品薄続く「ヤクルト1000」で好調のヤクルト決算。受注再開の目処は?

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「ストレス緩和」「睡眠の質向上」を打ち出し、好調が続く「ヤクルト1000」。

撮影:杉本健太郎

5月15日、ヤクルトが報道関係者向けに2023年3月期の本決算説明会を開催した。売上高は4830億円(前年比16%増)、営業利益は660億円(同24%増)、純利益は506億円(同12%増)と増収増益だった。

増収を牽引したのは、国内の飲料事業。中でも、ストレスをやわらげたり睡眠の質を高める機能をうたう機能性表示食品の「ヤクルト1000」などの売り上げが引き続き好調だ。

質疑応答の時間では、人気で品薄が続く宅配販売の「ヤクルト1000」、店頭販売の「Y1000」についての質問が相次いだ。

ヤクルト1000

ヤクルト1000は宅配の新規申込みを休止し、Y1000も店頭に並んでもすぐに売り切れる状況が続いている。

出典:ヤクルト2023年3月期決算資料

生産ライン強化も需要に供給追いつかない状況続く

まず、現在の状況について、ヤクルト広報室IR室長の大濱弘和氏は国内飲料、食品事業が、

「好調な推移を続けるヤクルト1000、Y1000が牽引役となり、 ヤクルトのブランド価値が高まった結果、乳製品全体の販売本数の増加に結び付いています。一方、供給体制については一部で品薄状態が継続しており、ヤクルト1000、Y1000だけではなく、乳製品全体のバランスも考えながら拡充を検討しています」

と説明。国内飲料事業の売り上げは乳製品の好調で371億円増加している。

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主に乳製品の影響で国内飲料の売り上げは大きく伸びている。

出典:ヤクルト2023年3月期決算資料

また、供給体制については、

「今期ヤクルト1000の販売目標を1日あたり250万本としました。3月下旬に生産能力を拡大しましたが、まだ十分な供給量とは言えませんので、 供給体制の増強を1日も早く進めてまいります」

と話した。

需要に対して供給はどの程度不足しているのか。Business Insider Japanの質問に対して、

「ヤクルト1000、Y1000の(需要に対する)供給状況は具体的な数字で申し上げられる部分はございません。今出している数字(ヤクルト1000が250万本/日、Y1000が95万本/日)が生産の上限で、何とか供給しているというのが現状でございます」

と返答があった。

また、

「現状、宅配についても店頭についても、商品が供給できてないというような状況でございます。宅配については、今休止をさせていただいてるという状況でございます。 3月、4月に生産ラインを増産して対応してございますけれども、再開できる見込みはございません」

と生産ラインを増加しているが、それでも需要に供給が追いついていないことを明かした。

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店頭での販売を開始した2021年から2022年にかけて2倍近い販売実績を残している。

出典:ヤクルト2023年3月期決算資料

また、ヤクルト1000、Y1000に生産を集中させるなど、ラインナップの見直しを含めた戦略について問うと、

「ラインナップについては、ヤクルト1000、Y1000を生産するために、他の商品のラインを少し移動するというようなことはしておりますけれども、何らかの商品を終売して、そちらに集中していくというようなことは現状ございません」

と回答した。

供給が追いついていない中で気になるのは、受注を停止しているヤクルト1000の受注再開のめど。

斎藤憲明宅配営業部長は、

「再開のめどについてでございますが、現場と色々と連携をさせていただいておりますが、まだ残念ながら未定でございます。各地域で状況は違っておりますので、今後状況を踏まえて再開の検討をしていきたいところでございます」

としたうえで、大濱氏は

「今年度の第4四半期にはまた増産をするということで考えています。来年度にかけて、さらにラインを増産したいという風に考えておりますので、2024年度はヤクルト1000、Y1000の生産を425万本/日体制を目指します

とした。

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