EVバイクシェアリングサービスの開始式に登壇した、ドコモ・バイクシェアの武岡雅則社長(左)と小池百合子東京都知事。
撮影:小林 優多郎
自転車のシェアリングサービスを展開するドコモ・バイクシェアが、東京都と連携してEVバイクのシェアリングサービス「東京EVバイクシェア」に乗り出す。
2023年5月29日から、まずは東京・お台場エリアでサービスを開始する。
都の「脱炭素化」推進の一環
「東京EVバイクシェア」で利用できる電動3輪バイク。
撮影:小林 優多郎
「EVバイクの普及を進めるにあたりましては、まずは皆様方にその魅力を体感していただくということが一番だと存じます」
お台場で開かれた開始式に出席した小池百合子都知事は、EVバイクシェアサービスの意義についてこう話した。
東京都はゼロエミッション都市を目指した取り組みを進めており、都内で新車販売される二輪車は、2035年までに全て非ガソリン化する目標を掲げる。今回サービスを開始した「東京EVバイクシェア」は、非ガソリン車両の普及促進を担う位置づけだ。
※東京都のEVバイク等の利活用促進事業として、2023年度は2000万円を上限に予算が組まれている。
まずはお台場エリアの3カ所、計20台でサービスを開始する。専用駐車場(ポート)はヒルトン東京お台場、東京ビッグサイト、有明センタービルに設けた。
車両はFuture社が開発する電動3輪バイクの「GOGO!」で、最大時速は30km。車両区分は第一種原動機付自転車(ミニカー)で、運転には普通自動車運転免許証が必要だ(原付や自動二輪などの免許証では利用できない)。既存のシェアサイクル用のアプリに免許証を登録すれば、サービスが利用できるようになる。
料金は30分ごとに330円。同社が都内で提供するシェアサイクル(30分165円)の2倍の価格設定だ。
シンプルな操作性、静かな走行音
操作パネルはシンプルな作り。
撮影:小林 優多郎
実際にEVバイクに乗ってみた。後部にかごが付いた3輪バイクで、座って運転する。前輪が2輪あり、一般的な原付と比べて安定感があるように感じた。
基本的な操作方法はスクーターとほとんど同じという。作りはシンプルだ。スピードはハンドルの下にあるパネルで5段階の調節ができ、最高の「5」にすると最大時速の30キロまで出る。
試乗ではスピードは最大時速10キロに調整。アクセルを回すとスムーズに発進した。原付区分の乗り物を運転するのは教習所以来だった私はおぼつかない運転になってしまったものの、バイクや原動機付自転車に乗り慣れている人ならば簡単に操作できそうだ。動きはスムーズで、走行音も静かだった。
「お台場にはさまざまな施設がございます。このEVバイクでエリア内を自由に移動していただき、心地よい風を感じながら、この町の生み出す魅力を存分にご堪能いただきたいと思います」(小池都知事)
お台場でのミニマムスタートは安全性を重視
29日からサービスを開始した「東京EVバイクシェア」の車両。
撮影:小林 優多郎
ヒルトン東京お台場に設けられた「東京EVバイクシェア」のポートの隣には、電動キックボードのLuupのポートもあった。
撮影:小林 優多郎
7月には改正道路交通法が施行され、特定小型原動機付自転車(特定小型原付)という新たな車両区分が新設される。Luupに代表されるこれまで原付相当だった電動キックボードのうち該当する車両は、最高速度が15キロから20キロに変わり、運転免許証なしでの利用も可能になる。
東京EVバイクシェアで提供される車両は電動キックボードとは異なり運転するには免許が必要なままではあるが、シェアモビリティの選択肢が増え、街の風景も変わりそうだ。
このタイミングでの「東京EVバイクシェア」の開始については「特に意識したのではなく、事前の検討を重ねた結果、このようなタイミングでのサービス開始に至った」(ドコモ・バイクシェアの武岡雅則社長)という。
同社は2022年10、11月に東京・日本橋でEVバイクの試乗会を実施した。当初は日本橋でのサービス開始を予定していたというが、試乗会の結果を踏まえ、最終的にお台場周辺に決めたという。
理由は交通量や車道の広さといった安全性の観点や、観光での利用も見込める点などだ。
ドコモ・バイクシェアの武岡社長は「まずは3ポート、20台のミニマムスタートとしました。ここで実用化を進め、課題があれば改善を行っていきます」と話す。
ポート数と車両数はいずれも拡大していく予定だ。
「このEVバイクを最初から個人の方が購入するのはなかなかハードルが高いところもございます。我々のシェアリングのシステムを用いて乗り慣れていただき、便利さや地球環境への貢献性を感じていただくことで、広く普及していくきっかけになるのではないかと考えております」(武岡社長)