『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
Warner Bros.
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』は人気シリーズ『ハリー・ポッター』の4作目の映画だ。
- ダニエル・ラドクリフはスタントの多くを自ら行い、オリバー・フェルプスは監督の肋骨を数本折った。
- エマ・ワトソンはこの作品を最後に役を降りることを考えていて、マシュー・ルイスはファットスーツを着ていた。
(以下、敬称略)
シリーズの監督の中には『炎のゴブレット』は2本の映画に分けるべきだと考えていた人も
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を監督したのはマイク・ニューウェルだが、プロデューサーのデビッド・ヘイマンは映画『ハリー・ポッター』シリーズの初めの2作品を監督したクリス・コロンバスに734ページ(英語版)に及ぶこの本をどう映画化すべきか意見を求めた。
コロンバスは『炎のゴブレット』は2本の映画に分けるべきだと考えていたが、スタジオ側とは意見が合わなかったと2021年にHollywood Reporterに語っている。結局、ニューウェルが1本の映画に収まるよう一部カットした。
ワーナー・ブラザースはその後、7作目の『ハリー・ポッターと死の秘宝』をパート1とパート2に分けた。
移動キーのシーンは瞬間移動しているように見せるため、俳優がワイヤーで引っ張られている
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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移動キー(ポートキー)は『炎のゴブレット』で初めて登場する。
魔法をかけられて移動キーになった物体を触ると、誰でもあらかじめ選択された場所に瞬間移動する。
DVDの特典映像にある舞台裏インタビューによると、この撮影のために俳優たちはワイヤーにつながれ、グリーンのスクリーンに向かって引っ張られたという。
けんかのシーンの練習で、監督の肋骨を折ったとオリバー・フェルプスは話している
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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炎のゴブレットに自分たちの名前を書いた紙を入れるのに失敗したウィーズリーの双子はけんかを始める。
2022年に放送されたHBO Maxの20周年記念特番によると、ニューウェルはフレッドとジョージをそれぞれ演じたジェームズ・フェルプスとオリバー・フェルプスのけんかのシーンに満足していなかった。
監督は自分がどのようなシーンを求めているのか見せるために、2人のどちらかに自分とけんかをしてみるよう声をかけた。オリバーが名乗り出て挑戦したが、ニューウェルによると、取っ組み合いのけんかを演じている間に肋骨が「何本か」折れてしまったという。
その後は痛みに耐えながらの撮影になったが、ニューウェルは後悔はしていないと語った。
ドラゴンのハンガリー・ホーンテイルは、CGとアニマトロニクスを組み合わせて作られた
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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三大魔法学校対抗試合の第1の課題でハリーが戦ったドラゴンはデジタルと非デジタルを組み合わせて作られた。
Digital Fixによると、この巨大なドラゴンの頭と胴体の一部(翼を含む)は、2作目の映画に登場したアラゴグとバジリスクのアニマトロニクスのパーツを再利用して作られたという。
ただ、アニマトロニクスは限られた動きしかできないので、コンピューターアニメーションも使われている。
三大魔法学校対抗試合のシーンでは、ダニエル・ラドクリフが多くのスタントを自ら行った
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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『炎のゴブレット』はこれまでのシリーズ作品に比べてもスタントが多かった。これは三大魔法学校対抗試合が描かれたことが大きい。
ハリー・ポッターを演じたラドクリフはDVDの特典映像にある舞台裏インタビューで、今作ではスタントの多くを自分でやったと話している。
第1の課題ではジャンプを、第2の課題では水中での演技をし、第3の課題では移動キーの瞬間移動を撮影するためにワイヤーにつながれた。
フェルプスの双子はルパート・グリントにダンスレッスンに参加し損なったと信じ込ませた
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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「ユール・ボール(Yule Ball)」と呼ばれる冬のダンスパーティのシーンに備えて、俳優たちには3週間の練習期間があった。
2022年の20周年記念特番で触れられたように、フェルプスの双子はロンを演じたグリントに、他の俳優たちは何週間もダンスを練習していて、自分はそれに参加し損ねたと信じ込ませた。
ダンスパーティに登場するシーンの撮影は「憂鬱だった」とエマ・ワトソンは話している
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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ハーマイオニーがダンスパーティに登場するシーンは本でも映画でも象徴的なシーンの1つで、それをしっかり表現するためには多くの作業が必要だった。
衣装部はハーマイオニーのために、原作で描かれている紫がかった淡い青色ではなく、グラデーションのあるピンクの美しいドレスをデザインした。
