オムニ・ビジネス・インテリジェンス・ソリューションズの創業者兼CEOであるジャクリーン・デステファノ-タンゴラ。
Jacqueline Ann DeStefano
- コンサルティング会社、オムニ・ビジネス・インテリジェンス・ソリューションズの創業者兼CEOであるジャクリーン・デステファノ-タンゴラは、ChatGPTが2022年に公開されたと同時に利用を開始した。
- 彼女は、このAIチャットボットを活用したことで仕事の時間が短縮され、新たなビジネスの開拓に集中できるようになった。
- ChatGPTを使い始めて最初の3カ月で、12万8000ドル相当の新規契約を取り付けたという。
OpenAIのAIチャットボット、ChatGPTをワークフローに組み込む企業が増えている。そうすることで、単に時間を節約するだけでなく、収益増加にも役立っていると言うCEOもいる。
データ分析に基づくコンサルティングを行うオムニ・ビジネス・インテリジェンス・ソリューションズ(Omni Business Intelligence Solutions)の創業者であるジャクリーン・デステファノ-タンゴラ(Jacqueline DeStefano-Tangorra)(29)は、AIチャットボットによって仕事の時間が短縮され、新規顧客の開拓ができるようになり、ほぼ倍の契約が取れるようになったと述べている。
2022年の12月から翌3月にかけて、同社の収益は約7万1000ドル(約960万円)だったが、2023年は前年度と同じ期間に約12万8000ドル(約1700万円)の契約を結び、80%の収益増となった。Insiderは、彼女から提供された文書でこれを確認している。
デステファノ-タンゴラは、2022年11月に公開された話題の対話型チャットボットに「魅了」され、データハイジーン(データの安全性管理)や分析などのサービスを提供する自社で、収益創出とコスト削減に使えるかどうか試してみたいと考えた。
「十分に使えそうだと思った」と彼女はInsiderに語っている。
そこで12月からChatGPTをはじめ、画像生成ツールのMidjourney(ミッドジャーニー)やプレゼンテーションメーカーのSTORYDといった生成型AIツールをビジネスに取り入れることにした。
まず、マーケティングや提案書作成など、時間がかかる作業を洗い出した。
ChatGPTを使って業界向けの記事やブログを生成し、アップワーク(Upwork)やリンクトイン(LinkedIn)などのプラットフォームに投稿して会社を売り込んだ。さらに、パーソナライズされたビジネス提案や、雇用したデータアナリストなどの契約社員向けに、ChatGPTプロンプトリストなどの社内用トレーニングガイドを作成した。また、複雑なビジネスデータを分析し、徹底した市場調査も行った。
このようにAIチャットボットを活用した結果、見込み客へのビジネス提案に集中できるようになったという。
「ChatGPTを業務に活用することで、全体的な能力が向上し、それが新たな顧客や機会を引き寄せることになった」と、彼女はInsiderに宛てたメールで語っている。
彼女は、チャットボットを使って実験したり、ディスコード(Discord)チャンネルやリンクトインのグループで知り合ったChatGPT愛好家から「情報を吸い上げる」ことで、作業を自動化する方法を学んだ。また、AIと機械学習によるノーコード開発に関するマサチューセッツ工科大学(MIT)の講義も受けている。
彼女の会社では、ChatGPTで生成したマーケティング資料を使ってサービスの宣伝ができたため、広告費も削減できた。
デステファノ-タンゴラは、ChatGPTを「チームメンバーが増えた」ようなものだと述べている。
チャットボットの経済効果については、「本当に多大な影響があると思う」と言う。
またデステファノ-タンゴラは、ChatGPTのガイドを活用しながら、新規顧客のためにパーソナライズしたビジネス提案書の作成、法的文書のカスタマイズ、営業ダッシュボードのデザイン作成などを支援してきた。
さらに、チャットボットの導入で収益を上げたいと考えている顧客に対して、教育サービスの提供も開始したという。
新規顧客の1つであるヘルスケア企業が、ChatGPTを使ってマーケティングを強化する方法について、彼女にアドバイスを求めてきた。そこで彼女はその顧客に新たなセールスリードを生み出すユニークなコンテンツを作成できるようChatGPTの使い方を教えた。
「そんなに難しくはないことがわかり、喜んでもらえた」
新規顧客からは、特にChatGPTについて聞かれることが多くなったという。
とはいえ、ChatGPTは完璧ではないと、彼女は認識している。「的外れ」「よく理解していない」「やりすぎ」な回答をすることがあるからだ。
だが彼女は、間違った回答を「うまく避ける」方法をいつでも見い出すことができるという。それは創造性であり、望ましい結果をもたらす適切なプロンプトを作成するために重要なスキルであると彼女は考えている。
「有効なプロンプトを書きたいのに、そのレベルの創造性を日常的に発揮していない人は、成長を強いられることになる。本当に自分の役に立つものを生み出したいのであれば、一般的な文章以上のものを書けるようにしなくてはならない」
ChatGPTをもっと効果的に使いたいのであれば、正確な言葉遣いや簡潔な表現といった「ハイパーパラメータ」でプロンプトを調整してフレームに収め、チャットボットが異なる視点から話せるようにすることを彼女は提案している。
デステファノ-タンゴラがChatGPTを使わなくなるということは、当分の間ないだろう。
「これはゲームチェンジャーだ」と彼女は述べた。