EVシフトを進めるアウディ、日本でも2023年に充電施設「チャージングハブ」展開する背景

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撮影:武者良太

EVを中心としたモータリゼーションが世界的に進んでいくなか、アウディは欧州で先行して、新たな急速充電コンセプト施設「アウディ チャージング ハブ」の開発・実証実験に取り組んでいる。

このチャージングハブは、2023年中に国内で初めて、東京にも開設される見通しだ。

アウディジャパンは4月、EVへの理解を広めるためのメディア向け説明会&EV試乗会の「Audi BEV Study Session / e-tron Model Test Drive」を開催。充電スタンド拡充の取り組みやアウディ チャージング ハブの特徴についても解説した。

最大320kWの急速充電スタンドを日本でも導入

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アウディが欧州で実証を進める「アウディ チャージング ハブ」の特徴。日本には2023年中にも、東京に同施設が開設予定。欧州以外では世界初の展開になる。

撮影:武者良太

アウディ チャージング ハブとは都市型の急速充電ステーションだ。高速道路のPAなどにある急速充電スタンドとの違いは以下のようなものになっている。

  • 省スペースでありながら複数台の急速充電に対応
  • モジュール構造により短期間での組み立て、解体が可能
  • 充電の待ち時間に利用できるラウンジが用意されている
  • 予約が可能

アウディジャパン広報の錦織氏によると、アウディ チャージング ハブはラウンジ付きの急速充電スペース。いわば付加価値のある充電スポットとして設計している。

ドイツ・ニュルンベルクで実証実験中の施設を例に挙げると、キューブと呼ばれる蓄電ユニット1台につき、2台の急速充電ステーションが提供される。この蓄電ユニットに使われているバッテリーは、開発車両などの廃車されるBEVのバッテリーユニットを再利用したもので、施設全体で約2.45MWhの蓄電能力を備えている。

ドイツ・ニュルンベルクにある実証施設の外観。

ドイツ・ニュルンベルクにある実証施設の外観。

出典:アウディジャパン

高電圧線の架設や充電ステーション用のトランス(変圧器)は不要。キューブを並べて太陽光パネルで発電した電力を供給するグリーン電力網と接続できればすぐに運用できるし、ラウンジスペースの屋根にも太陽光パネルが敷き詰められており、一部の電力を賄う。

欧州の施設の場合、急速充電スタンドの出力は最大320kW。参考までに日本主導で規格化された急速充電スタンドのCHAdeMOは、首都高の大黒PAにEV1台あたり最大90kW(設備全体では200kWを供給)、新東名の浜松SAと駿河湾沼津SAに150kWの急速充電スタンドが設置されたが、他の場所にある急速充電スタンドは初期の規格である50kW対応のものが主流とも言われる。

急速充電性能では一日の長があるテスラは、スーパーチャージャーと呼ばれる急速充電スタンド網を広げている。最大出力250kWのV3タイプが設置されているのは、国内の全拠点66カ所の過半数にのぼる。

※出典:テスラ公式のスーパーチャージャーマップでのカウント

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アウディスタッフによる体験試乗の様子。

撮影:武者良太

アウディ チャージング ハブで最大270kWの充電規格に対応しているAudi e-tron GTの場合、270kWで充電すると約5分の充電で最長100kmまで走行できる電気が供給される。バッテリー全体の80%を充電する場合でも、約23分という性能だ。

ハイパワーな充電器なら従来より短時間で充電できるとはいっても、ガソリンの給油に比べて、それなりの「待ち時間」は必要だ。

そこで「テレワークが可能なラウンジ」が用意されているのが、アウディ チャージングハブの大きな特徴となっている。

高速道路のPAのように、充電スタンドとラウンジエリアが離れているということはない。EVユーザーであれば予約すれば気軽に訪れて、充電しながらメールの送受信をしたり、オンラインミーティングに参加したりもできる。

現在はニュルンベルク、チューリッヒ、ベルリンで展開されているアウディ チャージング ハブだが、2023年中に東京にも設置するとの報道もある。施設運営のパートナー検討の1社は、EV充電網を手がけるスタートアップ、パワーエックスであることも発表されている。

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