2023年5月、グーグル(Google)が開催した開発者向け年次イベント「Google I/O 2023」の様子。画面の製品は同社初の折りたたみ型スマートフォン「Pixel Fold」。
Jeff Chiu/AP
グーグルは5月10日、「Pixel(ピクセル)」シリーズの最新スマートフォン2機種「7a」「Fold」を発表した。いずれも現段階での評価は上々だ。
ただし、これら最新機種の大型化は行きすぎとの妥当な批判も出ている。ユーザーのみならず、グーグル従業員の中からも同様の声が上がっているようだ。
5月18日に開催された同社の定例(に近い)全社ミーティング「TGIF(Thank God It's Friday)」では、従業員の一人から「Pixel 7の規格仕様が自分には大きすぎるので、現在使用しているPixel 5からの機種変更で、初めてiPhoneを買おうと思っているがどうか?」との質問が上がり、賛同する意見が相次いだ。
Pixelシリーズ含むプロダクトマネジメント担当のバイスプレジデント、ブライアン・ラコウスキ氏はまず「iPhoneへの乗り換えはやめましょう(笑)」と応じ、最新の7aは7より小型化したと指摘した(その差はわずか0.2インチだが)。
ラコウスキ氏はその上でこう語った。
「小型のスマートフォンに対するニーズが非常に大きいことは認めたいと思います。当社従業員の中にもそうした意見はあり、機種それぞれに求められる理想的なサイズを見極めるため、触感の評価研究や市場調査を含めてさらなる調査研究を実施していきます」
同氏によれば、「販売中の機種はその大半が極めて適切なサイズに収まって」いるものの、2021年秋発売の「Pixel 6」は、理想的なサイズより結果的に大きくなったという。
「フィードバックには引き続きしっかり耳を傾けていきます。調査研究も続け、小型のスマートフォンが欲しいというユーザーのニーズが、それを開発製造して採算の取れる規模感に達していると判断されれば、当然検討します」(ラコウスキ氏)
ゲームや映画鑑賞など、より多くのさまざまなタスクに対応できるよう、スマートフォンは大型化を続けてきた。
そして、グーグルの商品戦略もデータが示す市場の実態に合致するものだ。
調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチのアナリストは2021年、画面サイズが6インチ以下のスマートフォンは、世界販売台数のわずか10%にすぎないと分析している(ロイター、2021年2月9日付)。
アップルが2022年9月にiPhoneの小型シリーズ「mini(ミニ)」生産終了を判断したことを踏まえると、2021年のカウンターポイント分析で示された流れにはその後も大きな変化は起きていないだろう。
比較的コンパクトだった「Nexus(ネクサス)」シリーズの時代とは隔世の感があるものの、現在の巨大な画面サイズとの中間に相当する市場は間違いなく存在すると思われる。当のグーグル従業員ですらそう考えているのだから。
グーグルの広報担当にコメントを求めたが得られなかった。