優良企業を保有したい投資家にとって、アップル株は良いだろう。
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- アップル株は、オンライン証券会社に口座を開設すれば購入できる。
- アップルの財務諸表を見て安全な投資かどうかを確認するのが賢明だ。
- 購入後も投資戦略に沿って、定期的にモニタリングするのがベストだろう。
ハイテク大手のアップルは1980年に1株22ドルで株式公開を行った。それ以降5回の株式分割を行い、株価は変動を繰り返しながら2022年1月3日には180.96ドルという最高値をつけた後、足元では160ドル台で推移している。
アップル株を投資ポートフォリオに加えるにはいくつか方法がある。その1つがファイナンシャルアドバイザーを雇う方法だが、自分自身で取引をしたいなら、オンライン証券会社で投資を開始できる。
1. 証券口座を開設する
アップル株に投資するには、アップル株を扱う証券会社に証券口座を開設する必要がある。エイセス・アドバイザーズ・ウェルスマネジメント(Aces Advisors Wealth Management)で投資アドバイザー兼マネージングディレクターを務めるアンドレ・ジャンピエール氏によると、米国には課税口座と非課税口座がある。日本にも、一般口座と、値上がり益が非課税になるNISA口座がある。
NISA口座でも米国株を購入できるので、アップル株を取り扱っている証券会社にNISA口座を開設しても良い。特に2024年からは一般NISAが成長投資枠という名前に代わり、年間投資可能金額も現行の120万円から240万円に拡大される。また、新NISAの生涯投資枠1800万円のうち、成長投資枠で使える分は1200万円までとなり、非課税保有期間も無期限になることから、長期投資には最適と言えるだろう。
さらに証券会社では、株式だけでなく、オプション、上場投資信託(ETF)、投資信託、債券などさまざまな資産に投資できる。すべての証券会社というわけではないが、手数料無料(すなわち株式、ETF、オプションなどの取引に手数料を払う必要がない)、多岐にわたる投資商品、端株取引、柔軟なカスタマーサポートを提供しているところもあるので調べてみよう。
「だが、大企業ほど将来が確かではなく、あまり知られていない中小企業への投資よりも、実績のある大型株や優良株への投資は一般的にリスクは小さい」
また、証券会社によっては、ミニ株(単位未満株)の売買ができるところもある。2023年4月19日現在のアップルの株価は163ドル超なので、1株を購入するのに163ドル(約2万1000円)が必要だ。投資をしてみたいが、さらに小さな金額で少しずつ買いたい投資家にはミニ株が向いているかもしれない。ただし、すべての証券会社が米国株のミニ株取引サービスを提供しているわけではない。
ETF、投資信託、インデックスファンドのような低リスク投資を好むなら、バンガード500インデックスファンド(Vanguard 500 Index Fund)、シンプリファイ・ボルト・クラウド・アンド・サイバーセキュリティ・ディスラプションETF(Simplify Volt Cloud and Cybersecurity Disruption ETF)、フィデリティ500インデックスファンド(Fidelity 500 Index Fund)といったアップル株を組み入れているファンドを購入しても、同社株のエクスポージャーを取ることができる。
2. アップルの財務諸表を調査する
株主になる前にデューデリジェンス(投資前の調査)をすることが肝心だ。貸借対照表、損益計算書、直近の株主総会の記録、四半期決算報告、市場分析など複数の情報源を調査することで、会社の財政状態が健全かどうかを確認できる。
「安定配当を支払いつつ、新たな市場への拡大を狙っている優良企業を保有したい投資家にとって、アップル株は良いだろう」とジャンピエール氏は言う。「以前ほどの高い成長率は期待できないけれども、アップル株は配当も払う大型グロース株に分類される企業の1つである」
また、過去の株価パフォーマンス分析は有効だが、会社やその市場に影響を与えるニュースにも定期的に目を向ける必要がある。2022年のケースのように、景気もまた株式市場に大きな影響を与え、相場の急落を引き起こすことがあり、投資家はインフレと金利上昇に苦しんだ。
