新型センサーが搭載された「Xperia 1 V」。日本でも発売される。
撮影:小林優多郎
ソニーは5月11日、新型スマートフォン「Xperia 1 V」(エクスペリア ワンマークファイブ)と「Xperia 10 V」(同テンマークファイブ)をグローバル発表した。
両機種とも日本を含む国と地域では発売予定で、Xperia 1 Vについては国内の一部通信事業者から6月下旬発売、メーカーモデル(XQ-DQ44)が7月下旬以降に発売予定。メーカーモデルの直販価格は19万5000円前後(税込)。
競合であるシャープのAQUOSシリーズはハイエンド機を価格の異なる2モデル体制にすることで、購入層の幅を広げる構えだが、ソニーは従来のフラグシップ戦略を続ける様相だ。
新センサーとVLOGCAM由来の動画機能も搭載した「1 V」
Xperia 1 Vの背面。背面はガラス製だが、細かい凹凸のあるテクスチャが施されている。
撮影:小林優多郎
Xperia 1 Vの最大の特徴は、高性能なカメラだ。背面には3種類のカメラを搭載しているが、メインには新型センサーを搭載する。
新型センサー「Exmor T for mobile」は、1/1.35インチの(従来の1シリーズの中では)大型センサーだ。
少し専門的な話だが、Exmor T for mobileは単に大型化したといっても、1/1.35インチ(=センサーの対角線の長さ)になったというだけではなく、縦横比も従来の4対3から、4.3対3と比較的横長になっている。
写真左から超広角、標準(広角)、望遠(ペリスコープ)のカメラモジュール。標準がExmor T for mobileを採用したもの。
撮影:小林優多郎
これにより、16対9の動画でも4対3の静止画を撮影する際にも使えるエリアが広がることになり、暗い場所での撮影や手ブレに強くなる。
また、Exmor T for mobileの独自機能ではないが、「ピクセルビギニング」にも対応。4つのピクセル(撮影素子)を1つのピクセルとして扱い、より多く光を集めることで、高速なオートフォーカス、ノイズの少ない画像の撮影が可能になる。
Xperia 1 Vの夜間撮影例。
出典:ソニー
そうした新規のセンサーと自社のAI技術、そしてハイエンドCPU「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載することで、特に同社がデジタル一眼シリーズの「VLOGCAM」でも注力する動画について、以下のような新機能を搭載する。
- プロレベルのシネマティックな画作りを実現する「S-Cinetone for mobile」での撮影が可能
- 6種類の色のプリセット「Creative Look」に対応(静止画でも対応)
- 顔認識をオフして正面手前に近づく被写体に自動フォーカスする「商品レビュー」機能に対応
- 背面カメラ付近にあるマイクからの音収録に対応(モノラルのみ、Xperia PRO-Iと同等)
- 「Photo Pro」「Video Pro」アプリが縦撮りUIを新搭載
写真左からVideo ProアプリのS-Cinetone for mobileの設定、Photo Proでの商品レビュー機能の設定。
撮影:小林優多郎
なお、背面のカメラの残り2つは前機種の「1 IV」と同等。1 IVで搭載していた被写体との距離が測れる「3D ToFセンサー」は非搭載となる。
別売のXperia 1 V向けのケース。形状としては前機種向けからあまり変わらないが、縦置きにも対応した。
撮影:小林優多郎
機能強化をした普及価格モデル「10 V」
比較的購入しやすい価格帯の「Xperia 10 V」。
撮影:小林優多郎
1 Vはソニーの技術力やブランドを牽引するフラグシップであるため、メーカー版で20万円弱という価格設定だが、一方で新型の「Xperia 10 V」は、普及価格帯のモデルだ。
2機種のスペックの差は以下の通り(スペックはグローバルモデルのもの)。
Xperia 10 V | Xperia 1 V | |
---|---|---|
CPU | Snapdragon 695 5G | Snapdragon 8 Gen 2 |
メモリー | 6GB | 16GB |
ストレージ | 128GB microSDXC対応 |
512GB microSDXC対応 |
ディスプレイ | 6.1インチ有機EL (2520×1080ドット) |
6.5インチ有機EL (3840×1644ドット) |
背面カメラ | 8MP(16mm)+ 48MP(26mm)+ 8MP(54mm) |
12MP(16mm)+ 48MP(24mm)+ 12MP(85-125mm) |
正面カメラ | 8MP | 12MP |
バッテリー容量 | 5000mAh | |
ワイヤレス充電 | 非対応 | 対応 |
防水/防じん | IPX5,8/IP6X | |
OS | Android 13 |
10 Vの前機種「10 IV」と比べた際の主な強化ポイントは以下の通り。
- 背面のメインカメラのセンサーサイズが大型化(1/2.8→1/2インチ)
- スピーカー2基がどちらも前面になり、音圧が+20%
- ディスプレイが1.5倍高輝度化し、屋外での視認性向上
- 本体を軽量化(162→159g)
Xperia 10 Vのカラーバリエーションは、(写真左から)ブラック、ホワイト、ラベンダー、セージグリーンの4色。
撮影:小林優多郎
10 Vの価格は各取り扱い事業者の発表を待つ段階だが、前機種「10 IV」は5月10日時点で、ソニー直販サイトでは6万500円、ドコモ版は直販サイトで6万4152円となっている。価格帯としては、このくらいのレンジになると想定される。
カメラや動画機能など1 Vの方が当然高性能と言えるが、その機能にこだわらず、3Dゲームなどの負荷の高い処理をしないのであれば、10 Vも普段使いには十分な端末と言える。