8年以上愛用しているニューバランスのスニーカー。公式のリペア修理サービスで復活させてみた

ニューバランス(New Balance)では、一部の人気モデルでスニーカーのソールや履き口(ライニング)を交換修理できる公式のリペアサービスを設けている。

スニーカー好きの人なら修理対応の話は聞いたことがあるかもしれないが、「自分で使ってみた」話はあまり聞かない。

今回、Business Insider Japan編集長の伊藤有が実際にサービスを使ってみたという。

スニーカーを「公式サービスで修理」するのはどういう体験なのか? 本人に感想を聞いた(文、構成・高橋真紀)。

ニューバランス公式のリペアサービスを使ってみる

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リペアサービスを使う前のニューバランス「576」。アッパー素材はレザーで、定価は3万円前後。

撮影:伊藤有

僕はファッション性はもとより、修理やケアをすれば圧倒的に他の素材よりも長く使えるレザーの靴が好きで、スニーカーもレザー素材のものを多く愛用している。

今回、ニューバランス公式のリペアサービスをお願いしたのは、イギリス製造をウリにする人気の定番「Made in UK 576」モデル。8年くらい前に購入して、他の靴とローテーションしながらもしっかり履き潰した。

なお、ニューバランスで公式リペアに対応しているのは一部のモデルに限定されている。Made in UK 576は、修理対応モデルであることを分かった上で購入したものだ。

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撮影:伊藤有

写真のとおり、大いに使用感はあるものの、アッパーなどはスエードレザー素材なので、大きな破れや穴などはない。

一方で、ソールやかかとの内側のライニングなど履き心地と機能性の部分で、このまま履き続けるには限界が来ていた。

修理依頼の問い合わせは電話のみ

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早速、修理の依頼をするべく、オンラインサイトなどをチェックしたところお問い合せページに専用の電話番号がひっそりと記載されていた。メールなどでの受付はなく、基本的に電話対応のみになっている。

サイトにも記載されているが、電話で問い合わせの際に、修理を依頼したいスニーカーが「修理対応モデル」かどうかオペレーター確認してくれる。おそらく修理パーツの在庫の問題や、本当に修理できるモデルなのかを判断する目的で、あえて電話対応になっているのだろう。

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撮影:伊藤有

リペアできるモデルであることが確認できた後、まず「必要書類」が自宅に送られてくる。

品番や修理の具体的な内容などを記入して、リペアをしたいスニーカーと一緒に返送する、という段取りだ。

今回はミッドソールから靴底までのオールソールと、内側のライニングの交換という、高い方の修理をお願いすることにした。梱包材などは同梱されないので、家にあった適当な段ボールにスニーカーを入れて発送した。あとは完了して届くのを待つだけだ。

3カ月後、忘れた頃に返ってきた

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修理後はきれいな箱に入れて返送してくれた。

撮影:伊藤有

修理に出したのは、2023年1月中旬だった。

それから約3カ月後、うっかりリペアを依頼したことすら忘れかけていた4月のある日、ふとスマホを見ると知らない電話番号から通知が。電話番号を検索してみると、ニューバランスの番号だとわかった。

「修理が完了したので、配達の希望日はありますか?」とわざわざ連絡くれたのだ。ここまで丁寧に進めてくれることに驚いた。

4月は出張があったりと、家を空けることも多くバタバタしていたので事前の連絡はとてもありがたかった。

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撮影:伊藤有

指定した日、早速届いた箱を開けるときれいに梱包された靴と一緒にお礼の文面まで同封されてる。こちらこそお願いしておきながら、うっかり忘れかけていて申し訳ない。

ここからは修理前と修理後で比較しながら、その出来栄えを紹介していきたい。

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修理前。

撮影:伊藤有

上の写真が修理前のもの。全体的に使用感がある。

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修理後。かかとのライニングが新品のように美しく張り替えられている。ソールも新品だが、アッパー部分は以前のままになっていることがわかる。

撮影:伊藤有

そして、こちらが修理後。元々ライニングは薄い布のような素材だったが、コシのある合成皮革でリペアされた。

一方、シューズ内側の奥の方(親指や小指の脇周辺)にあるスポンジ風の素材は交換修理が難しいようで、この部分はそのままだった。一部、指で触ると黄色いスポンジの屑が出てくるが、ここは修理の限界ということで仕方ない。履くのには何の問題もない。

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修理前。ミッドソールの色は少し白っぽく、グレーのデザインがかかとに入っていた。

撮影:伊藤有

履き続けてほぼクッション性を失った修理前のミッドソール(上)は、見るからにつぶれてしまっていた。

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修理後。薄くグリーンがかったミッドソールになっていた。

撮影:伊藤有

修理後は、少しデザインの異なる新品のミッドソールに。以前の方がカジュアルな印象だった。もちろん、履き心地が良いに越したことはない。

事前の注意事項として「交換する際に、元の接着剤の跡などが残る可能性がある」という説明を受けたが、実際届いたものを見ると確かに跡が見える箇所はあるものの、特に気になる部分はない。

むしろ「修理して履いている」という満足感があってより愛着が湧いた。

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修理前のソール。どんなに丁寧にはいたとしても靴底はすり減る。

撮影:伊藤有

また、修理前の靴底はほとんどすり減りツルツルになっている。歩き方の癖なのか、特に左足のかかと部分がすり減っていて下地のクッションが見えていたが……。

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修理後。ソールは完全に新品に。歩いたときのクッション性も復活した。

撮影:伊藤有

新品の靴底に貼り替えてくれた。これなら雨の日のタイル床でもグリップしやすくなるに違いない。早く履いて歩きたい。

フルサービスの修理費は税込1万6500円

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撮影:伊藤有

オールソールとライニングの交換というフルサービスの修理で、費用は税込1万6500円。

8年前の購入時の新品価格は、確か2万5000円ほどだった。現在、ネットで価格を調べると3万円くらいが相場のようだ。

修理完了した靴は、ライニングの縫い目の細かさなどを見る限り、おそらく手作業で行われる工程が多いのではないかと思う。リペア受付の電話対応から修理まで、人の手をたくさん感じるサービスで、過程も仕上がりも大満足だ。

最初は「1万6500円、少し高いかも」と思ったが、全体を通じての丁寧なやりとりや仕上がりを考えると、ニューバランスも修理で儲けようとは考えていないのだろう。

新しい靴を買うのも選択肢のひとつだが、今持っているものを捨てずに済むならできる限り履き続けたい。長らく愛用してきたスニーカーを蘇らせてくれたこのサービスを、できる限り残してほしいと願っている。

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