イギリスの通信大手BTは2030年までに4万人から5万5000人の雇用を削減すると発表した。そのうち1万人の雇用をAIが代替する可能性があるという。
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- イギリスの通信大手BTは2022年度の決算報告で、2030年までに4万人から5万5000人の雇用を削減すると発表した。
- 同社は、進化したネットワークやAIの導入により労働力を代替するとしている。
- 同社は「間違いなくAIの恩恵を受ける存在になる」とフィリップ・ジャンセンCEOは述べている。
イギリスの通信大手BTグループは、2030年までに5万5000人もの雇用を削減する計画を明らかにした。そのうちの少なくとも1万人は、何らかの形でAI(人工知能)に置き換わる可能性がある。
同社は「間違いなくAIの恩恵を受ける存在になる」と、フィリップ・ジャンセン(Philip Jansen)CEOが決算説明会で述べたとCNNが報じている。同社は現在約13万人の従業員を抱えている。
ジャンセンCEOは、すでに同社の「エイミー」と名付けられたチャットボットが、ほとんどの顧客の質問に対応できると述べた。そして、OpenAIのChatGPTのような生成型AIの実験を続けることで、新しい製品やサービスにつながる可能性があるとしている。
同社は、AIとメンテナンスの手間が少ない進化したネットワークにより、数千人のフルタイムのカスタマーサービス従業員やサードパーティーの契約社員の必要性が減少すると見込んでいる。決算説明会の資料によると、同社は2022年から2023年にかけて、従業員数を13万5000人から13万人に削減した。2030年までには、従業員数を7万5000人から9万程度にするという。
ジャンセンCEOは、BTが削減する約1万人分の仕事は、AIによる「デジタル化・自動化」で代替できると考えている。
民間企業や公共機関は、AIを取り入れることを何年も前から検討してきた。例えば、ニューメキシコ州のある政府機関では、公共サービスに役立てるため、何年も前からAIによる自動化プロセスを取り入れていたと、Insiderは以前報じている。そして、生成AIやChatGPTへの関心がさらに高まっており、それをうまく利用しようとする人が引き付けられているようだ。
最近では、労働者、特にカスタマーサービスに携わる人々が、このようなツールとどのように接しているかということを分析する研究が行われている。
「フォーチュン500」に名を連ねる企業に勤務する5000人以上のカスタマーサービス担当者を調査対象とした研究では、AIチャットプログラムを使用すると、誰が使うかによって程度の差こそあれ、生産性が向上することがわかった。
より専門的な知識を持つカスタマーサービス担当者は、このようなツールの使用で生産性が向上することは「ほぼ0%だった」と、この研究論文の共同執筆者で、スタンフォード大学・人間中心AI研究所の教授であるエリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson)は述べている。
一方、より多くの訓練や経験が必要な人の場合は、このようなツールが生産性向上の助けになり、平均14%の向上が見られたという。