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- Z世代やミレニアル世代の若者の半数以上は、給料ギリギリの暮らしをしていることがデロイトの最新調査で分かった。
- 生活費に不安を抱える若い世代の間では、副業を始める人も増えている。
- こうした状況から、Z世代やミレニアル世代は子どもや持ち家を"手の届かないもの"だと感じている。
9時5時の仕事はもはや生計を立てるのに十分ではない。
Z世代とミレニアル世代を対象としたデロイトの最新調査 —— 2022年11月から12月にかけて44カ国、2万2000人以上を調査し、2023年3月にはインタビューも実施した —— の結果は、若い労働者の多くが直面しているという悲惨な経済状況を物語っている。
「これらの世代には困難な状況から立ち直る強さがあることが証明されたとわたしたちは見ています」とデロイトのグローバル・ピープル・アンド・パーパス・リーダーのミシェル・パーメリー(Michele Parmelee)氏はInsiderに語った。ただ、それと同時に、経済の不確実性は住宅購入から家族計画に至るまで、彼らの生活のあらゆる面に影響を及ぼしている。
今回の調査ではZ世代の51%、ミレニアル世代の52%が「給料ギリギリの暮らしをしている」と答えた。物価が高止まりする中、同様に回答した人の割合は昨年から5ポイント増加していて、これは企業が消費者からまだ過去最高の利益をひねり出すことができると考えている影響もありそうだ。実際、Z世代とミレニアル世代にとっては依然として生活費が最大の懸念で、Z世代の3分の1以上、ミレニアル世代の42%が生活費を"一番の不安"に挙げている。
Z世代の半数とミレニアル世代の47%は、子どもを持つことは「困難から不可能になった」と答えている。住宅購入についてはさらに悲観的で、Z世代の61%、ミレニアル世代の62%が「もっと困難または不可能になった」と回答している。
「これまでの世代が当たり前のようにしてきた人生の決断に影響を及ぼしているという点で気になります」とパーメリー氏は語った。
「給料ギリギリの暮らし」で増えるDINKWADsと副業を始める若者
多くの若い労働者 —— 特にミレニアル世代 —— が子どもを持つことを避ける中、アメリカでは出生率も低い状態が続いている。そして、子どもを持つ代わりに「DINKWAD」になることが若い世代にとっての新しいアメリカンドリームになりつつある。DINKWADはダブルインカム(共稼ぎ)、ノーキッズ(子なし)、ウィズ・ア・ドッグ(犬)の頭文字を取った言葉だ。
「DINKWADs生活の魅力はあらゆる責任から解放され、経済的、個人的自由のみに基づいていることだ」と誇り高きDINKWADを自称するオマー・アハメドさんはInsiderに語っていた。
デロイトの調査では子育てをしているZ世代の40%、ミレニアル世代の43%が、子どもの世話が自分たちの経済状況に「大きな影響を与えた」と回答していて、子育てにかかる費用がかさむ中、すでに金銭的な余裕がないZ世代やミレニアル世代にとって、子どもを持つことは経済的に難しいのだ。そして、生活費が高いゆえに、本業に加えてパートタイムやフルタイムの仕事をする若い労働者が増えているとデロイトは報告している。半数近く —— Z世代の46% —— が副業をしていて、このうち3分の1以上が副業を始めたのは「第2の収入源が必要だったから」と答えている。ミレニアル世代の3分の1以上が同じような状況だ。いずれの割合も昨年の調査より増えていて、Z世代とミレニアル世代が直面している独特の経済状況を物語っている。
ミレニアル世代にとって、パンデミックは社会人としてのキャリアの初期から中期にかけて、もう1つの"世代を決定付ける不況"となった。ワクチン登場後の活気づいた労働市場でミレニアル世代はようやく力を取り戻し、人々がこぞって仕事を辞めた「大退職(Great Resignation)」を利用してより条件の良い、高給の仕事に飛び込むことができたものの、こうした状況はテクノロジー企業のレイオフで圧倒的に多くのミレニアル世代が仕事を奪われ、突然終わりを迎えた。そして、コロナ禍で卒業し、社会に出たZ世代は職を失い、根本的に変わってしまった経済と労働市場をなんとかして乗り切ろうと、ジェットコースターのような日々を送っている。
それでもデロイトの調査によると、最も若いZ世代の労働者は自分たちの将来の生活について、ミレニアル世代よりもやや楽観的な考えを持っている。これは自分たちのイメージをもとに、仕事を作り変える準備ができているからなのかもしれない。
「パンデミックの前に比べて、労働者は発言権を増し、より強い立場を手に入れました」とパーメリー氏は話している。
「その立場をいかして、彼らは自分たちが求めるもの、必要とするものを声に出し、そのおかげで実際に変化があったと認識しています。柔軟性、DEI(多様性、公平性、包括性)、持続可能性への取り組み、メンタルヘルスへの支援など、自分たちの満足度が高まったからです」