撮影:高橋真紀
ダイソン(Dyson)の空気清浄ヘッドホンは、2022年12月にアナウンスされ、その見た目のインパクトから当時、未発売の日本でも話題になった。
そして、とうとう日本でも2023年5月23日(火)より販売が開始。発売に際して、ヘッドホンの他にも新製品を体験できると聞き発表会に行ってきた。
ダイソン初のウェアラブル製品
原宿にあるダイソン旗艦店では、巨大ヘッドホンがお出迎え。
撮影:高橋真紀
今回の発表会では、26個のセンサーを搭載したロボット掃除機や、ダイソンの初代サイクロン掃除機「G-Force」から着想を得たポップなカラーリングのヘアケア製品などが紹介された。
創業者のジェームズ・ダイソン氏が来日し、「謎の光る棒」を片手に自らプレゼンテーションを行った。
撮影:高橋真紀
中でも一際フラッシュがたかれていたのは、やはり空気清浄ヘッドホン「Dyson Zone」。
Dyson Zoneをお披露目する息子のジェイク氏。半纏のような羽織を着ている。
撮影:高橋真紀
Dyson Zoneの特長は、高機能なアクティブノイズキャンセリングと口元に付いた空気清浄機能。
一目でダイソン製品だと分かるアイコニックな色合いとデザインが印象的だ。
撮影:高橋真紀
Bluetooth対応となっており、音楽再生のみなら50時間使用可能。空気清浄モードと併用する場合は、最大4時間使うことができる。
なお、空気清浄フィルターは取り外したり、下にズラしたりすることが可能で、ヘッドホン単体でも機能する。
開発までのモックアップも展示されている。
撮影:高橋真紀
ノイズキャンセリング機能は、搭載した11個のマイクのうち8個を使い、周囲の環境音やヘッドホン自体のモーター音などをモニタリング。最大38dBまでノイズを低減できるそうだ。
耳あて部分をトントンと2回タップすると、ノイズキャンセリングのオンオフを切り替えられる。
価格は12万円
直販限定モデル「Dyson Zone Absolute」
撮影:高橋真紀
オープン価格は通常モデル「Dyson Zone」が12万1000円、直販限定モデル「Dyson Zone Absolute」が13万7500円とのこと。
Dyson Zone Absoluteは、直販限定モデルとしてカラーリングが異なるほか、交換用フィルターや機内用ヘッドホンアダプター、持ち運び用ケースなどが付属している。性能はどちらも同じとのことだ。
そもそも、なぜヘッドホンと空気清浄?
撮影:高橋真紀
Dyson Zoneはダイソン初のウェアラブル製品であり、部屋の外でも使えるアイテムだ。
開発の背景には、ダイソンが取り組む都市部の大気汚染という社会問題がある。
すでにインドや中国では由々しき事態となっているが、2050年には世界人口の70%が都市で居住すると予想されており、大気汚染や騒音は世界中でさらに深刻な問題になっていく。
ダイソンでは、センサー付きの空気清浄バックパックを用いて、都市部で大気汚染度の計測も行ったという。
撮影:高橋真紀
Dyson Zoneは、都市の騒音と大気汚染の2つの課題をパーソナルに解決してくれる製品だ。
見た目はSFのようなインパクトがあるが、実際に装着してみると案外心地いい。
ヘッドホンは耳全体を覆い、口元のシールドからはスースーと清浄な空気の流れを感じる。
最初は「一体なぜこの組み合わせなのか」と思ったが、屋外で使う上ではある意味納得のアイデアだ。
知ってた?農業もやってるダイソン
ダイソンファーミングで栽培されたいちご。大粒で甘みと酸味のバランスがちょうど良い。
撮影:高橋真紀
大気汚染と同様に、食糧不足も深刻な問題だ。国連世界食糧計画(WFP)によると、2022年の調査では、過去最高となる3億4900万人が飢餓に苦しんでいる。
実はダイソンは、「ダイソンファーミング」と銘打って、2012年から農業にも取り組んでいる。
テクノロジーを駆使して小麦、じゃがいも、たまねぎ、えんどう豆、いちごなどさまざまな農作物を生産。驚くべきことにその生産量は単一生産者としては創業国であるイギリスで第1位。2019年にはカーボンニュートラルを実現している。
発表会では、最新鋭のガラスハウスで栽培された季節外れのいちごをいただいた。
ジェームズ・ダイソン氏は、ヘッドフォンを着けた息子ジェイク氏に、ドライヤーで送風して会場を楽しませていた。
撮影:高橋真紀
長年、テクノロジーの研究開発に取り組んできたダイソン。
20年以上前からジェームズ ダイソン財団を通じてエンジニアの育成にも投資を続け、自社をできる限り長く成長させ、技術力を高めてきた。そしてその成果を家の中を飛び出して、さまざまな領域から世の中に還元している。これはまさしくサステナブルな企業のあり方だと感じる。
一見不思議なヘッドホンの開発背景や農業への取り組みなど、ダイソンのテクノロジーに対する「オタク」な部分も思いっきり感じられた今回の発表会。
日本上陸25年目を迎えるダイソンの今後に要注目だ。