学費は高いし、就職もできる… アメリカでは4年制大学に行かず、コミュニティ・カレッジに進むZ世代が増えている

コミュニティ・カレッジ

martinedoucet/Getty Images

  • アメリカでは今春、コミュニティ・カレッジの入学者数が10年ぶりに増加した。
  • 学生たちが4年制の大学よりも地元のコミュニティ・カレッジを選ぶ理由の1つは、経済的なプレッシャーだ。
  • 大手企業もコミュニティ・カレッジと提携し、学生たちにさまざまな機会を提供している。

Z世代は、自分たちや自分たちの成功をはかろうとする"基準"に疑問を持っている。高校時代の趣味をフルタイムの起業につなげる人もいれば、学校で従来とは異なる分野の研究をする人もいる。

4年制大学の学位ではなく、コミュニティ・カレッジを選択するケースも増えている。

アメリカでは全体として、中等後教育はコロナ禍の低水準からまだ回復していない。今春の学士課程への入学者数は1.4%減少したとAxiosは報じている

ただ、米国学生情報研究センター(National Student Clearinghouse Research Center:NSC)の報告によると、2023年春のコミュニティ・カレッジの入学者数は0.5%増加した。

コミュニティ・カレッジの入学者数が増えるのは、10年以上ぶりのことだ —— 2021年には10.1%、2022年には8.2%と2年連続で大幅に減少していた。

ブームに火をつけたのは「経済的なプレッシャー」

学生たちが4年制大学でなく、2年制のコミュニティ・カレッジを選ぶ大きな理由の1つは経済的なプレッシャーだ。

大学入試を支援する非営利組織College Boardによると、アメリカでは2022年度の4年制公立大学(州内)の授業料は年間平均1万950ドル(約153万円)、4年制公立大学(州外)の授業料は2万8240ドル、4年制私立大学の授業料は3万9400ドルだった。

一方、2022年度の2年制の地区内の大学の授業料は3860ドルだった。

この費用の差が、多くの学生を2年制のコミュニティ・カレッジへと向かわせている。

ロンドンに拠点を置くスタートアップMultiverseが12~19歳の子どもを持つアメリカの親1008人を対象に実施した最近の調査では、回答者の69%が自分の子どもが大学に進学せず、高校卒業後すぐに社会人になることを支持すると答えていて、その多くは学費の高さをその主な理由に挙げた。同様に、学生ローンには自分の子どもが借りるだけの価値があると答えた回答者は47%にとどまった。

社会人への「早道」を求める学生たち

好調な雇用情勢を受け、アメリカでは学費を払うよりもお金を稼ぎたい、早く仕事をしたいという学生が増えている。そうした中、より短期間で取得できる2年制の学位の魅力も増している。

「学生は労働力との直接的なつながりが見える… 分かりやすく見えるプログラムや専攻にますます目を向けているのだと思います」とAxiosに語ったのは、NSCのリサーチ&エグゼクティブ・ダイレクターのダグ・シャピロ(Doug Shapiro氏)だ。

NSCによると、コンピューター/情報科学/支援サービスを2年間専攻する学生のこの春の入学者数は9.7%増えていて、機械/修理技術は8.2%、パーソナルサービス/調理サービスは9.7%、輸送/資材移動は11.8%それぞれ増加した。

大手企業の中にはコミュニティ・カレッジと提携し、未来の従業員を育てるべく機会を提供しているところもある。

Insiderでも以前報じたように、世界的な広告会社PMGはテキサス州にあるコミュニティ・カレッジ「タラント・カウンティ・カレッジ」と提携し、「デジタル・キャリア・アクセラレーター」と呼ばれるプログラム —— デジタルメディアのキャリアに必要な実践的かつ入門的なスキルを学ぶための8週間の無料コース —— を提供している。

「最終的にはこれらの学校からぜひ採用したいと考えています」とPMGの人事部門の責任者ステイシー・マーティン(Stacey Martin)氏は話している。

「わたしたちのキャンパスでの採用活動の大部分はプログラムやコミュニティ・グループへの参加、教授や卒業生との関係構築に重点を置いていて、在校生だけでなく卒業生にもデジタルメディア分野でのキャリアを検討する機会を提供しています」

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