ハーマイオニーを演じたワトソンはハーマイオニーにとってこのシーンがどれだけ重要か理解していたので、なおさらプレッシャーを感じていた。
「憂鬱だった」とワトソンは20周年記念特番で語っている。
「突然、そのプレッシャーに気付いたの」
階段から落ちたテイクもあったという。
ロンのローブは、もっとコミカルに見えるようデザインをやり直した
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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映画『ハリー・ポッター』に関わった複数の俳優たちが、グリントのユーモアのセンスを称賛している。
時代遅れのドレスローブを着るコミカルな状況を演じるグリントの能力のおかげで、衣装デザイナーは当初の計画よりもっととんでもないローブを作ることができた。
「最初、ちょっとばかげた感じのものを作ったんですが、実際に着てもらったら(ロンを演じた)ルパートが俳優として着こなしてしまったので、コミカルなものにするためにはもっとばかげた感じに作らなければなりませんでした」と衣装デザイナーのジャニー・ティマイム(Jany Temime)は2021年、Insiderに語っている。
フリットウィック先生がクラウド・サーフィングされるアイデアを思い付いたのは、ワーウィック・デイビス本人だった
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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ダンスパーティでバンドのパフォーマンス中、ワーウィック・デイビス演じるフリットウィック先生がクラウド・サーフィングされるシーンがある。
このアイデアは自らニューウェルに提案したもので、本当にやることができてうれしかったとデイビスは2011年、Entertainment Weeklyに語っている。
第2の課題の水中のシーンは、巨大な貯水槽の中で撮影された
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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三大魔法学校対抗試合の第2の課題では、4人の代表がそれぞれの大切な人を救出するために黒い湖へと向かう。
DVDの特典映像によると、この水中のシーンを撮影するために巨大な貯水槽が作られたという。
水の中で演技をするために約半年のトレーニングをしたとラドクリフは話していて、撮影後にCG処理が加えられている。
『炎のゴブレット』ではそれぞれのキャラクターが初恋を経験するが、それは出演者たちも同じだった
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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『炎のゴブレット』ではハリー、ロン、ハーマイオニーが皆、ダンスパーティの相手探しをきっかけに初恋を経験する。
2022年の20周年記念特番で、ラドクリフは若い出演者たちもロマンティックな状況を初めて経験し始めていたと明かした。
出演者にとって、この映画の撮影時が「ホルモンのピーク」だったとラドクリフは語った。
マシュー・ルイスはファットスーツを着ていた
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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ネビル・ロングボトムを演じたマシュー・ルイスは、『ハリー・ポッター』シリーズの撮影中に体重が減っていった。
3作目から6作目まで撮影中はファットスーツを着ていたとルイスは2011年、EWに語っている。
フラーが登場する複数のシーンが、撮影されたものの公開時にはカットされていた
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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三大魔法学校対抗試合の代表の1人であるフラーは、あとの3人に比べると登場シーンが少ない。
ハリー・ポッター・データベースやDVDの特典映像によると、フラーを演じたクレマンス・ポエジーには撮影はしたものの、完成した作品には盛り込まれなかったシーンが複数あるという。
フラーは結局、第2の課題と第3の課題を他の代表よりも先にリタイアした。
どうやら第2の課題で湖から出てくるシーン、第3の課題で迷路から出てくるシーンが撮影されたものの最終的にカットされたようだ。
ロバート・パティンソンはずっと杖を銃を構えるようにして持っていた
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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『炎のゴブレット』でロバート・パティンソンは三大魔法学校対抗試合の代表の1人、セドリック・ディゴリーを演じた。
パティンソンは杖を普通に持つのは「ダサい」と思い、武器のように持つことにしたのだと2022年、GQに語っている。
「両手で銃を構えるように(杖を)持ったんだ。映画の『ダイ・ハード』に出ているみたいに、ね」
危うく『炎のゴブレット』がワトソンの『ハリー・ポッター』シリーズ最後の出演作品になるところだった
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より。
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映画『ハリー・ポッター』シリーズの出演者たちはシリーズに参加した後、一夜にして有名になった。これまで経験したことのない名声に慣れるのに、ワトソンはものすごく苦労したようだ —— 彼女は最も若い出演者の1人だった。
2022年の20周年記念特番でワトソンは、『炎のゴブレット』の後にシリーズを離れることも話し合ったものの、最終的に残りの作品にも出演することを決めたと話している。