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- 週に5日の通勤を楽しんでいる労働者はほとんどいない。
- 多くの人々が在宅勤務を続けたい主な理由が「通勤」であることを研究は示唆している。
- お金も時間もかかる日々の通勤は、精神的にも大きな負担になることがある。
リモートワークは「道徳的に間違っている」とイーロン・マスク氏は考えているかもしれないが、パンデミックはさまざまな仕事をするのにオフィスにいることが必要不可欠ではないことを証明した。
ただ、アマゾン、アップル、グーグル、ツイッターを筆頭に、多くの企業は少なくとも週に何日かは出社するよう従業員に求め始めた。
その一方で、多くの人々は在宅勤務を完全に手放したくはないと考えている。中には賃金が下がっても、この柔軟性を持ち続けたいと考える人もいるほどだ。
そして、従業員がフルタイムでオフィスに戻りたくない主な理由が「通勤」であることを研究は示唆している。通勤時間がなくなったことで、多くの人々が趣味に使ったり、友人が家族と過ごす時間が増えたからだ。
通勤のデメリット
公共交通機関はニューヨークやロンドンといった都市では特にお金がかかる。
ニューヨークでは地下鉄の1回乗車券が2.75ドル(約390円)で、メトロカード(30日間有効)は127ドル(約1万7800円)だ。ロンドンでは住んでいる場所にもよるものの、月に193~353ドル(約2万7000~4万9500円)かかる。
自動車通勤も安くない。Bankrateによると、アメリカでは自動車保険だけで年に平均1771ドル(約24万9000円)払った上で、ニューヨークに住んでいる場合、ガソリン代として約764ドル(約10万7000円)使っているという。
イギリスのシンクタンクCentre for Citiesが最近公表した報告書は、政治家たちは「労働者がオフィスで仕事をするのにかかるコストを軽減しつつ、オフィスで仕事をするメリットを押し出すべき」だとしている。
ただ、政策・調査担当の責任者ポール・スウィニー(Paul Swinney)氏は、雇用主は給与が通勤にかかる費用をカバーしていると主張することもでき、企業は「前例を作りたがらない」とInsiderに語っている。
労働者に柔軟性を与えるサテライトオフィスという妥協案もある。しかし、こうしたオフィスが必ずしも同僚と顔を合わせる時間になるとは限らず、「メリットなしで通勤にかかる費用」を支払うことになりかねないと話している。
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そして、多くの労働者は通勤をお金の無駄遣いと考えているだけではない。「時間の無駄遣い」とも考えているのだと、International Working GroupのCEOマーク・ディクソン(Mark Dixon)氏は指摘している。「通勤したくないんです」とディクソン氏は3月、CNBCに語った。
アメリカ国勢調査局の調査では、2019年時点の通勤時間は平均27.6分だったが、約10%の労働者は1時間以上かかっていた。
Psychology Todayによると、通勤はメンタルヘルスに影響することもある。通勤は「心理的、社会的コストが大きく」「退屈、社会的孤立、怒り、渋滞や遅延といった問題からストレスを感じることがある」という。
イギリスの王立公衆衛生協会の2016年のレポートでは、調査対象者の半数以上が通勤が原因でストレスが増したと答えている。
通勤によって"失われた時間"を一部でも取り戻すことで、こうした問題に取り組みやすくなり、人生においてより重要なことに集中する時間を手に入れ、メンタルヘルスを向上させられるかもしれない。