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- アイリッシュ・タイムズは5月11日、1つの意見記事を削除した。記事には「フェイク・タン」は問題だと書かれていた。
- これは80%がGPT-4によって生成された記事だった。また、記事作成者はAIで生成したプロフィール画像を使用していたとガーディアンが伝えている。
- アイリッシュ・タイムズの編集者は謝罪し、生成AIが新聞にとって大きな課題であることを浮き彫りにしたと述べた。
AIで生成された偽の新聞記事は、DALL-Eで生成したプロフィール画像を使用した愉快犯によるもので、編集者は謝罪することになったとガーディアンが報じた。
アイリッシュ・タイムズは5月11日、「Irish women's obsession with fake tan is problematic(アイルランド人女性たちのフェイク・タンへの執着は問題だ)」と題された寄稿を掲載した。同紙のサイトで2番目に人気のある記事になり、アイルランドのラジオやソーシャル・メディアで議論を巻き起こした。
「筆者にはフェイク・タンはただの化粧以上の意味がある。メラニンを多く含む、肌の色の濃い人々の文化の盗用、崇拝という問題がある」と記事には書かれていた。
だが、寄稿者のアドリアナ・アコスタ・コルテッツ(Adriana Acosta-Cortez)なる人物は、ダブリンに移住したエクアドル人医療従事者ではないということが分かった。というより、存在しなかった。アイリッシュ・タイムズはこの記事を削除し、検証を開始した。
この愉快犯は、アイリッシュ・タイムズの別の意見記事について「意見が分かれるくだらない話」「本当に悲しい」出来事だ、などとツイートしていた。
このアカウントの所有者がガーディアンに語ったところによると、自身は「ノンバイナリーだと自認するアイルランドの大学生だ」という。
投稿者は記事の約80%がGPT-4で生成されているとガーディアンに語っている。プロフィール写真は「女性、太り気味、青髪、ビジネスカジュアルな服装、ドヤ顔」というプロンプトで、ステレオタイプに「目覚めた」ジャーナリストを示すためにDALL-Eで作ったという。
「私のことをオルタナ右翼の荒らしと呼ぶ人もいるが、そうは思わない」とガーディアンに語った。
「アイデンティティ政治は、世界を解釈するのにまったく役に立たないレンズだと思う」
いたずらを認めた後、このアカウントは極左のレボルーショナリー・ハウジング・リーグ(Revolutionary Housing League)の投稿をリツイートし、ホームレスと空き家の問題について語っている。
アイリッシュ・タイムズの編集者、ルアダン・マック・コーマイック(Ruadhán Mac Cormaic)に、声明で謝罪した。
「我々は意図的で組織的な詐欺の被害者になっていた」
そして、今回の件は同紙の編集プロセスの「欠落」と同時に「生成AIの報道機関への課題を明確に示した」と付け加えた。
「我々も他の人々と同様に学び、適応していく」