発売即テスラ超え、50万円激安EV「宏光MINI」が急失速の背景。1~4月販売は26%減

インサイド・チャイナ

50万円台から買えるEVとして大ブームになった宏光MINIの快進撃が今年に入ってピタッと止まった。

REUTERS/Aly Song

50万円EVとして日本でも大きな話題になった上汽通用五菱汽車の「宏光MINI」の販売が急失速している。ピーク時に月間5万台を超えていた販売台数は、今年4月に1万8000台まで落ち込んだ。世界的にも早くEVシフトが始まり、市場自体は伸び続けている中で宏光MINIが一人負けしている背景には、同車種が創造した格安超小型車EV市場が、補助金の打ち切りや競合の増加によって、早くもブームが終わってしまったことがある。

新エネ車伸びる中国市場で一人負け

2020年7月末に発売された宏光MINは日本の軽自動車を思わせるキュートなボディと、2万8800元(約57万円、1元=19.87円)からという格安価格で超小型EVブームを巻き起こし、「神車」と呼ばれた。

発売1カ月後には販売台数でテスラの「モデル3」を抜き、EV国内トップに。販売する五菱汽車や全国乗用車市場情報連合会(CPCA)によると、2022年の販売台数が55万4000台を超え、同年の小型EV販売台数で世界首位に立った。最高月間販売台数は5万600台、NEV(新エネルギー車)販売台数ランキングで28カ月連続1位を達成している。

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BYDは今年4月末にエントリークラスのEV「海鴎(Seagull)」を発売、ミドルエンドの競争も激化している。

Reuter

50万円から買える宏光MINIは日本でも大きな話題になった。実際には同車種は中国以外で発売できるような安全基準に達しておらず、最安グレードにはエアコンやエアバッグがついていないため、日本の軽自動車とは全くの別物ではあるのだが、EVシフトが進まない日本で産業界の危機感を高めた。

ところが昨年末、宏光MINIの快進撃はピタッと止まる。2022年11月の販売台数は前年同期比13.8%減の3万2000台。12月は多少持ち直したが、2023年1~4月は同26.5%減の合計8万7928台となり、セダンの販売トップ10に入っている新エネルギー車の中で、唯一販売台数が減少した車種になった。

販売テコ入れのため、五菱汽車は5月22日から期間限定で、宏光MINIの値引きに踏み切った。テスラ超えでEV界の寵児になった「神車」の凋落ぶりを、中国メディアや自動車業界は以下のように分析している。

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