ニューヨーク証券取引所(NYSE)で働くトレーダーたち。2023年3月28日。
Spencer Platt/Getty Images
- S&P500の200日移動平均線は、1年以上の最安値から1%回復している。
- ビスポーク・インベストメント・グループによると、これまで200日移動平均線が52週間の安値から1%以上回復した時は通常、「底を打ったこと」を示していたという。
- この動きは過去に20回起こっており、その都度、1年後にはS&P500が上昇していた。
アメリカの代表的な株価指数であるS&P500は、どん底から抜け出した可能性があり、アメリカの大型株が来年さらに上昇するであろうことをある注目のテクニカル指標が示唆しているとビスポーク・インベストメント・グループ(Bespoke Investment Group)は述べている。
S&P500は今年、9%以上回復しており、今なお、昨年の18%下落から回復中だ。今年の上昇を牽引しているセクターは、コミュニケーション・サービスと情報技術で、それぞれ31%と27%の急騰。いずれも、AIの可能性への期待が後押しとなり、メタ(Meta)やエヌビディア(NVIDIA)の株価は倍以上になっている。
こうした動きが、200日移動平均線(200DMA)の上昇に貢献している。200日移動平均線は3月28日に3931.05ポイントを記録、1年以上ぶりの最安値となった。だがそれ以降、その安値から1%強上昇しているとビスポーク・インベストメント・グループは5月22日に指摘した。
クルーズ船と同じで、200日移動平均線は急旋回しないので、方向転換を始める時は通常、市場の長期的なトレンドがシフトしているという事実を反映している。
景気後退の可能性や連邦準備制度理事会(FRB)によるさらなる利上げの可能性など、複数の問題に直面している株式市場にとって、これは良い兆しだろう。
200日移動平均線には「動きが鈍いという性質」があるとビスポークは述べた。そのため、このテクニカル指標が52週にわたり安値を付け、その後3カ月以内に1%以上回復したケースは、1920年代後半まで遡ってもわずか20回しかない。
そして歴史が示すのは、その1年後にS&P500は平均18.2%、もれなく上昇しているという事実だ。ビスポークが挙げた最も古いケースは、1933年3月開始のこの大型株評価指標が、上昇バウンドの1年後に63.2%アップしたというもの。最近だと、2016年7月のケースではその後12カ月にわたり13.8%上昇した。
「歴史が必ず繰り返すとは限らないが、これまで200日移動平均線が52週間の安値から1%以上回復した時は通常、市場全体が底を打ったことを示していた」とビスポークは述べている。
S&P500の200日移動平均線が、52週間の安値から1%回復していることが分かる表。
Bespoke Investment Group