ニューヨーク証券取引所でのチェグのダン・ローゼンスワイグCEO(右)。
Richard Drew/AP
- チェグのCEOが先日、ChatGPTは顧客の増加に影響を及ぼすと発言したことを受けて、同社の株価が急落した。
- 同じくデジタル学習企業のピアソンの株価も、この警告を受けて急落した。
- だがアナリストによると、投資家はこのセクターを見捨てるべきではないという。
ChatGPTの登場で、2023年のAIテクノロジー関連の株式市場に熱狂を呼び、マイクロソフト(Microsoft)やメタ(Meta)などのテック企業の株価上昇を加速させた。
だが、最近のチェグ(Chegg)の株価急落は、AIツールがすべての企業に良いニュースをもたらすわけではないことを思い出させるものだ。
チェグのダン・ローゼンスワイグ(Dan Rosensweig)CEOは先日、学生が宿題にChatGPTを使うことで、将来の顧客増加の重荷になりかねないと発言し、デジタルラーニングサービスを提供する同社の株価がわずか1日で50%近く急落した。
他のデジタルラーニング企業の株価も、ローゼンスワイグCEOの警告を受けて急落した。だがアナリストによると、特定の企業、さらに業界全体にとって、AIの出現を終焉の前兆だと考えるのは早計だという。
教育関連株価の急落
チェグの第1四半期報告書はウォール街の予想を上回るものだったが、ローゼンスワイグCEOが収支報告の後にOpenAIのアップグレードしたChatGPTについて語ったことで、投資家は同社の株価に注目した。
「3月以来、生徒たちのChatGPTに対する強い関心を目にしてきた」と彼はアナリストに話した。
「新規顧客の増加に影響があると思う」
ローゼンスワイグの警告を受けて、チェグの株価は5月2日に49%まで下落し、他の主要な教育関連株式も売りが見られた。
ロンドン株式市場におけるピアソン(Pearson)の株価も同日15%下がり、デュオリンゴ(Duolingo)は10%、同じく教育関連企業のUdemyも5%下落した。
このセクターの株すべてを売却するのは早い
投資家はChatGPTのような混乱をもたらすテクノロジーを業界全体への脅威とみなす傾向がある。そのため、5月9日には幅広く教育関連株価が売却された。
だが複数のアナリストによると、ローゼンスワイグの警告だけで、セクターすべてを売却するのは視野狭窄だという。
ChatGPTの台頭は、AIとビジネスモデルを協業させることでより良い事業が可能になる教育関連企業にとってはチャンスだという。
「これはゼロサムゲームではなく、最終的にAIがチェグに悪影響を与えることがあっても、すべての同業者に負の影響を与えるとはいえない」と、Minerva Analysisの創業者であるキャスリーン・ブルックス(Kathleen Brooks)はInsiderに語った。
「特に、世界中の科学者の研究に依存するニッチなテーマでは、AIをどのように活用できるかがわかるはずだ。これはすべてをまとめるための素晴らしい方法だ」と彼女はつけ和えた。
他の業界の企業はChatGPTによる株式市場の混乱で、株価の恩恵を受けている。
バズフィード(Buzzfeed)は1月に大規模なレイオフを行って以来、株価が落ち込んでいるが、一部の記事の執筆にOpenAIを使用していると公表し、株価が1日で200%以上高騰した。
モーニングスター(Morningstar)のアナリスト、マイケル・フィールド(Michael Field)は、投資家がチェグやその他の教育関連企業の株の売却を急ぐことは、発表されてわずか5カ月のChatGPTを一次元的に見ており、この技術が業界を一掃すると考えている証拠だと指摘した。
「一部の教育関連企業にとって、このテクノロジーはとても良いものだ」と彼は述べた。
「コスト削減の観点からは、従業員の人数を減らすことができるかもしれないし、もしすでに高品質のプロダクトがあれば、それをさらに迅速に改善できるかもしれない」
「物事の一面だけを取り上げて、株価を下げることは簡単だ。だが、ChatGPTの登場が良いことか悪いことかを判断するには早すぎる」