【新NISA、私ならこう使う#3】4人家族のわが家は、教育費優先ながらも「使い勝手の良さ」を楽しむ

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本記事の筆者、西山美紀氏

Miki Nishiyama

  • これまで若干複雑で分かりにくかったNISAが、新NISAになって非常に使い勝手がよくなりそうだと、ライター兼FPの西山美紀さんは楽しみにしている。
  • 特に大きな期待を感じているのは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用できるようになったことだ。
  • しかし、西山さんの家族は今年、教育費のピークを迎えるため、ある程度慎重に投資は行っていこうとしている。

ライター・コラムニスト兼FPという仕事柄だけでなく、個人的な関心もあってこれまでさまざまな投資を試してきました。

株は、ネット証券が誕生する前の、店舗に電話で注文する時代から始めています。また、投資信託については最低積立金額が月1万円で、信託報酬は3%程度が多かった時代にスタートしました。

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やポイント投資、複数のロボアドバイザー、ジュニアNISAなどなど、資金は少しずつですが実際に体験することで、制度の詳細やメリット・デメリットが分かるのが面白いと思っています。もちろん失敗することも多々ありますが、それがさまざまなアドバイスにつながっています。

そして、新NISAについてです。

新NISAについては、2022年12月に発表されて以来、すでにさまざまなところで語られてきました。そんな中でも個人的に特に着目したい、新NISAのポイントは次の3つです。

  1. つみたて投資枠と成長投資枠が併用可能になったこと
  2. 非課税枠が合計1800万円に拡大したこと
  3. 非課税期間が恒久化したこと

ではそんな新NISAの運用を、どのように考えているのか? 筆者の現状のプランを共有しようと思います。

なお、本記事はあくまでも筆者の個人的な案にすぎません。本記事をお読みくださる方々は、ご自身のライフプランや投資目的、リスク許容度などを考慮した上でご判断いただくようにお願いします。

「つみたて枠」と「成長枠」の併用は基本

既存のNISAでは「一般NISA」と「つみたてNISA」の併用ができませんでした。そのため、わが家では私が一般NISA、夫がつみたてNISAで投資を行い、それぞれの違いについて確認してきました。また、NISA口座については証券会社の変更も一度経験しています。

常々「一般NISAとつみたてNISA、一人で両方使えたら良いのに」と思ってきました。まさに2024年から始まる新NISAでは、「成長投資枠(現在の一般NISAに該当)」と「つみたて投資枠(現在のつみたてNISAに該当)」の併用ができるようになります。これは、大変喜ばしいことです。

そこで先述の1. については、思い願ったとおり成長投資枠とつみたて投資枠を併用していこうと考えています。つみたて投資枠で投資信託の積み立てをしっかり続けながら、随時タイミングを見計らいつつ、成長投資枠で株やETFの購入を行っていく予定です。

投資信託は、世界中の株に幅広く分散するインデックスファンドなどだけでなく、一部アクティブファンドも購入しています(つみたて投資枠で購入できないものは、成長投資枠で購入予定)。また、さらに分散させるために、金や原油のETFも少し購入していて、それも続けようと思っています。

非課税枠は拡大したが「追加投資」は慎重に

次に先述の2.についてです。新NISAになって大きくなった非課税枠をどのように利用するか? ですね。

これまでのNISAの非課税枠は、一般NISAなら年120万円で、つみたてNISAなら年40万円でした。ですが、新NISAでは、成長投資枠が年240万円(これまでの2倍)、つみたて投資枠が年120万円(これまでの3倍)、合計で年360万円も非課税で投資できるようになります。一定以上の投資資金がある人にとっては、こちらも大きな朗報でしょう。

ただ、わが家では現在、教育費の大きなピークを迎えています。

実は私が、春から大学生(早稲田大学人間科学部eスクール生)になり、人間心理を学び始めたのです(お金に関することは、人間心理からアプローチすることも欠かせないと考えたから)。これは通信クラスではあるのですが、通学クラスとそう変わらないほど学費がかかります。さらに、わが家の子ども2人は中学生と高校生なので、教育費はしばらく高止まりが続きそうです。

私を含めた3人分の教育費については、ある程度想定はしていました。とはいえ、投資は不確実なものです。いくら新NISAで非課税投資枠が拡大したからといって、明確な支出が大きく見込まれる時期は、あまり投資に回しすぎないように気をつけるべきでしょう。

一方、資産を預貯金だけで保有しておくことも、世界的に物価上昇が続く今、逆にリスクです。そのため、購入時期や投資先を分散しながら、コストが低いタイプの投資信託の積み立ては少し多めに続けていきたいと考えています。

ただ、大きな非課税枠は上手に活用したいと思います。新NISAが始まったら、これまで他の口座(課税口座)で積み立てていた投資信託の一部をストップして、新NISAでそれと同じ投資信託を積み立てていこうと考えています。

また、これまでは一般NISAも活用して個別株を購入していましたが、今後は新NISAの成長投資枠で購入していきたいと思います。過去に課税口座で購入して、保有している個別株も、時期を見計らって売却し、新NISAの成長投資枠で購入していく予定です。

ちなみに個別株は、株主優待も目的として購入するケースもあります。百貨店なら10%割引のカードがもらえたり、カフェで20%引きだったり、スーパーでキャッシュバックがあったり。コロナ前だけでなくコロナ禍中にも購入して、値上がりをしているものも多いです(しかし今後はどうなるかは分からない、というスタンスでいます)。

期間恒久化により「成長枠」運用は積極的に

さらに先述の3.です。新NISAの3つ目の特徴として、非課税期間が恒久化になったことが挙げられます。

これまで、一般NISAの場合は非課税期間が5年(ロールオーバーをすればさらに5年)と短期間でした。そのため、個別株を買っても、その期間内で株価が下がればNISAのメリットを失ってしまい、むしろデメリットだと感じるケースもありました(課税口座で売買した“利益”と、NISA口座で売買した際の“損”について、「損益通算」ができないからです)。そのため、一般NISAでは期間も考慮しながら売買を検討するという制約がありました。

ところが、新NISAでは非課税期間が恒久化されます。5年程度のうちに多少の値下がりをしても、その後値上がりを待つことも可能です。なので今後は、個別株を新たに買う際には、新NISAの成長投資枠で購入したいと考えています。

ちなみに、すでに課税口座で保有している資産は、できるだけ上手に新NISAへ移していけたらと思っています(厳密には、そのまま資産の移動はできないため、課税口座での資産を売り、新たに新NISAで購入することになります)。

新NISAは、非常に使い勝手がよくなりそう

これまでの若干複雑で分かりにくかったNISAから新NISAになって、非常に使い勝手がよくなりそうだと、楽しみに感じています。

投資枠が年360万円に拡大されたとはいっても、ネット証券などでは月100円から投資信託を積み立てしていくことも可能です。大きな資産を非課税枠で投資したい人から、投資未経験者のうえ少額で試したい人まで、誰にとっても使いやすい制度になるのではないでしょうか。

今後、新NISAについて世の中の情報が非常に増えていくでしょう。ですが、「どんな人が」「どんな目的で」発信しているかは、注意深く見る必要があります。誰かの発信を参考にする場合は、自分に近いライフプランやマネープラン、リスク許容度の人をチェックしてみるとよいと思います。

そして何より、実践的な経験は非常に大きな価値があります。投資未経験の方は、情報を眺めているだけでなく、月100円でもよいので、現状のつみたてNISAで投資信託の積み立てをスタートしながら、来年からの新NISAの戦略を立てていくのが良いのではないでしょうか。


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※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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