ジョー・バイデン大統領の話に耳を傾けるジャネット・イエレン財務長官。
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- マイクロソフトの社債は、8月に満期を迎える米国債よりも安全だと見られていた。
- 8月8日満期のマイクロソフト社債の利回りが約4%だった時、8月6日満期の米国債は5.2%強の利回りだった。
- マイクロソフトとジョンソン・エンド・ジョンソンは、ムーディーズとS&PからトリプルAの債券格付けを獲得している。
信用度が高い企業が発行する社債は、米国債よりも利回りが低くなることがある。投資家が8月に満期を迎える米国債のデフォルト(債務不履行)に対してリスクヘッジしようとしたためだ。
ウォール街では、債務上限を引き上げてデフォルトを回避することで民主党政権と共和党優勢の議会が合意に達するとの見方が主流だったが、その交渉が長引いていた。結局、両党は原則的に合意し、デフォルトを回避するための関連法案が5月31日に議会で採決される見通しだ。
数日前まで、トップレベルに格付けされた社債に対する投資家の需要が高まったことで、その価格が押し上げられ、利回りが低下していた。
例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルが引用したソルブ・データの指標によると、8月8日に満期を迎えるマイクロソフト(Microsoft)の社債は一時4%をわずかに上回る利回りで取引されていたが、同じ時、8月6日に満期を迎える米国債の利回りは5.2%を超えていた。
11月に満期を迎えるジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)の社債の利回りは、同時期に満期を迎える国債の利回りをほぼ1%ポイント下回っていた。
乱高下が少ない時期には、社債の利回りは国債を上回っている。しかし、多くの投資家が、本来「リスクのない」米国債よりも低利回りの社債を選択し、プレミアムを支払って購入していたということだ。
米国債が6月1日にもデフォルトに陥る恐れが高まり、短期米国債の利回りが急騰したため、投資家はアメリカ財務省が近い将来に支払能力を失うのではないかと懸念していたのだ。
利回りは、債券の需要が減少すると高くなるのと同様に、債券が安くなると高くなる傾向にある。4月以降、米国債1カ月物の利回りは5.6%まで上昇し、過去の平均値を大幅に上回った。これは、ここ1年間の連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な利上げにより、現在の政策金利が5.25%になったことも要因の一つだ。
マイクロソフトとジョンソン・エンド・ジョンソンは、格付け会社のムーディーズとS&PからトリプルAを獲得しており、債券トレーダーにとって最良の選択となってる。両社の社債は流動性が高く、かなりの収益性がある。
アメリカ政府の信用度もトップクラスだが、格付け会社はもしデフォルトになった場合は格下げになると指摘している。