T上海虹橋国際空港を出発し、北京首都国際空港へ向かうC919型機。同機の初の商用フライトとなった。
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- 中国初の国産大型旅客機が、2023年5月28日、初の商用飛行を行った。
- 中国東方航空が164席のC919型機を上海から北京まで運航した。
- 中国はこのジェット機で世界の2大航空機メーカーであるエアバス、ボーイングに対抗しようと考えている。
中国が初の国産大型旅客機の商用飛行に成功した。
164席のC919型機は、中国の国営航空機メーカーの中国商用航空公司(Commercial Aviation Corporation of China :Comac)製だ。2023年5月28日の朝、上海から北京へと飛行した。同便は、2022年12月に同機を受領した中国東方航空(China Eastern Airlines)が運航した。
上海虹橋国際空港を出発し、北京首都国際空港へ向かうC919型機。今回同機の初の商用フライトとなった。
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Comacによると、約2時間の今回の初飛行には130人近くの乗客が搭乗していたという。中国国営放送CCTVによると、乗客は赤い搭乗券を受け取り、機体のロゴをあしらったデザートなど「テーマのある」機内食を提供されたという。また、乗客らは飛行中に、中国の国旗を振っていたと同放送局は伝えている。
中国は、ヨーロッパのエアバス(Airbus)、アメリカのボーイング(Boeing)という世界の2大航空機メーカーに対抗しようと10年以上前からジェット機の開発に取り組んできた。
「私は自分の国に本当に自信を持っている。コア技術にしろ、快適さにしろ、どちらもどんどん良くなっていくだろう」とこのフライトに搭乗したリウ・ペン(Liu Peng)は、ロイター通信(Reuters)の取材に語っている。
上海虹橋空港を離陸した直後のC919型機。
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学生のリブ・ボーヤン(Lv Boyuan)は、ロイター通信の取材に対し、この初飛行のニュースに「とても感動した」と語っている。
「C919型機の初フライトについて聞いてから、私は飛行機の開発に関するすべてのことに1週間を費やし注目してきた」とボーヤンは話す。彼は発売されたその瞬間にチケットを買おうと思ったという。彼はロイターの取材に対し、2023年5月29日に成都から上海へ向かうC919便に乗る予定だと語っている。
中国のC919型機の初の商用飛行で、同機の北京首都国際空港への着陸を見るために集まった人々。
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中国初の国産ジェット旅客機「ARJ21」は2016年に就航した。C919よりもかなり小型で、最も大きな機体で97席だ。
C919の商用デビューは当初2016年に予定されていたが、技術的困難や供給上の問題が多発し延期されていた。最初のC919は2015年に製造され、その2年後の2017年5月に上海で最初の試験飛行が行われた。2022年11月に開催された中国の珠海航空ショーで公に披露され、デモ飛行が行われた。
BBCによると、Comacは、C919はすでに1200機以上受注していると述べているという。この中には、2021年に中国東方航空が発注した5機も含まれており、この飛行機は上海を拠点とした運行が決まっているという。
C 919には二つのキャビンがあり、ビジネスクラスが8席、エコノミークラスが156席ある。Comacによると、内装、客席、機内エンターテイメントシステムはすべてカスタムされたデザインだという。
C919型機の初の商用フライトの機内と乗客。
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しかし、日経アジアは「この航空機の製造に使われる部品の約60%は、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)、ハネウェル(Honeywell)、イートン(Eaton)などのアメリカ企業から供給されている」とアメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所(Center for Strategic & International Studies)のレポートを引用して報じている。
つまり部品などの輸入への依存が、この航空機の価格を押し上げている可能性がある。C919の価格は、ボーイングの737 MAX 8やエアバスのA320neoの価格と比べてわずかに安い約9900万ドル(約139億円)だとブルームバーグ(Bloomberg)は報じている。