アーク・インベストのキャシー・ウッド。
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- アーク・インベストの投資家キャシー・ウッドによると、アップルはChatGPT pluginsの台頭によって混乱する可能性があるという。
- アップルの時価総額が2兆7300億ドルとなり、株価指数ラッセル2000の時価総額を上回る中で、ウッドはこのコメントを発表した。
- アップルの現在の評価額を正当化する唯一の方法は、同社のヘルスケア分野と決済分野への投資が成功するかどうかにかかっているとウッドは述べている。
アーク・インベスト(Ark Invest)の創設者で投資家のキャシー・ウッド(Cathie Wood)によると、ChatGPT のようなAI技術の急速な台頭は、アップルに混乱を招き、現在の2兆7300億ドル(約371兆円)という評価額を不当なものにするかもしれないという。
ウッドは2023年5月14日のツイッター(Twitter)での発言で、ChatGPT上でサードパーティのアプリをプラグインとして利用できる「ChatGPT plugins」は、アップルの基盤であるハードウェア事業が「停滞」している現在、収益性の高いアプリストアに対するアップルの支配を奪う可能性があると述べた。
ウッドは、アップルの総売上高の54%を占めながら、前四半期の売上高成長率はわずか1.5%にとどまったiPhone事業の減速についても言及している。
投資家らは、同社が高収益を上げるサービス事業がより速いペースで成長しているため、アップルのiPhone販売不振という現実を部分的に受け入れている。アップルのサービス事業にはApp Store、広告部門、ストリーミング サービスなどが含まれている。
だが、その成長と高収益もChatGPTとその大規模言語モデル(LLM)によって駆逐されてしまう可能性があるという。
ウッドは、アップルの「基盤となる事業は停滞し、その高マージンのアプリプラットフォームはChatGPT pluginsによって仲介できなくなる可能性がある」と述べている。アップルはエピックゲームズ(Epic Games)との最近の訴訟でも見られるように、App Storeの利益を懸命に守っている。
ウッドのコメントは、アップルの時価総額が株価指数ラッセル2000(Russell 2000)全体の時価総額の合計を上回った中で出されたものだ。具体的には、この小型株指数に含まれる1917銘柄すべての時価総額を合計すると、アップルの時価総額を数十億ドル下回ることになる。
ビスポーク・インベストメント・グループ(Bespoke Investment Group)は2023年5月14日のツイートで、「アップルはラッセル2000の約2000社の小型株全部よりも大きな存在に戻った」と述べている。ビスポークによると、アップルは以前、2020年9月1日にラッセル2000の上に立ったことがあったという。
「前回は長くは続かなかったが、今回はどうだろうか」
だが、ウッドは決済分野とヘルスケア分野への投資がうまくいった場合、アップルの現在の3兆ドル(約407兆円)近い時価総額が正当化される可能性があると見ている。
「アップルは決済分野とヘルスケア分野で大きなコールオプションを提供している。この評価を正当化するには、アップル株のコールオプションが大きく動く必要がある」とウッド氏は述べている。
最近のアップルの決済分野での動きとしては、数年前のアップルカード(Apple Card)のサービス開始や、2023年4月に始まったばかりの高利回りを提供する普通預金口座が挙げられる。アップルのこの口座は、提供開始から4日間で約10億ドル(1360億円)の預金を集めている。
ヘルスケア分野については、同社はアップルウォッチ(Apple Watch)にさらにヘルスモニタリング技術を追加しようと取り組んでいる。