伊勢丹新宿店「バブル越え」の過去最高売り上げ。成功した「個客」戦略【三越伊勢丹HD 本決算】

「バブル越え」の売上高を記録した新宿伊勢丹本店。

「バブル越え」の売上高を記録した新宿伊勢丹本店。

撮影:土屋咲花

新宿の「顔」としても知られる伊勢丹新宿本店が、「バブル期以来」という絶好調になっている。

百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスは5月9日、2023年3月期(2022年度)本決算を発表した。売上高4874億円(前年比116.5%)。営業利益は296億円で、コロナ前の2018年度(292億円)を上回った。純利益は323億円、総額売上高は1兆884億円(前年比119.3%)と1兆円を超えた。

伊勢丹新宿本店の総額売上高は3276億円過去最高を記録。

細谷敏幸社長は決算会見で「過去1度だけ、3000億を超えた年が1991年のバブル期です。 それ以降はずっと2000億台の2500億円程度。それが今回大幅に上回る数字でした」と、バブル期の1991年(約3000億円)を超える好調ぶりだと自信を見せる。

背景にあるのは、2023年に入ってから注目が集まるインバウンド回復ではなく、意外にも「国内消費の伸長」だという。

国内消費が好調

「個客とつながる」を掲げ、戦略的にデジタル会員やアプリ会員数を伸ばした。

「個客とつながる」を掲げ、戦略的にデジタル会員やアプリ会員数を伸ばした。

出典:三越伊勢丹ホールディングス決算説明会資料

インバウンド消費は2022年秋ごろから復調し始めたものの、2018年度の売上が752億円だったのに対し2022年度は424億円と、いまだ復調とは言い難い。

「2022年度はまだまだコロナ禍で、入店客数は2018年比でだいたい8割くらいです。しかしながら日本人の売り上げは非常に高い伸び率となりました。日本人の顧客とより深いお付き合いをした結果が、この数字に現れたということです。戦略が非常にうまくいきつつあるという実感をもっています」

細谷社長は決算会見ではっきりと手ごたえを口にした。

同HDは中期経営計画に掲げる戦略の一つとして「マスから個へのマーケティング」を打ち出し、三越伊勢丹グループのクレジットカード「エムアイカード」の会員やアプリ会員などの「識別顧客」の拡大に力を入れてきた。

その結果、2022年度の識別顧客数、デジタル会員数、エムアイアプリ会員数はいずれも前年比で2桁パーセント伸長したほか、三越伊勢丹グループのクレジットカード「エムアイカード」の外部取扱高は過去最高になった。

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