ダン・リバーズ氏は、経済的な自由を得て家族とより多くの時間を過ごせるよう、不動産投資を始めた。
Courtesy of Dan Rivers
不動産投資家のダン・リバーズ(Dan Rivers)氏は、経済的自由に向けての取り組みを始めるのに遅すぎることはないという実例だ。
リバーズ氏が不動産投資を始めたのは2019年、38歳のときだ。12年間のプロパティマネジメントのキャリアから足を洗い、人生を変える決断をした。
不動産業者になった最初の年、リバーズ氏は2万8000ドル(約378万円、1ドル=135円換算)しか稼げなかった。しかし、リバーズ氏の「中途半端にやってもしょうがない」という持ち前の粘り強さも手伝って、一生懸命取り組み続ければいずれ自分の求めていた時間と収入を不動産投資から得られるだろうと前向きに捉えた。
それから4年後、Insiderが確認した書類によると、リバーズ氏は不動産ポートフォリオを12物件にまたがる16戸にまで増やし、総評価額は約270万ドル(約3億6000万円)になった。そのポートフォリオのうちリバーズ氏の個人資産は190万ドル(約2億5600万円)強で、100万ドル(約1億3500万円)近くは複数の不動産シンジケーションに投資している。
Insiderの取材に応じたリバーズ氏は、不動産投資家を志す人ならライフステージを問わず誰でも始められるようなアドバイスを3つシェアしてくれた。
「基本的な知識を得る、人間関係を築く、取引をする。この順番で始めるのです」
1. 不動産投資に関する知識を身につける
リバーズ氏の最初のアドバイスは、他の先達同様、本や講座などのリソースを通じて教養を身につけ、知識のベースを広げることだ。
リバーズ氏は、月に少なくとも1、2冊の本を読む、あるいはオーディオブックを聴くことを目標としている。ビジネス、投資、自己啓発の本では、スティーブン・A・シュワルツマンの『What It Takes(邦題:ブラックストーン・ウェイ PEファンドの王者が語る投資のすべて)』、ロバート・アイガーの『The Ride of a Lifetime(邦題:ディズニーCEOが実践する10の原則)』、ダン・サリヴァンの『Who Not How(邦題:「どうやるか」ではなく「誰とやるか」)』などがお気に入りだそうだ。
一方、講座やミートアップも非常に価値があるという。初心者が不動産投資についての知識を深めるための手段というだけでなく、人的ネットワークを形成するという点でも重要だ。このような講座には高額なものもあるが、そこで投資家が得られる知識や収穫、利益は、出費に見合うものであることが多いというのがリバーズ氏の考えだ。
「もうすぐ高校を卒業するという人が、15万ドルや20万ドルもかけて大学に行こうと言うのはとても簡単な話です。高校卒業を間近に控えた人が15万ドルや20万ドルかけて大学に行くのはなんとも思わないのに、マスターマインド・グループに1万ドル払って起業について学ぼうとするとどうかしてると言われる。でもそれは、あなたが何を目標にしているか、何を達成しようとしているか次第なんです。どちらも素晴らしい手段だと思いますが、そこには偏見があるように思います」
もちろん、リバーズ氏は、すべての講座が同じように作られているわけではないと注意を促す。
「どれを選んでも同じというわけではありませんが、適切な講座を選べば、学んだことや理解したことが、驚くほど大きな力になります」
適切な場所にいることは、人間関係づくりにおいても重要だ。リバーズ氏は、自身が不動産投資で成功できた要因の大部分は人間関係にあると考えている。
例えば、通常、不動産シンジケーションは適格機関投資家向けのものなので参入コストが高いが、リバーズ氏は、チャールストンの地元のミートアップでオペレーターと知り合ったことで、わずか5万ドル(約675万円)の初期投資で最初のシンジケーションに参加することができた。そのファンドが7万6000ドル(約1000万円)で売却されるまでの1年半の間、リバーズ氏は毎月300ドル(約4万円)程度の安定した支払いを受け、合計で3万ドル(約400万円)以上の利益を得たという。
2. ネットワーキングの会話に付加価値をつける
つながるべき人を見つけたら、会話に価値を持たせるよう意識すること、というのがリバーズ氏の次のアドバイスだ。単にアドバイスを求めるだけでは、ベテラン投資家に時間を無駄にしていると思われてしまいかねない。
「誰に対しても『知恵を貸して』と頼むだけではいけません。それは、この業界で一番やってはいけないことの一つです。なぜって、これではまるで『私は調べ物も苦労も一切したくないんです。だから、あなたがいなくても成功できるように、あなたが知っていること、あなたの価値基準を全部教えてください』と言っているようなものだからです」
そうではなくて、初心者はベテラン投資家の時間や指導と引き換えに、常に価値を提供するよう心がける必要がある。さしあたり仕事で力になれることがあるかと尋ねてみてもいいだろう。もし相手が「物件を増やしたい」と言うなら、戸別訪問をして可能性がありそうな案件を探してきましょうかと提案し、それと引き換えに取引分析の指導をお願いすればいい。
「こうすることであなたの本気度が伝わります。私自身、長い時間をとって不動産投資について説明したのに結局その相手は挑戦せずじまい、ということが何度あったか知れません。一日の時間は限られているので、その時間を本当に必要としている人、本気で挑戦しようと思っている人のために使いたいんです」
「分析麻痺」に妨げられないように
最後にリバーズ氏は、リサーチと準備は重要だが、「分析麻痺」に陥ってしまいせいで最初の取引に踏み出せなくなる、ということがないようにとアドバイスする。
「分析しなくていいと言っているのではありません。リサーチはしてください。でもそれを延々と引きずらないことです。その最初の取引が一番難しいからです」
投資家志望者がいくつかの取引を分析し、そのパラメーターや計算方法に慣れたら、とにかくやってみることが大事だとリバーズ氏は語る。
取引の方法を学ぶうえでは、さまざまな取引用計算ツールを調べ、オンラインで提供されている計算式に使えるリソースやデータを見つけるといいとリバーズ氏は言う。例えば、地方自治体のウェブサイトに行くと、投資用物件の税負担に関する詳しい情報が書かれている場合がある。