アップルだけでなく、テスラやアマゾンのようなその他優良株もまたひと際値動きが激しく、リスク許容度が低い投資家や退職間近の人には理想的な選択肢ではないかもしれない。
3. 投資額と注文方法を決める
投資額と投資の頻度は、個人の資産目標、リスク許容度、投資期間によって大いに左右される。これらは人によって異なるが、株式を購入する前に必ず生活防衛資金(生活費の3~6カ月相当の貯蓄)を準備することが聡明だ。
「投資とトレーディングはまったく別物」とジャンピエール氏は言う。「トレーディングは、価格の歪みを見つけて利用し、市場全体を出し抜くことを目指す。だが、投資とはまさに企業を所有することである。成長している会社を保有することで長期的な利益にあずかり、そうした企業の成長にお金の面から関与する行為だ」
さらに、いくらで買うかに関しては、どの注文種類を選ぶかが重要になってくる。注文の種類は、いくらで注文を執行して欲しいかを証券会社に伝えることと同じだ。一般的な注文タイプは次の4つである。
- 成行注文: 最も基本的な注文。成り行き注文を選択すると、注文は即座に執行されるので、投資家は約定価格をコントロールできない。例えば、株式の値動き次第では、注文が執行されるまで、自分が予測していた価格よりもわずかに高いか低い価格を支払う可能性がある。つまり、一定の約定価格を念頭におくならば、値動きが激しい相場で成り行き注文を出すときは慎重を期すべきだ。
- 指値注文: 指値注文の方が、約定価格に対する投資家のコントロールの度合いが大きい。指値注文では投資家が株価を指定できるので、取引所は投資家が指定した価格かそれより良い値段でしか注文を執行できない。これら条件が満たされない場合、注文は執行されない。
- ストップ・オーダー(逆指値注文): ストップ・オーダーまたはストップ・ロス・オーダー(損切注文)では、株式を購入(または売却)する逆指値を設定できる。つまり投資家は、証券会社に取引を執行して欲しい一定の価格を入力できる。株式がその価格に到達すると成り行き注文に代わり、証券会社は即座に注文を約定する。
- ストップ・リミット・オーダー: ストップ・リミット・オーダーも、投資家が逆指値を設定できる。だが、ストップ・オーダーとは異なり、株価が指定した値段に到達すると指値注文になる。その後、指値かそれよりも良い価格で執行されるが、成行注文ではないので確実に約定される保証はない。
注文の種類が決まれば株式を購入し、大きな投資成果を手にするための投資戦略の作成の準備が整う。
4. 購入した株式を再検討して、投資をモニタリングする
アップル株を発注した後は、証券会社の約定を確認し、問題がないかチェックしよう。その後は時々投資を顧みて、期待するパフォーマンスを上げているかモニタリングするのが良いだろう。
また目標に向けて投資し続ける確実なポートフォリオ戦略を立てよう。一般的には次の2つが挙げられる。
- バイ・アンド・ホールド(買い持ち)戦略: この戦略では、アップル株を一括で購入し、現金化する準備が整うまで持ち続ける。
- ドルコスト平均法: この投資戦略は、定期的にアップル株を購入したい投資家に向いている。どのくらいの頻度で投資をするか(毎週、毎月、毎年等)は、人によって異なる。
だが、どちらの戦略を取るにせよ株価や市場の変動からは逃れられない。投資の際はそのことを頭に入れておこう。
「優れた会社に投資して、その成長がもたらす恩恵にあずかる方が、先の見えない中で日々の株価を予想するよりも、着実に繁栄に導いてくれる」とジャンピエール氏は言う。
アップル株の売却方法
株式の売却は、買うときと同様に簡単だ。ふつうは投資プラットフォームや携帯アプリの「取引」の画面を開いて売却する。売却する株式によっても異なるが、売却株数や売却金額を画面上に入力する。また売却益が出ると税金を払う必要があるので注意しよう。
まとめ
アップル株を買いたいならば、まずアップル株を取り扱っている証券会社に口座を開設しよう。だが、発注する前に、アップル社の財務状況や過去の株価動向を調べることが重要だ。そうすれば、アップルが投資に値する会社かどうかが明確になる。また、個別株への投資だけがアップルに対するエクスポージャーを取る方法ではなく、アップルを組み入れているファンドを購入する方法もある。いずれにせよ、戦略が全体的なリスク許容度、投資目標、予算と一致していることを確認しよう。