砂場は目玉の1つです。
なぜスーパーマーケットに砂場を作るのか。そこには、巧みな「集客」の狙いがあります。オープンから1週間の現地を取材しました。
子どもたちの動きに合わせて「リトルプラネット」が協力した光の演出がなされる。
撮影:杉本健太郎
あまりの人気に急遽、時間制限と人数制限を実施
あまりの人気に時間制限が導入されることになった。
撮影:杉本健太郎
約60坪の砂場「SAND AREA」は、砂山すべり台が大人気で、近隣の小学校が終わる15時以降は子どもたちであふれます。
4月21日のオープン以来、担当者も驚くほどの人気が続き、急きょ15時から16時40分の間は40分制の時間制限と人数制限を設けることになりました。なお、入場料は、平日 200 円、土日祝 300 円(いずれも税込)と手ごろです。
元々3フロアあるイトーヨーカドーの2階を「TOYLO PARK」とした。売り場面積1万7500平米の広い店舗だ。
出典:イトーヨーカドープレスリリースより
そもそもなぜイトーヨーカドーに砂場をつくるのか? 担当者は、
「イトーヨーカドー横浜店を改装することが決まった時、体験型の施設にしようと考えました。そこで、子どもたちに何が最も喜んでもらえるか、何回も来ようと思ってもらえるか考えたときに出てきたのが砂場でした」(担当者)
と説明します。
驚くほど広い砂場ではありますが、連日の満員ぶりを見ると地域のニーズは確実につかめていることもわかります。
担当者は、子どもたちが殺到する背景には、現代特有のある課題も関係していると言います。
屋外で遊べる砂場がどんどん減っている
6歳以下の子どもには坂ではない砂場が用意されている。
撮影:杉本健太郎
いま、街角の公園などの砂場は、子どもが公園で遊ぶことを禁止したり、ペットのフンで不衛生だと感じる人が増え、親が遊ばせるのを避けるという現状があります。そこで、イトーヨーカドーでは、抗菌済みの「キレイな砂」を使い、屋内で安心して遊べる砂山を作りました。
当初は砂山を設置することも考えていましたが、多人数で遊ぶのが難しいとの判断から「砂山の滑り台」に変更したと言います。
ライバルは「トイザらス」ではなく「公園」
6歳までの坂と6~12歳の坂では傾斜が異なっている。
撮影:杉本健太郎
今回のリニューアルでターゲットにしたのは、明確に「子ども」です。子どものハートをつかめれば、家族連れが来店してくれ、ついでに何かしら店舗で買い物をしてくれる……という狙いです。
その意味で、担当者は、ライバルはイオンやトイザらスではなく、街の「公園」だと話します。
圧縮した空気で砂を払える「砂払いブース」も設置されている。
撮影:杉本健太郎
砂場のメンテナンスなど「まだまだ改善の余地はある」(担当者)ことから、改善点を見つつ、展開していきたいと意気込んでいます。