富を築くことへ意識的になる必要があり、ほぼ偶然は起こりえない。
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- 確定拠出年金に限度額いっぱいまで拠出し、投資に気を配っているなら、富の構築は保証されているも同然かもしれない。
- もちろん大半の人は、一夜にして大金持ちになることはない。
- だが、高金利の負債を避け、所得を増やすことに注力し、その達成に向けて明確な目標と計画を立てているならば、思っているよりもうまくいっている。
思いがけず富を手にできることは稀で、大抵の場合は、資産形成に全力を尽くさなければならない。
だが、じっくりと考えて慎重に貯蓄、投資、支出、勤労を行えば、想像よりも早く富を構築できるかもしれない。自分が思っているよりも早く富を築いている7つの兆候を以下に挙げてみた。
1. 確定拠出年金を上限まで積み立てている
企業DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、快適な老後生活をもたらしてくれる優れた手法だ。自営業者なら最大月額6万8000円、企業年金に加入していない会社員や専業主婦は2万3000円までiDeCoに拠出できる。この金額近くまで積み立てているならば、次のことを達成していると言える。
第1に、投資で資産を増やしている。第2に、企業がマッチング拠出制度を設けている場合には、企業からタダで拠出してもらえる。そして3つ目に、所得の一定部分を非課税にできる。
また、一時金として受け取る場合は退職所得控除を、年金として受け取る場合は公的年金等控除を受けられる。今投資する金額を増やせば、より多くの収入を得らえるのだ。
2. 熟考して投資を選んでいるが、憑りつかれていない
iDeCoの資金の投資先をじっくりと考えて選んでいるならば、他の人よりもはるかに先を歩んでいる。
確定拠出年金を預金口座のように誤って利用し、ひとたび投資先を決めたら、その後まったく顧みない人があまりにも多い、と認定ファイナンシャル・プランナーのエリック・ロベルジェ氏はかつてInsiderのインタビューで語った。
ロベルジェ氏によると、一部の確定拠出年金では、各金融機関が指定した投資商品が「初期設定」されているが、そうした初期設定が自分の投資期間やリスク許容度に合っているか必ずダブルチェックする必要がある。
ポートフォリオを分散させる、株式と債券の組み合わせ等の商品を選択し、あまり手数料も高くないなら問題ない。ロベルジェ氏は、自動的にリバランスしてくれる一体型のターゲットデートファンドを選ぶか、個別ファンドで構成された、適切な分散効果を発揮するポートフォリオの構築を推奨する。
資産配分がリスク許容度全体と一致していることを定期的に確認するのは賢明なことだが、細かいところに固執すると、感情に駆られて間違いを犯しやすくなる。
3. 「大事なポイント」を重視する
稼いだ金額よりも支出を少なくするのが、お金を増やす黄金律だが、それが唯一ではない。
マネーの専門家でベストセラー作家のラミット・セシ氏は、人生に付加価値をもたらさないことへの支出は「容赦なく」減らすことが大事だと説く。だが、お金の扱いがうまい人は、細かいことを気にしても金持ちになれないことを知っている。
「人生にはいくつか大事なポイントがあり、これをきちんと押さえておけば、些細なことを気に病む必要はほとんどない。細々としたことを50個気にするのではなく、5~10の大事なポイントに注力できれば、人生において圧倒的な強みを手に入れられる」
例えば、借金を返済する、自動的に貯蓄する、昇給を交渉する、早くから投資を始めるといったことは、朝のコーヒーや週に一度のブランチを抜くよりも、ずっと大きな影響を、それも短期間でもたらすだろう。
4. 現金を持ち過ぎない
複利の効果を理解しているならば、必要以上に現金を持つことはないだろう。
お金を増やす最善の方法は投資に回すことだが、それだけが常に選択肢ではない。高金利の預金口座や譲渡性預金(CD)に預けても、短い期間に必要なお金を増やせる。金利が0.5%以上の預金口座やCD ならば検討する価値があるだろう。少なくともインフレで価値が目減りすることはないし、うまくいけば、まったく手をかけずに小金を増やせるかもしれない。
5. 昨年から所得が増えているが、支出は変わっていない
昨年の同時期よりも所得が増えているならば、おめでとう! それはお金が増えている大きなサインだ。所得の増加に伴い支出が増えていないなら、なおのことだ。
昇給に成功する、賃金が高い職に就く、第二、第三の収入源を得る——どんな理由であれ、所得の増加は決して失うことのない一種のレバレッジだ。
「仮に、こうした無理だと思われることにチャレンジし、所得を上げることができれば——もちろんそれは簡単な事ではなく、だからこそ人々はあまり注目していないのかもしれないが———もしそれができれば、支出と投資をどちらも増やす余裕が生まれる」とロベルジェ氏は自身のポッドキャスト「ビヨンド・ファイナンス(Beyond Finances)」で述べている。
6. 高金利負債を抱えていない
消費者ローンが富の蓄積にとって致命的なことはよく知られている。
株式市場のインフレ調整後リターンは、年率平均7~8%だ。一方、クレジットカードローンの平均金利は年率17%である。これほどの金利でローンの支払いを翌月に繰り越せば、収支トントンにするにはその倍の金額を投資に回さなければならない。
結論を言ってしまうと、借金は無駄だ。高金利負債を回避すれば、収入をすべて最適化できる。個人向けマネーのバイブルである『金持ち父さん貧乏父さん(Rich Dad Poor Dad)』 の中で著者のロバート・キヨサキ氏が書いているように、「大事なのはいくら稼ぐかではない。いくら貯めるかだ。大半の人が人生においてそのことに気づいていない」のだ。
7. 資産目標があり、それを達成するためのプランがある
高い目標を掲げることはまったく問題はない。
だが、そこにたどり着くまでのロードマップがあり、実際にそれを実行すれば、目標達成の確率は大幅に高まる。
資産管理やプランの作成にプロの手を借りる必要はないが、行き詰っているならアドバイスを求めるのも一案だろう。ノースウェスタン・ミューチュアル(Northwestern Mutual)のレポートによると、 ファイナンシャルアドバイザーを雇っている 人は、今の支出と後々の貯蓄とのバランスを取る方法を知っており、具体的な目標を設定し、こうした目標達成を確信しており、景気の浮き沈みに関わらず、マネープランを実行する可能性が高い。