グアテマラ、ペテン・ジャングルのエル・ミラドール遺跡にあるマヤの神殿。2009年8月24日撮影。
Reuters/Daniel Leclair
- アメリカとグアテマラの共同研究チームが、グアテマラで「世界初の高速道路ネットワーク」を発見した。
- 古代マヤ時代の417の都市が、約180kmに及ぶ「高速道路」で結ばれていた。
- 歴史家たちは、古代マヤ文明について再考を促されている。
グアテマラで「世界初の高速道路ネットワーク」が発見された。
この発見について、アメリカとグアテマラの共同研究チームが取りまとめた研究論文が、ケンブリッジ大学出版発行の学術誌『Ancient Mesoamerica』に2022年12月5日付で掲載された。研究者がワシントンポスト(WP)に語ったところによると、彼らは3000年前のものと見られる417の都市を発見し、それらは約180kmの「高速道路」で結ばれていたという。
この発見により、歴史家たちは古代マヤ文明について再考を促されている。道路と都市のネットワーク、水力システム、農業基盤は、中央アメリカの古代文明が、これまで考えられていたよりも進んでいたことを示唆している。
論文によると、これらの発見は「社会経済的組織と政治的権力」を反映しているという。
この「失われた世界」は、紀元前1000年から350年の先古典期のマヤ時代のもので、これまでその時代は遊牧的な狩猟採集社会と考えられていた。
今回の発見は「ゲームチェンジャー」だと、論文の筆頭著者でアイダホ州立大学考古学の客員研究教授であるリチャード・ハンセン(Richard Hansen)はWPに語っている。
グアテマラ南部、メキシコとの国境近くのエル・ミラドール遺跡へ行くには、ジャガーとヘビだらけの鬱蒼とした熱帯雨林を64km歩くか、ヘリコプターに乗るしかないという。
「先古典期は、極めて複雑で建築学的に洗練された時代であり、当時の世界で最大規模の建造物が建てられていたことが明らかになった」とハンセンはWPに述べている。
さらに「これまで知られていなかった人類の歴史が明らかになった」と付け加えた。
アメリカとグアテマラの共同チームは、2015年からLiDARというレーザー技術を用いて中米の調査地域をマッピングしている。これは考古学研究にとって重要な技術であり、古代の植生などが細かな点まで明らかにされてきた。
さらに、古代のダム、貯水池、ピラミッド、土台、ネットワーク化された土手道、そして球戯場まで見つかった。
グアテマラシティにあるサンカルロス大学の考古学者で、論文の共著者であるエンリケ・エルナンデス(Enrique Hernández)は、この研究をさらに進めることで、歴史的発見としてエジプトのピラミッドに匹敵するほどの影響力を持つようになるかもしれないとWPに語っている。