メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)のマーク・ザッカーバーグ創業者兼最高経営責任者(CEO)。
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追加レイオフ(一時解雇)と組織構造の改革が進むメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)の社内コラボツール「ワークプレイス(Workplace)」が、退職する従業員の別れの挨拶であふれかえっている。
内情に詳しい関係者によれば、ここ数週間だけでも、バイスプレジデントなどマネジメント層の複数の従業員が退社を表明している。ワークプレイス上での退社報告は「バッジ」(IDカードを指す言葉)投稿と呼ばれ、同関係者は近ごろ「ひっきりなしに」目にするという。
投稿主はすべて同社のセールスやファイナンス、マーケティングなどビジネス部門に所属する従業員。2022年11月の1万1000人大量解雇に続いて今年4月に行われた追加レイオフの「第2弾」対象者と見られる。
関係者への取材によれば、5月22日の週に約6000人が解雇される模様だ。
4月の追加レイオフ第1弾では、技術職・エンジニア職の数千人が対象となった。したがって、今回の第2弾はそれ以上の大規模な解雇が実施されることになる。
前出の内情に詳しい関係者によれば、経営幹部が退社するケースについては、そのほとんどが「静かな解雇(quiet layoff)」の形になるという。
すなわち、バイスプレジデント級の幹部に対しては、まず全社的に実施中の組織再編の一環として当該幹部のポジションを廃止することを当人に直接通告し、社内の別ポジションを探すか、レイオフ実施までに退職するかを選ばせる。
一種の退職推奨だが、一般従業員にはそのような選択肢すら与えられない。
マーク・ザッカーバーグ創業者兼最高経営責任者(CEO)は2023年を「効率化の年(the year of efficiency)」と位置づけ、中間管理職層の削減により組織構造の「フラット化」を目指す人事改革を進めている。
今週(5月15日を最初の営業日とする週)はすでに、11年以上在籍するベテラン幹部のウィリアム・プラット=ヒギンズ氏が、6月中に退職する意向を表明。
同氏は2012年にグローバルクライアントパートナーシップ担当のバイスプレジデントとしてジョインし、その後は政府・議会や非営利団体との窓口・交渉担当も兼務するなど活躍の場を広げてきた。
また、プラット=ヒギンズ氏以前にも3人のバイスプレジデントが、ここ数週間のうちに退職を表明している。
サラ・オブライエン氏は、アップル(Apple)に約8年、続いてイーロン・マスク氏率いるテスラ(Tesla)でバイスプレジデントを務めた実績を引っ下げてメタに移籍。エグゼクティブおよびプロダクトコミュニケーション担当のバイスプレジデントを4年担い、今回退職する。
ジジ・メルローズ氏はアカウントマネージャーを出発点に2010年から12年強在籍。2022年に中小企業向けビジネスのグロース担当バイスプレジデントに昇格したばかりだった。
キャサリン・シャプリー氏も、2010年のジョインから在籍約13年のベテラン幹部。マイクロソフトから移籍し、バイスプレジデントとして北米エリアの中小企業向けビジネスを担当し、2022年からはコマースビジネスを担当していた。
なお、メルローズ氏とシャプリー氏はともに米テキサス州オースティンを拠点とし、後者は同オフィスの責任者を兼務していた。
関係者によれば、メタ社内では近ごろオースティン拠点の規模縮小が議論されている模様で、4月のロンドンオフィス(アメリカ以外では最大規模)に続く撤退例になるとの見方もある。
ロンドンオフィスはまだ機能しているものの、アダム・モッセリ氏率いるインスタグラム(Instagram)担当チームはすでにレイオフの対象となっており、解雇を免れた従業員も責任者のモッセリ氏含めてアメリカのいずれかの拠点に異動になる。
イギリス国内で賃貸契約中の拠点オフィスはすでにほとんどが転貸されている状況だ。
また、先述のオースティン拠点では、2023年に同市で最も高い超高層ビルの竣工に合わせてオフィスを統合・移転する計画が進んでいたが、「効率化の年」の新たな方針に基づき中止となった。2022年1月に契約済みの(超高層ビル内の)巨大オフィスは、地元メディア報道によれば転貸するという。
オースティン拠点に勤務する委託契約の従業員については、すでに2022年から削減が始まっている。
市内の複数のオフィス物件についても合理化を進めるとしており、リースの早期解約に伴い発生する違約金など諸々のコストとして約30億円を計上している。
メタの広報担当に本記事の内容についてコメントを求めたが得られなかった。