日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は5月30日、経営統合することで基本合意書を締結したことを発表した。
REUTERS/Issei Kato,Kim Kyung-Hoon
日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は5月30日、経営統合することで基本合意書を締結したことを発表した。経営統合のために新会社を設立する。新会社の株式は、日野自動車の親会社であるトヨタ自動車と、MFTBCの親会社のダイムラートラックが同じ割合で保有する。
プレスリリースによると、協業内容は以下の2点。
- MFTBCと日野自動車は対等な立場で統合し、商用車の開発、調達、生産分野で協業。グローバルな競争力のある日本の商用車メーカーを構築。
- ダイムラートラックとトヨタ自動車は、両社統合の持株会社(上場)の株式を同割合で保有。水素をはじめCASE技術開発で協業、統合会社の競争力強化を支える。
日野自動車は適時開示の中で「本経営統合の実施後、トヨタは当社の親会社でなくなる見込みです」としている。
日野・エンジン認証問題、経営統合にも影響か。
日野自動車は、いまだ2022年春に発覚したエンジン認証に関する不正問題の渦中にある。今回の経営統合にあたり、日野自動車の株式価値は「エンジン認証問題にかかるリスクについては、三菱ふそうの株主は負担すべきではない」(日野自動車・適時開示資料)ということを基本的な考え方として算出されるという。
今後の統合プロセスは、2024年3月に4社間で最終契約を締結し、2024年12月末までに経営統合を目指し、協議を進めていくとしていく。ただ、最終契約交渉の進捗をめぐっては「エンジン認証問題についての当局調査及び訴訟等の状況その他の理由により今後変更される可能性があります」という。
各社トップのコメントは以下の通り。
ダイムラートラック:マーティン・ダウム CEO
ダイムラートラックは、私たちの製品をとても誇りに思っています。なぜなら、トラックとバスは世界を動かしているのです。明日には、ゼロエミッション車両でも世界を動かし続けるでしょう。本日の発表は、その未来を経済的にも実現させ、持続可能な輸送をリードするための重要な一歩となります。新たな会社は東南アジアで大きな力を発揮し、ダイムラートラックファミリーの重要なパートナーとなることでしょう。
MFTBC:カール・デッペン 代表取締役社長・CEO
今回の強固な協業を通じて、運輸業界のカーボンニュートラル化を加速させ、より強い日本の商用車メーカーを創り上げていきます。三菱ふそうと日野という伝統ある両ブランドのもと、日本、アジア、そして世界のお客様のニーズにこたえるため、引き続き主導的な役割を担っていきます。
日野:小木曽聡 代表取締役社長・CEO
「移動を支え、社会に貢献したい」との志をひとつにし、益々激しさを増すグローバルな競争を生き抜くために共に手を携えて先進技術開発を加速させ、カーボンニュートラルなどの社会課題の解決に邁進してまいります。
トヨタ:佐藤恒治 社長・CEO
今回の4社の協業は、日本の商用車の未来、そしてモビリティ社会の未来を作っていくためのパートナーシップです。CASE技術強化によるカーボンニュートラル実現や、社会課題解決を通じて「商用車の未来を変えていくこと」、そしてその「未来をみんなでつくること」、4社はその想いを共有し一緒に取り組んでまいります。
4社は16時30分より都内で記者会見を開催する。各社CEOが登壇する予定だ。