シャープはライカ監修のカメラを搭載したスマートフォン「AQUOS R」シリーズの最新機種を発表した。
撮影:小林優多郎
シャープは5月9日、新型スマートフォンを3機種発表した。各機種ごとに取り扱い通信事業者から販売される予定で、価格は事業者ごとに発表となる見込み。
- AQUOS R8 pro……NTTドコモ:7月以降、ソフトバンク:7月上旬以降
- AQUOS R8……NTTドコモ:7月下旬以降
- AQUOS wish3……NTTドコモ:9月以降、ワイモバイル:7月上旬以降、ソフトバンク(法人):8月上旬以降、楽天モバイル:7月上旬以降
特に、フラグシップである「AQUOS R」シリーズでは、小型モデルを除いて、Rシリーズで初めて「pro」と「無印」の2ラインナップとなった。R8シリーズの製品の特徴とともにシャープの狙いを解説する。
1インチスマホR7の後継になる「R8 pro」
AQUOS R8 pro。カラーバリエーションは黒のみ。
撮影:小林優多郎
AQUOS R8 proは、2022年フラグシップの「AQUOS R7」の後継機種にあたる。
R7から引き続き、ドイツの老舗カメラメーカー・ライカ監修の1インチカメラセンサーを採用する。
R7とR8 proではカメラモジュール(センサーとレンズ)自体は同一の部品だが、R8 proではAQUOSシリーズでは初めて14chスペクトルセンサーと呼ばれる高性能センサーを搭載している。
14chスペクトルセンサーでは600種類以上の光源を判定できるため、シャープ担当者によると「人間の目により近い色み」を実現できるという。
写真左からAQUOS R7、AQUOS R8 pro(試作機)のプレビュー。確かに筆者の目で見た色にはR8 proの方が近いと感じた。
撮影:小林優多郎
そのほか、星空や花火撮影の専用モードや犬猫に対応したペット撮影機能も初搭載する。
カメラ以外のハードウェア的な特徴はR7を踏襲している部分が多い。
AQUOS R8 proの代表的な特徴。
撮影:小林優多郎
エレコムやLooCoといったアクセサリーメーカーと協業し、R8シリーズ(R8/R8 pro)向けにカメラ用のフィルターを装着できるケースやアタッチメントを開発。
2021年発表の「AQUOS R6」から続くライカとの共同開発からシャープが意識している、カメラにこだわる人に特化した製品となっている。
カメラセンサーが比較的小さい「R8」
AQUOS R8は、R8 proとは異なり、標準+広角の2眼構成。
撮影:小林優多郎
一方、「新しいRシリーズ」と言えるのが、AQUOS R8だ。シャープ担当者によると「効率型ハイエンド」を目指した製品だという。
「R8 proより性能を抑えた高性能端末」という位置づけで、主な違いは以下の通り。
AQUOS R8 | AQUOS R8 pro | |
---|---|---|
CPU | Snapdragon 8 Gen 2 | |
メモリー | 8GB | 12GB |
ストレージ | 256GB | |
ディスプレイ | 6.4インチ有機EL (1080×2340ドット) |
6.6インチ有機EL (1260×2730ドット) |
背面カメラ | 1/1.55インチ5030万画素(標準)+ 1300万画素(広角) |
1インチ4720万画素 |
正面カメラ | 800万画素 | 1260万画素 |
バッテリー容量 | 4570mAh | 5000mAh |
防水/防じん | IPX5,8/IP6X+ MIL-STD-810G |
IPX5,8/IP6X |
OS | Android 13 (発売から最大3回のOSバージョンアップを予定) |
メインカメラは1インチではなく1/1.55インチとR8 pro/R7と比べて小さいセンサーを採用しつつ、ライカ監修のレンズ「ヘクトール(Hektor)」を採用する。
その他の大きな差としては、ディスプレイの大きさや解像度、メモリーの容量の違いがある。
SoCにクアルコム製の最新ハイエンド向けチップ「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載するなど、一見すると十分フラグシップ寄りのモデルと言えるだろう。
狙いはフラグシップスマホの高価格化に「メス」
写真左から、AQUOS R7、R8 pro、R8。
撮影:小林優多郎
シャープが今回のような「2つのフラグシップ」を用意したのには理由がある。
そのうちの1つとして挙げられるのは、やはり価格だ。
シャープで通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長を務める中江優晃氏は、R7を振り返り「R7では(写真撮影という)趣味に特化して、高額な端末となった。その結果として、(日常で)気軽に使いにくいという声もあった」と述べている。
シャープ 通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の中江優晃氏。
撮影:小林優多郎
5月8日時点のAQUOS R7のNTTドコモ向けモデルのオンライン価格は一括19万8000円だ。
参考までに、同年発売のアップルの「iPhone 14 Pro(256GB)」は直販価格16万4800円、ソニーの「Xperia 1 IV」(NTTドコモ版)は15万7872円(いずれも税込)となっている。
これらの競合モデルとは違い、AQUOS R7は1インチセンサーを搭載しているというアドバンテージはあるが、確かに他社と比べても割高な端末だった。
シャープにはAQUOS Senseシリーズというミドル〜ハイミドルの性能を持つ製品群もあるが、R8では最新の高性能SoCを搭載するなど「1インチカメラほどの性能はいらないが、他の基本性能は妥協したくない」という声に応える形となっている。
写真や動画にこだわる人であれば注目の汎用カメラ向けのフィルターを装着できるケース(左、エレコム製、52mm径対応)とアタッチメント(右、Looco製、49mm径対応)はAQUOS R8とR8 proどちらにも対応する(写真はいずれもR8 proに装着している)。
撮影:小林優多郎
なお、肝心の価格については現状のところ「各種取り扱い通信事業者」からの発表を待つ段階になっている。
ただし、中江氏は「感覚としてR8 proがR7寄り、R8が(R8 proより低い価格が)期待できる価格になるだろう」と言う。