ロシアの戦勝記念日の軍事パレード。左は2020年、右は2023年。
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- ロシアは毎年恒例の戦勝記念日のパレードで、その軍事力と装備を誇示していた。
- しかし、今年のパレードの列はかなり短く、武器も兵力も少なく、戦車もたった1台だった。
- 専門家によると、ロシアはウクライナで装備の多くを使用しており、また軍事的損失を隠したいとも考えている。
ロシアの軍事力を誇示するために行われる戦勝記念日のパレードは、ウクライナ侵攻に苦慮するなかで、今年はずっと穏やかなものになった。
ソビエト連邦がナチス・ドイツを破ったことを記念する毎年5月9日の戦勝記念パレードでは、過去には大量の兵器が登場したことがある。
しかし、今年のイベントは異なっており、パレードの前から、ロシアは多くのイベントを中止または規模縮小していた。
例年と比較した今年の写真は、戦勝記念日のパレードがどれほど変化したかを示している。
2023年5月9日、ロシアのモスクワで行われた戦勝記念日の軍事パレードでのソ連時代のT-34戦車。
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ロシアの首都を、たった1台の数十年前の戦車が走っていた。T-34は1940年に初めて使用された戦車だ。
過去には、2021年に見られるように、ロシアははるかに多くの火力をパレードに持ち込んでいる。
2021年5月9日、戦勝記念日の軍事パレードで赤の広場を進むロシアの戦車。
AP Photo/Alexander Zemlianichenko
ロシアは今年、装甲車、防空システム、弾道ミサイルを披露したが、パレードの列は通常より短かった。2021年の131台に対し、今年はわずか50台の軍用車両しかなかったと、ワシントン・ポストは報じている。
また、ロシアは通常、パレードする軍用品のリストを公表しているが、今年はそれをしなかった。
一方、ロシアの空軍は通常、戦勝記念日にモスクワ上空で大規模なデモ飛行を行う。
2016年には、ツポレフ Tu-22M3「バックファイア」戦略爆撃機やスホーイ Su-25地上攻撃機など71機が飛行したとBBCは報じている。
ロシア空軍のSu-25が国旗の色に煙の跡を残して赤の広場の上空を飛行する。2020年の戦勝記念日軍事パレードで。
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しかし、今年は航空ショーは行われず、ロシアはその理由を説明していない。
2023年5月9日、デモ飛行なしで行われた軍事パレードの後、クレムリンの前を装甲車が走り抜ける。
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ロシアは過去に悪天候を理由に航空展示を中止したことがあるが、この日は晴天に恵まれた。昨年のパレードでも、晴れの予報にもかかわらず、ロシアは悪天候を理由に航空機のデモ飛行を見送った。
兵力が減少している
2023年のパレードに参加した兵士は約8000人で、例年より減少しているとBBCは報じている。
2023年5月9日、戦勝記念日の軍事パレードに参加するため、赤の広場に向かって行進するロシア軍の兵士。
AP Photo/Alexander Zemlianichenko
2022年のパレードには約1万1000人、2019年には約1万3000人の兵士が行進した。
専門家は、ロシアはウクライナでの軍事的損失を隠そうと、今年は小規模なパレードにした可能性が高いとし、ロシアは戦闘に参加するために多くの装備と兵士を必要としていると指摘した。
プーチン大統領は行進に参加しなかった
過去のパレードでは、プーチンはモスクワで「不滅の連隊」の行進に参加したことがある。このイベントは追悼のためのもので、通常はロシア全土で数百万人が参加する。
2019年5月9日、ロシアのプーチン大統領は「不滅の連隊」の行進に参加した。第二次世界大戦で戦った親族の肖像画を持つ他の人々の間で、父ウラジーミル・スピリドノビッチ・プーチン氏の肖像画を持っている。
Alexei Druzhinin, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP
2019年5月にモスクワで行われた「不滅の連隊」の行進の様子。
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しかし、今年はモスクワでの開催は中止された。クレムリンは、ウクライナによる攻撃の可能性を指摘して、非難した。
2023年5月9日、ロシア・モスクワでの戦勝記念日の軍事パレードの前に、通りを横切って歩くロシアの軍人。
REUTERS/Maxim Shemetov
一方、イギリス国防省は、ロシア当局がウクライナにおける 「最近のロシアの損失の範囲」 を強調することを懸念している可能性が高いと述べた。