本記事の筆者、FP/ライターの佐藤彰氏。
Akira Sato
- 本記事の筆者、FP兼ライターの佐藤彰氏は、新NISAのポイントを資産運用の自由度が上がることだと捉えている。
- だが、佐藤氏は現在40代前半で、今は仕事にある程度まとまった時間を割いていくライフステージにある。
- そのため、投資に時間をかけ過ぎないこと、投資を楽しむこと、この2つを意識した新NISAの活用を考えているという。
2024年からNISA制度が大きく変わる。何が変わるかと問われれば、それは資産運用の自由度が上がるということだ。
つまり、自分の投資スタンスがある人にとっては朗報である。反面、そうでない人にとっては投資に迷いが生じてしまい、他人に流されて無理な投資をしてしまいかねない。
だからこそ投資のスタンスを2023年中にしっかり固めて、2024年を迎えてほしい。その参考に、今回は私が現時点で考えている新NISAの活用アイデアを紹介する。
投資はあくまで自分の理想のライフプランを実現するための手段だ。私自身、仕事に加え、家族、自身の健康、趣味の活動など、バランスのいい生活を過ごしていきたいと考えている。
そのため、投資に時間をかけ過ぎないこと、投資を楽しむこと、この2つを意識した新NISAの活用を考えている。
投資に極力時間をかけない
私は現在40代前半であり、これからまだまだやっていきたい仕事がある。ライフワークバランスをゆくゆくは保ちたいと考えているものの、今は仕事にある程度まとまった時間を割いていくライフステージにある。
そのため、資産運用にかける時間は極力少なくしていきたい。これは会社員として仕事をしている同年代の方も同じではないだろうか。
そのために、新NISAでも手堅く資産形成するセオリーである長期・分散・積立投資の大原則を守りながら、引き続き積立投資を中心に資産形成していくつもりだ。具体的に意識している資金は老後生活資金である。
この点、老後までにだいぶ時間がある。老後生活資金以外に現役時代にまとまった資金もまだ必要になり得るが、老後生活資金を確保することを前提として現役時代の各種資金を考えている。なぜならば、私は会社員ではなく自営業者だからだ。
将来の年金は会社員の方よりも少なくなることが想定されるため、自助努力で老後生活資金を確保する必要性が高い。一方で現役時代は、仕事の量を増やしたり、仕事の単価を上げたりするなどの方法で、収入を上げていきやすいからでもある。
「つみたて投資枠」は基本1本に厳選
具体的な資産形成手段としては、様々な国々の株式に投資をする外国株式型のインデックスファンドでの資産形成を考えている。
最近は、アメリカに投資をするのがブームのようで、米国株式型のインデックスファンドに投資をする人も多い。アメリカは確かに世界の経済の中心であり、なおかつ最先端の企業が多い。ただ、それがこれから何十年も継続するかといえば、そうともいい切れない。
また、先進国の外国株式だけを対象とした外国株式のインデックスファンドも数多くあるが、目論見書で商品内容を確認すると、投資対象が米国に偏っているものもある。分散投資という原理原則を大事にするのであれば、これらのファンドは避け、様々な外国株式に分散投資をしているファンドを選定するのが理に適っていると私は考えている。
そして、選定ファンドは基本的に1つで考えている。この点、投資にこだわりのある方であれば、いろんなファンドを組み合わせ、投資のポートフォリオにこだわる方もいるだろう。
だが、ポートフォリオのチェックは手間がかかる上に、最適なポートフォリオは専門家でも意見が分かれる。なので、個人的には、1つのファンドである程度の分散投資ができれば、それ以上ポートフォリオの調整に時間をかけず、自分の時間を他の活動に回した方が得策と考えている。
「成長投資枠」は4つの視点で選定
一方で新NISAでは、ただインデックスファンドで積立投資をするだけでなく、個別株投資にもある程度資金を振り分けていく予定である。もちろん、個別株投資は手間がかかるため、あくまで経済的にも時間的にも差し支えのない範囲内での実施にはとどまる。
新NISAでは非課税投資を用いつつ「コア・サテライト戦略」で運用しやすい。コア・サテライト戦略とは、コア部分は長期かつ安定的に運用し、サテライト部分はコア部分よりも高いリターンを求めて積極的に運用する運用戦略のことをいう。新NISA活用では、この戦略を参考に個別株投資に力を入れる方も多くなるだろう。
ただ、私自身はこのサテライトの部分を値上がり益期待よりも「楽しむ」ためにやっていく予定だ。個別株投資で値上がりすればもちろん嬉しいが、そうでなかったとしても後悔しない、いわば、投資することそのものに意味を見出す投資である。
資産が増える実利的なメリットだけでなく、感情的なメリットも意識した投資である。具体的には以下の4つの観点から銘柄を選定していく予定である。
なお、「楽しむ」投資の詳細は拙書『“こわい”がなくなる投資1年生の教科書――マネトレ投資法で始める資産形成』で紹介している。もし、後述する観点で、もっと詳しく知りたいと思われた方は、一度手に取っていただければと思う。
私自身、いろんな企業をリサーチするのは好きで、個別株投資そのものも好きな方だ。独立系FPの職業倫理上、個別銘柄への言及を避けるが、昔からリサーチしている企業も複数ある。
ちなみに、中長期の値上がり益に期待して投資をすることを、私は「ワクワク投資」と呼んでいる。まずは、この観点でいくつかの銘柄への投資を検討している。
私は、証券投資が「社会にとって必要な会社」に資金を提供し、社会貢献になるものだという確信を持っている。その上、社会貢献の観点も踏まえ、個別銘柄に投資をしていきたいと考えている。
具体的には、SDGsに力を入れている企業や新種気鋭のベンチャー企業への投資を検討している。この点、社会貢献というと、実際に大した活動をしていないのに、あたかもしているように見せかけている企業もないとは言い切れない。
そこで、2024年に向けて私自身、どの企業が社会貢献の観点で目覚ましい活動をしているかチェックを進めていく予定である。
純粋に自分の好きな商品、サービスを提供している企業を応援するための投資を、私は「推しの投資」と呼んでいる。この観点で、業績云々よりも純粋に応援したいと思える投資先も選定する予定である。もちろん、資産形成に支障が出ないよう損切のラインは事前に設定して、リスク管理することは言うまでもない。
私は証券会社出身で、最新のトレンドを追いかけたり未来予想をしたりすることが身体にしみついている。そういったトレンドに関連した企業で興味関心がある企業もあれば、合わせて投資を検討している。
ただし、投資は分からないものには投資をしないのが鉄則である。トレンドであっても、理解が不足しているものであれば手を出さない。
この点、トレンドへの投資なら投資信託でテーマ型の商品がたくさんあるが、手数料が高くあまりおすすめしない。もしトレンドそのものへの投資をしたい場合は、ETFで選べる銘柄がないか検討をしてみるとよい。投資信託のように高額の手数料をかけず気になるテーマに投資ができる場合がある。
まとめ
新NISAはあくまであなたの理想のライフプランを実現するための手段である。そのために、今から自分なりの活用方法を考えてみてほしい。今回は私自身の考え方を書いたものであり、これらを鵜呑みにせず、あなたが資産形成方法を考える参考として活用いただければ幸いである。
また非課税投資が増えることで、無理して全ての枠を使用しようとする方も出てこないかも危惧している。もちろんこれもNGである。投資は余裕資金で行うことが大前提であることも最後に付け加えておきたい。
注:この記事のリンクを経由して製品を購入すると、アフィリエイト契約により編集部が一定割合の利益を得ます。