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- 2019年、ピュー・リサーチ・センターは「ミレニアル世代」の次の世代を「Z世代」と正式に名付けた。
- Z世代は1997年から2012年の間に生まれた若者のことだ。
- 世代を定義することで、特定の歴史的な出来事や技術的な変化が人々の世界観にどのような影響を与えるか、研究者は知ることができる。
アメリカの国勢調査局が公式に使ったのは「ベビーブーム世代」だけだ。
だからといって、人口統計学者が他の世代の人々を生まれた年で分類しないわけではない。こうした分類は、世界的な出来事や技術的な変化といった成長期の体験がわたしたちの世界観や社会との関わり方をどう方向づけるか、より深く理解するために行われることが多い。
今日の労働人口に最も新しく加わったのは、1997年から2012年の間に生まれた「Z世代」だ。これはピュー・リサーチ・センターが2019年に名付けたもので、9.11同時多発テロ事件やインターネットへのアクセスといった出来事がZ世代とミレニアル世代(1981~1996年生まれ)の間に十分な違いをもたらし、新たな世代を構成すると判断した。
ピュー・リサーチ・センターのプレジデント、マイケル・ディモック(Michael Dimock)氏は、世代はそれがどんな人々かを定義する厳格なカテゴリーではなく、物事の見方や考え方がどのように変化するかを理解するためのツールとして捉えた方がよいとしている。
ミレニアル世代の中でも、上の方のミレニアル世代と下の方のミレニアル世代ではおそらくさまざまな物事に対する感じ方が異なるだろう。ただ、9.11同時多発テロが起きた時にミレニアル世代の大半は5~20歳の間で、あの事件とその影響は彼らが大人になった今でも大きな位置を占めている。その一方で、Z世代の大半はこの出来事を全く覚えていない。
また、多くのミレニアル世代が社会人になる頃に起きた2008年の経済不況も、ミレニアル世代にとっては大きな意味を持ったが、Z世代は親の目を通して経験しただけだ。
2004年のフェイスブック、2010年のインスタグラム、2016年のTikTokの立ち上げのように、テクノロジーはZ世代の一部が生まれる前から、常に力を持っていた。Insider Intelligenceによると、このようなソーシャルメディアやその他のデジタルプラットフォームへのアクセスによって、Z世代は「物理的な世界とデジタルな世界をエンターテインメント、商取引、コミュニケーションのオフラインとオンラインの情報を融合したシームレスな連続体験として捉える」ようになった。
ピュー・リサーチ・センターの現時点での世代分類は:
- 沈黙の世代:1928~1945年生まれ
- ベビーブーム世代:1946~1964年生まれ
- X世代:1965~1980年生まれ
- ミレニアル世代:1981~1996年生まれ
- Z世代:1997~2012年生まれ
※「アルファ世代」は世代としてまだ正式に分類されていないものの、2013年以降に生まれた世代として知られている。
それぞれの世代の"長さ"はさまざまだ。ピュー・リサーチ・センターによると、ミレニアル世代には16年の幅がある。X世代も16年だが、ベビーブーム世代は19年、沈黙の世代は18年にわたっている。
ただ、時間とともに集団も変化するため、どこで世代を区切るかは一筋縄ではいかない。
「世代間の違いと同じくらい、世代の中での違いが大きい場合もあって、くくられた世代の最年少と最年長では該当する世代よりもそれぞれ下や上の世代により共通点を感じるかもしれない」とディモック氏は書いている。
ただ、同じような経験によってある集団がどのように方向づけられてきたかを調べるには、区切りをつけることが有効だ。
どのような子ども時代を過ごしてきたかによって、各世代が持つ価値観や社会的期待もさまざまだ。例えば、コロナ禍でZ世代の最年長が社会人になったのと同時に火が付いた「ワーク・ライフ・バランス」や「メンタルヘルス」を重視するZ世代に職場は悩まされている。また、「インフルエンサー」や「コンテンツ制作」といった趣味がキャリアに転じる仕事は、ミレニアル世代が社会人になった時には存在しなかったが、今の最も若い世代には大人気だ。
Z世代について「これから数年間、大人になっていくこの世代を研究するのが楽しみだ」とディモック氏は書いていて、新しいデータが世代間の区切りの見直しにつながる可能性は常にあると付け加えた。
「世代は集団間の違いを単純化する"レッテル"ではなく、社会の変化を理解するための"レンズ"だということをわたしたちは常に頭に置いている」