「子育てのために我慢ばかりしている」と考えるなど、日本の母親たちの「子育て否定感」が急増していると報じたが、その窮状を裏付けるような調査結果が新たに発表された。
子育てによってキャリアも自由も諦める女性が多い一方で、男性はそうではないようだ。
子育ての不安なく仕事できる男性、一体なぜ?
男性と女性で育休中や、その後のキャリアの捉え方に大きな違いがあることが分かりました。
GettyImages / kazuma seki
調査したのは「マイナビ転職」だ。2023年3月に小学生未満の子どもを持つ20代から40代の男女の会社員(正社員)及び公務員800人にwebでアンケートした。
男女差がくっきりと表れたのは、育休とキャリアとの関係だ。
男性に育休取得によって「キャリアにどんな影響が出たか」尋ねたところ、約半数(48.3%)が「影響はなかった」と回答した。同じく「復職時に感じたこと」についても「特にない」が44.8%を占めた。
出典:マイナビ転職「育休に対する男女の意識差と実態調査」
女性で同様の回答をしたのは、それぞれ16.2%と3.7%にとどまる。女性のキャリアへの影響で最も多かったのは「ワーク・ライフバランスを意識するようになった」(44.1%)で、「子持ちの同僚への見方が変わった」「賃金にネガティブな影響」「残業が減った」なども4人に1人以上の割合でいた。
女性が復職時に感じたことは「子育てと仕事の両立の不安」(77.9%)「子の体調不良で仕事を休んだり、早退せざるを得なくなることが不安」(58.1%)などが多かった。同じように考える男性は、わずか24.1%と6.9%だった。マイナビは、以下のように指摘する。
出典:マイナビ転職「育休に対する男女の意識差と実態調査」
「『ワーク・ライフバランス』や『残業が減った』はポジティブな変化に見えるかもしれませんが、保育園のお迎え時間に間に合わせるために『仕事を切り上げざるを得ない』というケースが多く含まれる可能性を考えると、男女で回答差が大きく出たことは注目すべきです。
また育休から復職する際に男性の不安が少ない理由としては、育休の取得日数の少なさもありますが、子の体調による急な休暇や早退に対して女性の過半数が不安に感じているにもかかわらず、男性が6.9%にとどまったことは驚きです。育児で仕事を休むのは女性の役割になっている部分があるのかもしれません」
実際、子どもの看護休暇を利用したことがあると回答した割合は女性が21.8%だったのに対し、男性は6.8%。時短勤務の利用も女性44.5%に対し、男性は5.5%だった。
育休中の態度に不満、資格の勉強や遊び感覚
出典:マイナビ転職「育休に対する男女の意識差と実態調査」
育休中の過ごし方にも男女差、もっといえば「不満」があった。
自分自身の育休への満足度の平均は男性77.0点/女性82.8点だったが、パートナーの育休への満足度は男性から女性が83.3点だったのに対し、女性から男性は69.8点と男性の自己評価を下回る結果となった。
女性からパートナーへの育休満足度が低い理由としては、以下のような意見があった。
「育休中に資格取得のための勉強をすると言ったから」
「社会保険料免除が目的で数日取得し、家族で旅行しただけ」
「子どもの面倒と旦那の食事など負荷が多かったから」
「子どもと一緒にいられるのはうれしかったがパートナーの家事の協力は一切なかった。休暇なので遊んでいると捉えていたよう」
育休中にできたことについても、「子どもの食事を作る/食べさせる」などでは男女で約2倍の差がつき、多くの項目で女性の負担が大きかった。
育児以外の「大人の食事を作る」「買い物」「掃除・洗濯・ゴミ出し」など、子どもの誕生以前からある家事でも女性が多くを担っていた。