ツイッターの社内改革を進めるイーロン・マスク。
Jonathan Ernst/Reuters
イーロン・マスクがツイッター(Twitter)の人気を高めたのは、短い間だけだったのかもしれない。
アップトピア(Apptopia)のデータによると、2022年10月下旬の買収当初、ツイッターのユーザーは急増し、11月のアプリダウンロード数は10%近く増加したが、デイリーアクティブユーザーの前月からの増加は1%弱であった。マスクは、2022年6月にツイッターが記録したデイリーユーザー数の最高値を0.8%上回っただけにもかかわらず、ツイッターの利用者数が史上最高を記録したと宣言した。
ツイッターのオペレーションと機能の大幅な変更により、マスクは2024年までに月間ユーザー数が10億人になると予測している。にもかかわらず、その後1日のユーザー数の増加についてマスクはほとんど発言していない。
アップトピア、Data.ai、センサータワー(Sensor Tower)のデータと分析は、その理由として、ユーザーがツイッターに費やす時間がマスクの買収直後より短くなっているからか、ツイッターの利用状況が買収前のレベルに戻っているからではないかと指摘する。
4月までのデータでは、アプリのダウンロード回数も以前の急増から横ばいになっている。マスクのツイッターアカウントとのエンゲージメントを別途分析したところ、同様の減少傾向が見られた。
「彼が買収した直後はかなり利用が増えましたが、今は横ばいから減少しています。現実よりも、彼が買収したということに人々が興奮したからのようです」とアップトピアのリサーチ責任者であるトム・グラント(Tom Grant)は語る。
アップトピアの調べによると、ツイッターの全ユーザーは、4月、1日あたり平均19.1分をツイッターアプリに費やしていた。これは2022年4月とまったく同じ分数であり、3月の平均の19.3分よりもわずかに短かった。グラントは、年齢ごとのユーザーの変化はより顕著だったと指摘する。
「当時の大きな成長は、今は元に戻っています」(グラント)
ミレニアル世代以下の「若者」とX世代以上の「年配」の両方の匿名ユーザーとも、ツイッターに費やす時間はマスクの買収直後に増加した。若者層の費やす時間は10月に1日15.9分となり、約半年前の13分より増加している。年配のユーザーは1日17分で、同じく半年前の15.9分から増加した。
しかし現在では、どちらのユーザーもアプリに費やす時間が短くなっている。若年層は1日15分強に減少しているが、これは年配層が現在費やしている時間とまったく同じだ。アップトピアの分析では、年配のユーザーがツイッターに費やす時間は、ここ1年以上で最も短くなっている。
センサータワー社の分析では、ツイッターの最大市場であるアメリカのユーザーは、1日に平均約26分をツイッターに費やしていることが判明した。これは、競合するソーシャルメディアのアプリに費やす時間をはるかに下回る。ユーザーはTikTokに1日平均87分、Instagramに1日平均43分、Facebookに1日39分費やしている。ツイッターはSnapに1分差で勝っており、アメリカでの1日の利用時間は25分だった。
アップトピアの調べでは、ツイッターのヘビーユーザーでさえ、最近アプリを使う時間が短くなっていることが判明した。
テック業界の起業家界隈がツイッター上で騒いだことが引き金となって引き起こされたシリコンバレー銀行の破綻の頃、ツイッターの利用が大幅に増加した。この出来事により、ツイッターで最もアクティブな上位10%の「パワーユーザー」は3月には1日138.7分ログインしていた可能性がある。4月にはそれが138分に減少し、1年前よりわずかに時間が短くなった。
Apptopia for Insider
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Data.aiによると、アプリのダウンロード数は2022年4月の1750万から4月には1620万に減少したものの、全アプリ中のツイッターのグローバルユーザーランキングを見てみると、変化はなく7位をキープしていることが分かった。また、世界のダウンロードランキングでも7位をキープしており、3月に8位まで下がった後、4月に再上昇したことがData.aiの調べで分かっている。
アップトピアによると、アプリのダウンロード数は3月の1335万件に対し、4月は1333万件だった。マスクが買収した週から2023年4月までの累計では、アプリのダウンロード数は8810万件となっている。これは、8860万人がダウンロードした前年同時期よりはわずかに少ない。
人々がツイッターアプリをどのように使っているかという点では、1つだけ明るい材料がある。アプリ内購入は、以前は基本的には存在しなかったが、マスクの傘下で大きく伸びているということだ。
アップトピアの調べでは、2022年4月と5月のツイッターのアプリ内収益は合わせて12万ドル(約1680万円、1ドル=140円)強だった。これに対し2023年4月と5月のアプリ内収入は、合計で300万ドル(約4億2000万円)強だった。
この収益の大半は、ユーザーがTwitter Blueのサブスクリプションを購入したことによるもので、iOSユーザーは月額11ドル(約1500円)、それ以外のユーザーには月額8ドル(約1100円)で認証済みステータスが提供される。これは、ツイッターのプラットフォームで最も売れているアイテムである。
また、アプリ内で最も多く購入されたアイテムのトップ4は、月額4ドル(約560円)のマスクのツイッターコンテンツとアカウントの購読、年間84ドル(約1万1700円)のTwitter Blueの購読、月額5ドル(約700円)の人気YouTuberミスタービーストのツイッターアカウントの購読だった。