ソニーは4月1日の社長交代後初の決算会見をオンラインで開催した。
撮影:Business Insider Japan
ソニーグループは大型連休直前の4月28日に、2022年度連結業績を発表。大幅な増収を含む興味深い内容だった。
売上高は前年比16.3%増となる11兆5398億3700万円、純利益は同6.2%増となる9371億2600万円と、増収増益で着地した。
ソニーグループの社長 COO(最高執行責任者) 兼 CFOに4月1日から就任した十時裕樹氏は決算会見のなかで、「過去最高の売上高」と評価した。
ただし、2023年度通期予想は売上高が11兆5000億円、純利益が8400億円と、売上高はほぼ据え置き、純利益は10%減という堅実な見通しを立てている。
ゲーム事業好調、PS5は歴代PSハードで最高の販売台数
ソニーグループ 取締役 代表執行役 社長 COO(最高執行責任者) 兼 CFOの十時裕樹氏。
出典:ソニーグループ
為替の影響を除き、同社の売り上げを引き上げたのは主にPlayStationなどの「ゲーム&ネットワークサービス」(G&NS)、半導体分野の「イメージング& センシング・ソリューション」(I&SS)および音楽分野だ。
特にゲーム分野は前年比33%増の3兆6446億円の売り上げになった。
ゲーム&ネットワークサービス分野の概要。
出典:ソニーグループ
これは供給不足が指摘されていた最新型の「PlayStaiton 5」(以下、PS5)の生産が安定したためだ。
十時氏によると2022年度第4四半期のPS5の販売台数は「第4四半期におけるPSコンソールとしては過去最高の630万台」に到達したという。
ハードウェアの売り上げもさることながら、それに伴いソフトウェア(ゲームタイトルやサブスク等)の販売収益も増える好循環が発生した形だ。
PS5の年間販売台数。
出典:ソニーグループ
十時氏はこの勢いを維持する構えで、2023年度のG&NS分野の売り上げ見通しは2022年度比で2554億円増となる3兆9000億円を計上する。
PlayStation 5の販売目標については「歴代コンソール史上最大となる(年間)2500万台を目指す」(十時氏)と掲げた。
ソニーの「顔」であるエレキ領域は苦戦
エンタテイメント・テクノロジー&サービス分野の概要。
出典:ソニーグループ
一方、今後苦戦を強いられると見ている主な分野は、同社のカメラやテレビ、スマートフォンなどを扱う「エンタテイメント・テクノロジー&サービス」(ET&S)だ。
2022年度は、2021年度比で6%増となる2兆4760億円の売り上げだったが、その内訳はほとんど為替要因だった。
カメラの売り上げは伸びているが、主にテレビの減収が続いており、十時氏も「2022年度は厳しい事業環境」だったと振り返る。
イメージング& センシング・ソリューション分野の概要。
出典:ソニーグループ
また、2022年度のセグメント売上高が前年度比30%増だったI&SS分野も、勢いの割には堅い2023年度予想を立てている。
2022年度は為替とスマホ向けイメージングセンサーが好調要因だったが、中国メーカーを中心に勢いが落ち、「発射台が1段下がった見積もり」となったと十時氏。
ただし、比較的大型な1インチセンサーを搭載するスマートフォンの登場もあり、「高性能化のトレンドは続いている」(十時氏)とし、今後も高性能・高付加価値のセンサー技術に投資していく。
第4次中期経営計画の進捗。
出典:ソニーグループ
なお、2023年度はソニーグループの第4次中期経営計画(2021年度〜2023年度)の最終年度となっており、十時氏は2023年度を「不安定な事業環境の中、足元のリスクマネージメントに重点を置き、現中経の目標達成に向けた総仕上げを進める」とした。
2024年度から始まる第5次中期経営計画については、2023年度に準備し「2024年度はじめに示す予定」(十時氏)としている。