メタが新たな特許を取得した。
Facebook/Meta
メタ(Meta)は、いまだ回復途上にある広告事業を強化すべく、生成AIプロジェクトに取り組んでいる。
メタが米特許商標庁に出願した内容によると、同社は先ごろ、特定のユーザーの興味に応じてAIが作成・変更までを行う広告の特許を取得した。
2021年のアップル(Apple)のプライバシーポリシー変更に伴い、メタは収益の大半を占める広告事業で数十億ドル規模の打撃を受けたが、現在はそこからの回復途上にある。AIを活用した広告のおかげでターゲティングの精度が改善したことで、広告主らの満足度は高まっている。ウォール街の金融筋は、メタの収益の伸び率が2年ぶりに2ケタに戻ると予想している。
ターゲットごとにAIが広告を出し分け
生成AIにはCEOのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)も関心を寄せており、同社も投資を行っている。OpenAIが2022年秋にChatGPTをリリースして以来、生成AIブームが巻き起こっており、ザッカーバーグもたびたび生成AIについて発言している。
メタの新しい特許は、生成AIの使用を通じて、広告コンテンツを新しく作成、あるいは変更を加えて「改良」するものだとの説明がなされている。新しいコンテンツの「生成と配信」および「リモートレンダリングとデータストリーミングを利用した拡張コンテンツの生成と配信のためのシステムおよび方法」を対象とする、とのことだ。
「この特許はまた、一般的に、オーディエンス検出を介したデジタルコンテンツのカスタマイズに関するものであり、より具体的には、人工知能ベースのオーディエンス検出技術およびメカニズムを利用して、通信デバイスでカスタマイズされたデジタルコンテンツを配信するためのシステムおよび方法に関するものである」との説明も付け加えられている。
さらにこの特許には、広告やコンテンツがどのような成果を上げるかをAIが測定、分析、予測し、その結果に基づいてコンテンツを調整する方法も含まれているという。この特許はもともと2021年末に出願されており、発明者には10名を超すメタの現役社員および元社員が名を連ねている。
広告事業復活の切り札となるか
クライアント向けに広告のターゲティングや成果を検証することだけでなく、少人数または個人向けの広告コンテンツを作成・最適化する作業もAIが実行できるようになれば、広告主を惹きつけ、メタの収益押し上げにつながることが証明できるだろう。
利用した数千万ドル規模のメタ向け広告をマネジメントしている広告管理会社の責任者は、「クリエイティブアセットを適切に組み合わせたり、特定のクラスタ向けにアセットを最適化できるのは素晴らしい」と評価する。しかし、生成AIが全社的な収益の押し上げに明確に寄与するかに関しては、依然として慎重だ。
ザッカーバーグは今年2月、生成AIの研究を「加速」させるべく、社内に新たに「最高レベルのプロダクトグループ」を作っているところだと明かしている。
その数、メタのCTOでメタバース部門「リアリティラボ(Reality Labs)」を率いるアンドリュー・ボスワース(Andrew Bosworth)は4月の日本経済新聞のインタビューで、目下ザッカーバーグとともに業務時間のほとんどを生成AIプロジェクトに費やしていると話していた。
ボスワースはインタビューの中で、メタが生成AIを使った広告の開発に取り組んでいることを認め、リリースは今年末頃になるだろうと見込みを示していた。
この技術が実現すれば、メタのデジタル広告は従来の広告とは一線を画すことになる。これまでは広告主やブランドが単一の広告クリエイティブを作成し、FacebookやInstagramといったプラットフォームでターゲットユーザーに対して表示していたが、今後は「AIに『さまざまなユーザー層に適した画像を作って』と広告主が依頼する」オプションがつくことになる、とボスワースは説明する。
「そうなれば時間と資金を大幅に節約できます」(ボスワース)