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- アメリカ政府の研究によると、ニューヨーク市は年に1~2mm沈んでいるという。
- これは「水上都市」イタリアのベネチアと同じだ。
- 人口が増え続ける中、ニューヨークの地盤沈下はさらに悪化する見込みだ。
高層ビルが立ち並び、常にどこかしらで建設作業が続いているように見えるニューヨーク市はあまりの重さに、急速な地盤沈下が進んでいる都市として有名なイタリアのベネチアと同じペースで沈んでいっている。
「ビッグ・アップル」の愛称で親しまれるニューヨークには800万人以上が暮らしているが、アメリカ政府の報告書はニューヨーカーだけでなく、世界中の沿岸都市に住む人々が急速な地盤沈下や緩やかな陥没、一部地区の沈没に直面していると警鐘を鳴らしている。
そして世界各地の沿岸都市で人口が増え、建築密度が上がり続ける中、こうした問題はさらに悪化する見込みだと研究者らは指摘している。
アメリカ地質調査所が5月に公表した報告書『The weight of New York City: Possible contributions to subsidence from anthropogenic sources』によると、海面が上昇し、この地域におけるハリケーンの脅威が高まる中、ニューヨーク市は年に1~2mm沈んでいっているという。
研究者たちはニューヨークの全ての建物の質量を計算し、それらの建物が地球に与える圧力によって引き起こされる地盤沈下をモデル化した。1~2mmという数字は都市全体の平均値で、中にはもっと急速に沈んでいる場所もあるという。
また、海面上昇の脅威はニューヨークでは大西洋沿岸の世界平均の3~4倍にもなると言い、2050年までには世界中の海面が200~600mm上昇すると予測されている。
フェリー会社Venezia Linesによると、ニューヨークの"年に1~2mmの地盤沈下"は「水上都市」として知られるイタリアのベネチアと同じだ。
ベネチアでは、満潮時に街にあふれ出す水の量を減らすために当局がフェンスを設置したものの、絶えず入り込み続ける海水はすでに現地の建物に深刻な被害を及ぼしつつあるとVenezia Linesは伝えている。地盤沈下の影響で、市内にある多くのマンションの1階部分が住めなくなっていて、専門家は2100年までに市全体が水没する可能性があると指摘している。
アメリカのいくつかの都市を含め、世界各地の都市が驚くべきペースで沈みつつある。
「ニューヨークは地盤沈下が確認されている世界中の沿岸部の都市を象徴している」とアメリカ政府の研究者は報告書に書いている。
「つまり、高まる浸水の危険性を軽減するという世界共通の課題があるということだ」